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B2信州、広島は昨季逃した昇格を果たせるか プレーオフ残り6枠、新型コロナでレギュレーション変更の可能性も【Bリーグ】

2020 3/4 11:00ヨシモトカズキ
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昨季昇格を逃した2クラブが早々にプレーオフ出場を決める

B1昇格を懸けて争っているB2。B1に負けず劣らずの資金力で各クラブが戦力補強を行っており、実力の拮抗するクラブの多いことが今季の特徴だ。

15試合を残して中地区の信州ブレイブウォリアーズと西地区の広島ドラゴンフライズがプレーオフ出場を決めたが、昨季は各々異なったシチュエーションで昇格を逃した。

信州は昨季も組織力を武器に序盤から上位を走り、圧倒的な強さで中地区を制した。しかし、審査において債務超過によりB1ライセンスを取得できず、昇格を果たせなかった。

一方広島は、信州と同じく開幕から勝ち星を重ね、経営基盤の面ではNOVAホールディングスがオーナー企業となり、資本が強化された。そこで元NBA選手を獲得するなど勝負に出たが、これが裏目となり、新加入選手がチームのスタイルとかみ合わず順位は急降下。プレーオフにすら進めなかった。

そんな両クラブだが、オフシーズンの動きも対照的だった。信州が優勝メンバーを多く残した一方で、広島は#1トーマス・ケネディ、#8グレゴリー・エチェニケ、#30古野拓巳とB2のエース格の選手を獲得した。こうした大型補強がシーズンに入ると実り、圧倒的な攻撃力で相手をねじ伏せ、平均87得点はダントツの1位。外国籍選手だけではなく、#2朝山正悟、#24田中成也のシューター陣も好調だ。

メンバー構成に大きな手を加えなかった信州は、#55アンソニー・マクヘンリーを中心に手堅いバスケットを展開。新加入のガード陣もそれぞれの個性を発揮し、すぐにチームに馴染んだ。おそらく問題なくライセンスも取得でき、大きなトラブルがなければB1昇格の可能性は非常に高い。

3クラブに絞られた東地区の争い

中地区と西地区では、信州と広島が強さを見せているが、東地区では熾烈な争いが続く。序盤から仙台89ERSと群馬クレインサンダーズが上位争いを展開。中盤に10連勝を記録した茨城ロボッツが2クラブを追い掛ける形になっている。

仙台は、組織力を重視する桶谷大ヘッドコーチの2年目ということもあり、高いチーム力を誇る。献身的な外国籍選手と勢いのある若手がうまく融合し、攻守とも完成度が高い。

群馬はここ数年、B2の上位に君臨しているが、ライセンスの問題もありなかなかB1昇格を果たせていない。今季も観客動員数で苦戦し、B1ライセンス取得は黄色信号だ。しかし試合では外国籍選手がゴール下で大活躍を見せ、強さを発揮。日本人選手も順調に成長しており、ここからどこまで観客動員数を伸ばせるかがカギを握る。

そして選手層の厚さを誇る茨城。オフェンスで停滞する試合が多く、78.7得点はリーグ10位だが、20敗のうち12敗が70点以下だ。選手の実績は申し分ないだけに、攻撃のバランスの改善が上位に食い込む生命線となる。

ワイルドカード枠で昇格できるチャンスも

今季、プレーオフ出場枠が各地区2位、ワイルドカードが1枠追加になったことで、最大8クラブにB1昇格のチャンスが与えられた。実力が拮抗しているB2では、B1以上に波乱が起きる可能性がある。

これまで挙げていないクラブで注目は、中地区2位の西宮ストークスだ。一昨季B1で戦った経験を持つベテラン選手たちがチームを引っ張る。ただ外国籍選手のビッグマンが1人のためリバウンドが課題で、35.4本はリーグ最下位。シュートの成功率は高く、ターンオーバーも少ないため堅実さはあるものの、ペイントエリアの弱さが課題となっている。

今季のサプライズクラブとなった西地区の香川ファイブアローズは、1試合平均32得点を挙げていた#30テレンス・ウッドベリーを今季絶望のケガで欠いてから、2勝4敗と負けが先行。#7筑波拓朗、#34兒玉貴通と得点力の高い日本人が奮闘しており、何とか西地区2位をキープしたいところだ。ただ同地区3位の愛媛オレンジバイキングスが迫っており、チームの状態を考えれば逆転の可能性は大いにあり得る。

気になるのは、新型コロナウィルスの関係でレギュラーシーズンの試合が延期となり、ポストシーズンのレギュレーションが変わる可能性があること。現段階ではどのような形になるのか発表されていないが、期間の短縮など様々なケースが想定される。

この中断期間中に選手登録が締め切られ、各クラブの戦力補強の機会はなくなった。リーグの再開まで、ケガ人の復帰も含めて終盤を戦う体制作りも重要になる。