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【Bリーグ第8節】A東京が東地区首位へ 安藤誓哉が攻守で躍動

2019 11/15 11:14マンティー・チダ
アルバルク東京の安藤誓哉Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【第8節GAME2】安藤誓哉が勝負所でレイアップ、ファストブレイクを決める

昨シーズン、リーグ戦王者A東京に琉球が挑んだこの試合。GAME1はA東京が76-66で琉球を退けた。A東京はロスター10人で挑んでいるが、そのうち、#10 ザック・バランスキーは右足関節捻挫という診断を受けて、試合に出場できるところまで回復はできていない。実際のところは9人でやりくりしているのが現状のよう。今回、その中でGAME2において攻守ともにアグレッシブに戦い、チームの勝利に貢献した選手がいる。#3安藤誓哉だ。

1Q、A東京は先制こそ琉球#45ジャック・クーリーのポストプレーから許したが、1on1からシュートを放った#24田中大貴、#53アレックス・カークのジャンパー、速攻から#12ミラン・マチュワンの得点などで10-5とリードする。さらにA東京は、琉球のファウルによって獲得したフリースローを確実に入れていき、14-9で1Qを終了した。

2Q、立ち上がりからA東京はマチュワンや安藤のレイアップなどで得点を重ね、23-13と優位に試合を進めるが、田中のアンスポーツマンファウルから、ファウルによるフリースローが重なり、琉球は#14岸本隆一らがしっかり決める。直後のオフェンスではクーリーがバスケットカウントを成功させて3点を加えると、優位に進めていたA東京に23-20と肉薄する。

しかし、次のポゼッションでA東京・安藤がペイントエリアへアタックし、レイアップを沈めて流れを取り戻すと田中の連続得点で、再びリードを広げていく。残り3分を切って、A東京は琉球・クーリーのリバウンドに苦しめられながらもリードを保ち、35-30で前半を折り返す。

3Q、出だしから少しずつ点差を広げていくA東京。しかし琉球・クーリーが得点し、40-33になったところで、琉球のスコアも少し動き始める。点の取り合いとなるかと思えたが、48-39で琉球#3並里成にオフェンスファウルがコールされると、流れは完全にA東京へ傾く。マチュワンがジャンパーを決めた後、琉球はエンドラインからボールを入れる事が出来ず、5秒バイオレーションに。A東京に攻撃権が移ると、田中がスクリーンを使ってミドルシュートを決める。直後の守備では、琉球#0石崎巧のシュートに対し、#15竹内譲次がブロックショットでボールを奪うと、コーナーから#11須田侑太郎が3pを沈めて55-39とリードを広げた。

琉球も流れを変えるためにタイムアウトをコールするが、A東京は安藤とマチュアンの3pなどでさらにリードを広げて、最後は安藤のブザービーターとなるフローターが決まり、66-44で最終Qへ向かう。

アルバルク東京の安藤誓哉Ⓒマンティー・チダ

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4Q、大きくリードしたA東京だったが、琉球に猛攻を仕掛けられる。このQからコートに入った琉球#34小野寺祥太が3pで先制する。さらにセカンドチャンスから#32満原優樹に得点を許すなど、66-89になりA東京・竹内がファウルをしたところでA東京がタイムアウト。

しかし、琉球の勢いはとどまることなく、#24田代直希のフリースローで1点加点した後、小野寺が激しいディフェンスからスティールに成功。そのままブレイクを決めて得点を加算する。A東京のテクニカルコーチファウルから岸本がフリースローを決めると、#4デモン・ブルックスのジャンパーと岸本の3pが決まり、A東京はリードを12点まで詰められる。

今度は琉球の流れになったかと思われたが、A東京は田中のバスケットカウントで阻止し、安藤もフリースローを2本決める。琉球・ブルックスに3pを沈められる場面もあったが、須田の好守備からマチュアンが得点を決めて14点リードまで戻す。その後は拮抗した展開となり、83-71でA東京が琉球を下してこのカード連勝。東地区首位に躍り出た。

このGAME2で、安藤は2桁得点。ペイントアタックやファストブレイクを決めて、攻守ともにチームに流れをもたらす活躍を見せてくれたのであった。

「自分のやるべきことを1試合通してできるよう意識する」安藤誓哉

A東京と琉球は、チームスタイルが良く似ている。共にスイッチディフェンスを多用し、ロースコアの試合展開を好む。加えて、A東京のルカ・パビチェビッチHCと琉球の佐々宜央HCはかつて日本代表のスタッフとして共に汗をかいた間柄だ。

A東京のパビチェビッチHCは「2連勝できてよかった。タフネスとアグレッシブ、ソリッドに堅実に守る、スマートに賢く守るというプレーを長い時間帯で出来ていた。ただクーリーのオフェンスリバウンドが反省点で、ディフェンスができていても簡単にオフェンスリバウンドを取られて得点に繋がってしまった」と試合を総括。

琉球も競った展開に持ち込んだが、オフェンスの精度で差が出た。佐々HCは「選手は2日間最後まで戦ってくれたが、試合に向けて準備不足の面もあった。コーチの不甲斐なさに尽きる」と反省を語る。

GAME2は、3QまではA東京が先行し、琉球が追いかける展開だったが、4Qに入ると琉球が底力を見せて追い上げを図っていく。しかし、それまでの貯金をA東京が生かした格好で勝利を飾った。琉球に流れが傾きそうになっても、A東京のポイントガード安藤は、攻める気持ちを捨てずに戦っていた。

「今日は本当にディフェンシブゲームでした。前半、ロースコアで抑えられて良かった。非常に自分たちのペースでバスケットが出来た」

安藤はパビチェビッチHC同様に成果を強調した。

A東京はポイントガードの#1小島元基がケガで離脱中。#30山本柊輔が途中入団したが、まだ起用するところまでには至っていない。「安藤はスコアリングポイントガード。小島と共に2年連続チャンピオンチームのポイントガードだ」とパビチェビッチHCも安藤に対する信頼は不変だ。

「最後にプレッシャーをかけられるメンタリティーを持ったチームはそんなにない。そこはリスペクトするべきだ」

安藤は琉球のチームメンタリティーの高さに最大限の敬意を表した上で‟ディフェンス”に注力を置いて試合に臨んでいた。

アルバルク東京の安藤誓哉Ⓒマンティー・チダ

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「相手のポイントガードに対して好きにやらせないよう意識をしました。(3Qでスティールからブレイクを決めたシーンも)勝負所でターンオーバーを誘発できました。スティールを意識して狙う事はあまり無いですが、前から立ち続ける事は重要です」

安藤は4試合連続で2桁得点。

「個人の数字はそこまで意識していない。勝つ為にゲームコントロールすることを考えている。常に攻める気持ちは持っています」

ペイントアタックや前線からの守備など、攻める気持ちを大事にしていた。

「チームもビルドしてきているので、お互いの良いところを出せれば良い。けが人がいますが、自分たちもいつもより少し力を出せている状況なので良い傾向」

安藤はここまでの戦いぶりをこのように振り返る。

「(けが人の影響で)体にも負担はありますが、自分のやるべきことを1試合通してできるよう意識して取り組んでいます」

そう、自分の役割を認識していた。

これでレギュラーシーズンの5分の1が終了。長いシーズンを戦う上で自分の役割に徹する安藤の存在は、3連覇を目指すA東京にとって欠かせないようだ。