千葉vs.A東京 決戦は昨年と同じ顔合わせ
いよいよ頂上決戦迎えるBリーグ。5月11日、横浜アリーナで行われるファイナルに勝ち上がってきたのは、レギュラーシーズン最高勝率でチャンピオンシップに進出した千葉と、昨季のリーグ年間王者で連覇を狙うA東京。昨年と同じカードとなった。
昨季のファイナルは、地区優勝を達成した勢いとともにホームアドバンテージを生かして勝ち上がった千葉と、セミファイナルで敵地三河に乗り込むことも苦にせず連勝したA東京という対決だった。
Ⓒマンティー・チダ
そのファイナルでは、A東京が主導権を握っていた。後半で千葉・富樫を中心に勢いを取り戻そうとするが、流れを変えることができず、A東京が85-60で初のリーグ年間王者に輝いたのであった。
今季のレギュラーシーズンは千葉が5勝1敗
千葉は、昨季ファイナルで敗れた悔しさを胸に、今季のレギュラーシーズンを戦ってきた。特にA東京戦は、5勝1敗と大きく勝ち越している。
<レギュラーシーズンの対戦結果>
2018年12月15日 A東京 76-72 千葉(駒沢)
2018年12月16日 A東京 71-76 千葉(駒沢)
2019年01月23日 千葉 81-79 A東京(千葉)
2019年03月13日 A東京 62-76 千葉(立川)
2019年04月13日 千葉 59-57 A東京(船橋)
2019年04月14日 千葉 87-76 A東京(船橋)
こうして並べてみると、僅差の勝負が多いが、最後は千葉が粘り勝っており、さらに2季連続東地区優勝を決めたのは、2019年4月14日のA東京戦だった。
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唯一、2018年12月15日の試合で敗戦したが、大野篤史HCは「お互いに集中して、お互いの強みを消そうとしていた好ゲームだった」と話す通り、チームにとって満足度の高い試合になったという。
また、リーグ戦だけではなく、天皇杯準決勝でも最後のワンプレーで勝利を手繰り寄せており、シーズン通してA東京に対しては、特に「負けたくない」という強い気持ちが結果として現れたのだろう。
スタッツと一発勝負の経験値を比較
過去2シーズン、シーズン最高勝率で勝ち上がった2チーム(2016-17川崎、2017-18三河)は、共にリーグ優勝を逃している。さらにファイナルは一発勝負のため、何が起こるかわからないが、レギュラーシーズンを基に両チームのスタッツを平均得失点で比較してみる。
千葉:平均得点85.9(リーグ1位)、平均失点71.3(リーグ4位)
A東京:平均得点78.2(リーグ8位)、平均失点69.6(リーグ2位)
千葉は平均得点、A東京は平均失点で相手を上回る。A東京としては、この結果が示すような試合であったレギュラーシーズン第35節(4月13日)の前半、千葉に得点を許さずロースコアゲームとした展開に持ち込みたいところだろう。
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また、選手起用については、千葉は今季から2番ポジション(シューティングガード)を石井講祐と田口成浩に任せている。石井は昨季、シックスマンとしてファイナルに出場。田口は千葉に移籍して初めてのファイナルだが、秋田時代はBリーグの前身であるbjリーグの時に、一発勝負のファイナルを知っている。共に、昨季とは役割が違うものの、ファイナルの独特な雰囲気は経験済だ。一方のA東京は外国籍選手で入れ替えはあったが、王者となった昨季ファイナルとほぼ同じ選手起用になる見込みである。
このように、ファイナルの経験値、スタッツだけを見れば互角の戦いが期待できるのではないだろうか。
リバウンド1本、ルーズボール1個を大切にする
では、勝負の分かれ道はどこにあるのだろうか?それは、いかに40分間自分たちのバスケをやり切れるかである。
レギュラーシーズン第20節(1月23日)で、千葉がA東京に勝利して2度目の10連勝を達成した時のことだ。後半立ち上がりから富樫がパスカットに成功して走るバスケを展開し、ここから一気に逆転して勝利をもぎ取った。
しかし実は試合終盤にあわや逆転負け--3pが1本出れば敗戦--というところまで追い込まれた場面があった。試合後、大野HCはミーティングで「リバウンド1本、ルーズボール1個、最後自分たちの命取りになるよ」と声をかけている。つまり、最後まで気を抜かず、集中することが大事になるのである。
「リバウンド1本、ルーズボール1個を大切にする」
まさにこれを40分間がむしゃらにできたチームが、リーグの頂点に立つのではないだろうか?
千葉とA東京は、何度も顔を合わせているため、お互いに手の内はわかっているはず。今季、千葉がA東京に大きく勝ち越した要因に、A東京のピック&ロールやチェンジングディフェンスに慣れてきたことも考えられる。もちろん、A東京から見ても、千葉の選手に、ディフェンスリバウンドやスティールから走られる展開にさせていけないことは、もうわかっていることだ。
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ファイナルという独特の舞台で、泥臭くボールを追いかけることができるのか。また、ゼロにはできないが、局面を変える可能性がある無駄なターンオーバーは控えておきたい。
いつもより緊張感が増したアリーナのコート上で、過信や慢心をせずに試合を40分間やり切れるか。それが大きな鍵となる。
令和初のBリーグ王者は千葉かA東京か。注目のファイナルは、神奈川県横浜アリーナで、本日5月11日の15時10分開始である。