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【Bリーグ第9節プレビュー】神奈川ダービー、横浜17度目の正直となるか

2019 11/15 19:18マンティー・チダ
横浜ビー・コルセア―ズ_秋山皓太Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

神奈川ダービーはこれまで川崎が16連勝

今シーズンも神奈川県をホームタウンとする横浜ビー・コルセア―ズ(横浜市)と川崎ブレイブサンダース(川崎市)が対戦する「神奈川ダービー」がやってくる。今週末に横浜国際プールに川崎を迎えて試合が行われる。ここまで川崎は11勝3敗で中地区1位、横浜は5勝8敗で中地区2位につけている。

両チームはBリーグ初年度から3シーズンに渡って対戦してきた。これまでのリーグ戦対戦成績は川崎が16勝0敗。つまり横浜はリーグ戦で一度も川崎に勝利をしたことが無いのだ。

過去の対戦成績・横浜対川崎ⒸSPAIA

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過去の成績を見てみると川崎が100点ゲームで圧勝したこともあれば、接戦となった試合もある。では、これまでの4シーズンにおける、基本的なチーム編成を確認してみることにする。

横浜メンバー構成ⒸSPAIA

川崎メンバー構成ⒸSPAIA

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川崎は、ここ4シーズン中心選手に動きは無い。キャプテン#7篠山竜青、#14辻直人、#33長谷川技、#22ニック・ファジーカス、#18鎌田裕也と各ポジションで不動の選手たちが存在感を出している。ただ、今シーズンは、佐藤賢次HCに変わり、機動力あるチームスタイルに変貌。メンバー構成も東芝時代から育成に力を入れていて、移籍による選手の加入は無かったが、今シーズンは#24大塚裕土と#27熊谷尚也が加入し、選手層にも幅が出た。

一方の横浜は、昨シーズンまで川村卓也と細谷将司が中心を担っていたが、川村は三河へ、細谷は秋田へ移籍し、他の選手を大幅に入れ替えて新シーズンに臨んだ。主将に#21田渡凌を据えて、アグレッシブなディフェンスを主体に進めるチームスタイルに変えてきた。

※データは全て2019年11月15日時点

横浜の平均失点が昨シーズンより大幅に改善

さらに両チームのデータから見てみる。

両チームデータ比較用ⒸSPAIA

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この表は、上段から神奈川ダービー直接対決平均得点、2018-19シーズン、2019-20シーズン(第8節消化まで)を並べたものである。これまで川崎が16戦全勝なので、平均得点で川崎が上回るのは当然だ。そして、2018-19シーズン、2019-20シーズンの1試合平均スタッツを確認すると、平均得失点、FG・3p・FT成功率は川崎、平均トータルリバウンドは横浜の方が良い。ただ、顕著に変化している数字がある。それは、横浜の平均失点だ。2018-19シーズンは84.2失点(リーグワースト)から、2019-20シーズンは75.0失点(リーグ7位)と9.2点減っている。このように数字からもわかる通り、ディフェンスの精度に大幅な改善が見られる。だから、川崎も昨シーズンまでの横浜とチームスタイルが違っていると頭でわかっていても、昨年までの印象で試合に臨むと厳しいものになる事は予想される。

数字からもう一つ分析できるとしたら、1試合平均のターンオーバー。両チームとも、昨シーズンよりも増加しているのだ。特に川崎は昨シーズンよりも1試合平均4回多くなった。様々な要因が考えられるが、オフェンスの停滞によるものだと考えられる。チームスタイルを変えてきているとはいえ、まだまだ改善の余地はあるだろう。

※データは全て2019年11月15日時点

データ上は川崎優位だが、横浜はアグレッシブな守備の上で秋山皓太の得点力がカギ

今シーズンの神奈川ダービーは、ここまでの勝率やデータで考えれば川崎優位と予想できるが、ここにきて少し不安要素も出てきている。

川崎は第1節で宇都宮に2連勝して好スタートを切り、第4節で昨シーズンリーグ戦準優勝の千葉にもアウェイで連勝。第6節では東地区で好調のSR渋谷とも好勝負と、1勝1敗と順調な滑りだしをしていた。しかし第7節の島根戦ではGAME1でロースコアに持ち込まれて敗戦し、第8節の三遠戦では連勝したものの、今シーズンまだ白星がない相手に対してGAME2で接戦に持ち込まれた。あわやという場面まで追い込まれていたのだ。さらに島根のGAME1は、3p成功率で相手が上回り(川崎16.7% 島根36.4%)、三遠のGAME2は、ハードワークが出来なくてディフェンスにミスが出たことで苦戦した。

三遠戦GAME2の様に川崎がハードワーク出来ないとなると、横浜にもチャンスはある。今シーズン改善してきたアグレッシブなディフェンスを、川崎に対して40分間やり通せば可能性はある。アウトサイドにも活路を見いだしたいが、今シーズンの3p成功率は29.8%と昨シーズンの数字より下回っているので、厳しいかもしれない。ただチームの中で3p成功率が42.1%と高い#22秋山皓太が突破口を示せれば、この課題はクリアできる。

横浜が川崎から勝利するためには、40分間アグレッシブにディフェンスすることを前提に、いかに秋山で得点することができるかだろう。チームの3p成功率が3割を切っている中で、チーム内の3p成功率が高い秋山の得点を伸ばすことでその後の守備にもより一層力が入る。秋山の動きをよく観察しておくと、どちらのチームが優勢か分かる神奈川ダービーになりそうだ。