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ボクシングの名場面3選!名場面が生まれる条件とは?

2016 10/12 03:34
ボクシング リング
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Photo by Eugene Onischenko/Shutterstock.com

2人の人間が2つの拳で殴り合う究極にシンプルなスポーツがボクシングだ。 人間の根源的な心と体の強さが試されるこの競技では、歴史上いくつもの名勝負が繰り広げられてきた。 何千何万というボクシングマッチの中で、語り継がれる名場面はどうやって生まれてきたのだろうか?

スターがボクシングの名場面を作る

ボクシングの歴史の中でいくつもの名場面が生まれたが、後々まで語り継がれるような名場面になるためには、いくつかの条件がある。 ひとつがその試合をしている選手だ。いくらボクシングの試合として面白い試合でも、やっている選手は人間だから、その選手にファンが感情移入できるようなスター性がなければ名場面にはならない。
これはすでにスターとなった選手に限ったことではなく、その試合がきっかけでスターになるような原石の輝きとでもいうようなスター性を持った選手と、そのストーリーに、ファンはしびれるのだ。

タイミングがボクシングの名場面を作る

とは言え、いくらスター同士でも、やるタイミングを誤ってしまうと、ファンの心に残るような名場面にはならないかもしれない。 いい例が現代を代表する2人のボクサー、マニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーの対戦だ。
最強の2人の対戦をファンは心待ちにしていたが、さまざまなゴタゴタの末に試合が行われた時はすでに遅く、ブラッドリーやマルケスに黒星を喫してからのパッキャオは全盛期の輝きを失い、またメイウェザーも度重なる私生活のトラブルでファンの心は離れていた。
この2人の対戦が正しい時期に行われていれば、ボクシング史上に残る名場面が誕生したかもしれない。

ボクシング名場面・パッキャオvs.デラホーヤ

そんなパッキャオだが、やはり印象的なのは2008年のオスカー・デラホーヤ戦だろう。 ボクシングヒストリーに燦然と輝く6階級を制覇したゴールデンボーイが自分より遥かに体の小さいフィリピン人を対戦相手に選んだ時には「試合になるはずがない」と非難する声すらあがった。
しかし結果は、初回から積極的に打ち続けたパッキャオの圧倒的勝利。この試合の名場面は、9ラウンド終了後、顔を腫らして立ち上がれないデラホーヤと、きれいな顔のまま穏やかに立つパッキャオの対比だろう。これほど鮮やかな新旧スターの交代劇はない。

ボクシング名場面・ハグラーvs.ハーンズ

ファンが待ち望む最高のタイミングで行われた最高の一戦は何かと尋ねられたら、この試合を挙げるボクシングファンは多いだろう。1985年に行われたマービン・ハグラーとトマス・ハーンズの一戦だ。
WBA、WBC、IBFの3本のミドル級のベルトをかけたこの一戦は、性格的に合わずお互いに大嫌いな2人の不世出のボクサー同士のプライドがファーストラウンドからぶつかりあい、激しい打ち合いになった。「瞬きもできない、息の詰まるようなラウンド」と実況がため息をもらしたこのビッグファイトは、2人ともフルスロットルのまま第3ラウンドを迎え、ハーンズが映画の1シーンのように前のめりに崩れ落ち、決着がついた。

ボクシング名場面・長谷川穂積vs.ウィラポン(2戦目)

ボクシングの名場面はスターを生み出す。タイの英雄的なボクサー・ウィラポンは9年間無敗。辰吉丈一郎を失神させ、「スピードキング」と呼ばれた西岡利晃の挑戦を4度退けており、当時の日本人には「こんなに強いチャンプに勝てる日本人ボクサーなどいない」という絶望感すらあった。
そこに登場したのが長谷川穂積だ。スピードはあったが、とてもウィラポンの相手ではないという見方が多かった中、判定で勝利。そして再戦では、第9ラウンド開始早々、プレッシャーをかけながら前に出てくるウィラポンをたった一発のカウンターパンチでTKOに下し、押しも押されもせぬ「長谷川時代」の開幕を世界にアナウンスした。

まとめ

2人のスターが死力を尽くすファイトの中で、バックグラウンドや選手にまつわるストーリーなどすべてが融合して、ボクシングの名場面は作られる。 もしボクシングに興味を持つことがあれば、「名場面」と言われる試合から入ってみると、ボクシングの魅力にはまると思う。