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【eスポーツが知りたい!】味方と協力し勝利を手に入れろ!MOBA

2018 3/3 00:00松尾享祐
eスポーツ,チーム
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プレイ人口1億人超 どんなジャンル?

 eスポーツが脚光を浴びる中、日本でも有名になりつつあるジャンルMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ、Multiplayer Online Battle Arena)。「League of Legends(LoL)」や「Dota2」に代表されるこのジャンルは、総プレイ人口1億人超とも言われ、大会賞金総額の世界ランキングトップ10位(2018年2月末時点)を占める大人気ジャンルだ。

 俯瞰視点でキャラクターを操作するアクション要素やキャラクターを成長させていくRPG要素、味方陣営強化や進攻・防衛計画といった戦略要素など多くのゲーム要素が詰まっている。

 ルールはシンプルで、複数人のプレイヤーが広大なマップ上で2つの陣営に分かれ、相手陣営の拠点を攻め落とせば勝利という棒倒しのようなゲームになっている。一見すると簡単そうだが、勝利には高い戦略と連携が要求されるジャンルでもある。

 プレイヤーは1プレイごとに操作するキャラクターを選択し、キャラクターごとに設定された性能と必殺技を駆使して他プレイヤーと戦う。どのタイトルも選択できるキャラクターが豊富で、選択したキャラクターによって立ち回りや役割が異なり、自分の選択だけでなく相手の選択によっても戦略を変えていく必要がある。

基本的なゲームの流れ

 対戦開始序盤は味方プレイヤー、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)と協力し、敵対NPCを倒しつつ手に入れたポイントを使い自分の操作するキャラクターの戦闘力を強化していく。ある程度味方陣営の戦力が整ったら、相手陣営に攻め込んでいくが、相手陣営の進攻も同時に防ぐ必要がある。ここまでの戦力強化と相手への妨害をどこまで効率よく行えるかが勝利のカギとなる。

 キャラクターの中には後半になって真価を発揮するものがいて、勝利に導くという意味から「キャリー」などと呼ばれる。このキャリーの強化が進むといよいよ終盤戦。キャリーとともに相手拠点に一斉攻撃をしかける。味方と戦略を共有し、育て上げたキャラクター達が敵拠点を陥落させるまでの一連の流れが生み出す達成感。これが多くのプレイヤーを魅了している理由だ。

全ては改造データから始まった

 大人気のMOBAだが、当初は「Dota系」と呼ばれていた。Dota誕生を機に発生したジャンルなのだ。 

 実は純正タイトルの名前ではなく、RTS(リアルタイムストラテジー、Real-time Strategy)と呼ばれるジャンルのシミュレーションゲームの改造データ(MOD)の名前だった。MODとは変形を意味するModificationの略で、その名の通りグラフィックや音声、ゲームルールなどを改変するために制作、使用される。その中でも「ユーザーMOD」と呼ばれる、製作元ではなく有志が作り上げた改造データだった。

 このMODから様々なアレンジ版が生み出され人気を博すようになると、それらはDota系と呼ばれるようになった。その後、Dota系のタイトルを制作会社が独立したタイトルとして発売するようになり、Dotaがゲーム配信サービスを運営する米企業の商標として登録されると、MOBAやAOS(The Real Action Oriented Strategy)の呼称が用いられるようになった。

 そのような経緯があるため、今でもMOBAはRTSの中の一つとして見られることもある。RTSとの違いは、RTSはプレイヤーが一つの陣営を担当し多数のキャラクターやユニットを操り他陣営と戦うのに対し、MOBAは陣営中のキャラクター1人を操作し、味方ユーザーと協力して勝利を目指す点だ。RTSのルールでは特殊ルールに当たる協力プレイが前提となっており、この違いがRTSにない面白さを生み出している。

日本でも人気沸騰の兆し?

 日本では未だ人気とは言い切れないMOBAだが、2014年から世界中で最も多くのMOBAプレイ人口を擁するLOLの公式リーグ「League of Legends Japan League(LJL)」がスタートし、1部リーグでは6チームが世界大会出場を懸けて争っている。昨年夏に開催された決勝戦「LJL 2017 Summer Split Final」では、約4000人のファンが日本最高峰のプレイを目にしようと会場に詰めかけた。日本向けサーバーも2017年から正式サービスを開始するなどLOLがにわかに活気を帯びている。

   また、これまでMOBAの国内発タイトルが不振を理由にサービス終了になるなど失敗した事例もあり、国内でプレイできるタイトルのほとんどが海外製作だったが、ここにきて再び国産タイトルがリリースされた。

 2018年2月に正式サービスが始まった「オーディンクラウン」は、日本人プレイヤーがなじみにくい理由とされた1ゲームの時間を短縮し、キャラクターデザインを日本人向けに作り込んでいる。手軽にプレイできるスマホ用アプリということもあり、このタイトルが多くのプレイヤーを獲得し、国内のMOBA界を盛り上げる可能性は十分にある。

 MOBAの日本での認知度はまだまだ低いが、世界中でプレイされており、2022年のアジア競技大会でメダル競技になる可能性が高いジャンルだ。日本でもプレイヤー人口は増えていくだろう。

 今回紹介したタイトル以外にも多くのタイトルがあり、ほとんどが基本無料でプレイ可能だ。この機会に多くのゲーム要素が詰まったMOBAの魅力と、仲間と協力し相手を倒す達成感を是非体験してもらいたい。