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B2「西宮劇場」で終了間際のドラマチック逆転劇連発

2019 11/16 11:00カワサキマサシ
西宮のバーンズⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

山形戦は残り1秒で同点

BリーグのB2中地区に所属する西宮ストークスが、11月3日のホーム山形ワイヴァンズ戦で派手な勝利を飾った。この試合は残り5分を切った段階で、74-68と西宮が6点リードする展開。しかし山形に追い上げを許し、第4Q残り0分07秒にインサイドで逆転となる失点を喫して、80-82と絶体絶命の危機に陥った。そして、残り0分03秒。最後のワンプレーで同点を狙った西宮・道原紀晃がミドルレンジから2Pシュートを放つが、無情にもリングに弾かれる。

だが、次の瞬間。ゴール下に控えていたビッグマン、ブラッドリー・ウォルドーがリングを弾いたボールをタップし、ボールはそのままリングに吸い込まれた。試合終了まで残り0分01秒で同点に追いつき、アリーナに大歓声が巻き起こる。その後、試合は5分間のオーバータイムに突入し、西宮は15得点を上げる一方で3失点と堅守ぶりを発揮し、山形を下した。

この山形戦のように、今季の西宮は劇的な展開の試合を多く演じている。Bリーグは第4Qの残り5分を切ったところでプレーが途切れると、90秒間のオフィシャルタイムアウトが挿入される。このオフィシャルタイムアウトに入った時点で、西宮と相手との得点差が8点以内だった試合は、ここまでの17試合中9試合と約半数。その9試合は6勝3敗で、勝負強さが目立っている。

開幕戦から残り1秒での大逆転スタート

今季の西宮は、9月21日にバンビシャス奈良と対した開幕戦からドラマチックな展開で勝利を収めている。前半に奈良がリードしながら、第3Q早々に西宮が逆転。一時はリードを7点に広げたが第4Qに入って奈良の反撃にあい、残り4分33秒でオフィシャルタイムアウトに突入した時点のスコアは、64-61と西宮が3点リード。

しかし、奈良はなおも粘りを見せ、残り0分12秒で71-72と再逆転する。次のプレーで奈良がファウルを犯し、残り0分08秒でゲームはいったんストップ。リスタートされると追いつめられた西宮はパスをつなぎ、最後のシュートを外国籍選手のドゥレイロン・バーンズに託した。

バーンズは奈良の必死のディフェンスにゴールへの進入を阻まれ、最後の選択肢として選んだのは3Pシュート。残り0分01秒でバーンズの手を離れたボールは、そのままリングに飛び込む。起死回生の逆転弾に、大歓声が沸き起こった。

このほかにも10月19日の越谷アルファーズ戦は、オフィシャルタイムアウト時に65-59とリードしながら、第4Q残り0分09秒に同点の3Pシュートを浴びせられる。しかし、残り0分03秒でウォルドーが味方のシュートが外れたリバウンドを拾い、自らゴールに流し込み76-74で勝利。

翌週10月26日の広島ドラゴンフライズ戦は、57-60と3点ビハインドでオフィシャルタイムアウトを迎えたが、残り3分07秒に道原の3Pシュートが決まって逆転に成功。その後は僅差での攻防が繰り広げられ、残り0分56秒で広島に3点差に詰め寄られたが、そこから西宮はウォルドーのフリースロー1本成功、バーンズが相手ボールを奪ってからのワンマン速攻を決めて加点。73-67で逆転勝利をあげた。

OTO時8点差以内が17試合中9試合

バスケットボールで8点差は、5分弱もあれば充分に引っ繰り返せる得点差である。実際に西宮も、先述した山形戦の第3Q残り0分05秒から、第4Qの残り7分07秒の約3分間で11得点をあげた。終了まで5分を切ってのひとケタ以内のスコア差は安全圏ではなく、逆転劇が起こる可能性もあるのだ。

先述したように、今季の西宮はオフィシャルタイムアウト時に相手との得点差が8点以内だった試合は17試合中9試合。勝敗がどちらに転ぶかわからない、観客がハラハラ、ドキドキする試合を多く見せている。

西宮2019年成績ⒸSPAIA

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西宮の試合が終盤にもつれがちなのは、前後半での得失点傾向に表れている。得点ペースは前半38.2、後半38.4と変わりないが、失点は前半が33.9であるのに対し、後半は38.1と4.2増えている。特に第4Qの失点は19.6と最も多い。

とはいえ平均失点72.1はリーグ18チーム中4位と、守備力は評価できる高さ。西宮は現在、B2中地区2位。今後も安定して上位をキープし、さらに上を目指すために、終盤での失点を減らすことに注力したい。

西宮はここまで13勝4敗だが、4敗のうち3敗は4~5点差以内と、負けたとしても試合終了まで観客の目を引きつける接戦を展開している。“西宮劇場”は最後まで目が離せない。