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A東京がロースコアゲーム制し琉球下す 連覇を懸けファイナル千葉戦へ

2019 5/8 15:00SPAIA編集部
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得意のディフェンス合戦で毎試合締まった展開に

今季のBリーグにおいて、失点を60点台に抑えたクラブは2つ。それは68.7の琉球ゴールデンキングスと69.7のアルバルク東京。その2クラブがチャンピオンシップ セミファイナルで激突。堅守が武器のクラブ同士の対戦となるだけに、締まった試合展開が予想された。

琉球のホームで迎えたこのシリーズ、第1戦はA東京が4Qに逆転し先勝したが、67-57と予想通りのロースコアに。ボールマンにプレッシャーをかけ続け、マークマンにボールを渡さないディナイディフェンス、そして寄りの速いヘルプディフェンスとお手本となるようなディフェンス合戦が繰り広げられた。

翌日第2戦もロースコアとなり、初戦とは逆に4Qで琉球が逆転し62-56で勝利。1勝1敗のタイとなり迎えた第3戦、#3安藤誓哉、#24田中大貴、さらには#10ザック・バランスキーの数字に現れない活躍で2QにA東京が抜け出す。

琉球は#24田代直希の3Pシュートで盛り返すも、72-60でA東京が白星を挙げ、2年連続のファイナル進出を果たした。

敵地で逆王手をかけられたA東京は、田中が本調子ではなかったが、シリーズを通して安藤や#1小島元基とガード陣が攻防で存在感を発揮。また、#6馬場雄大が全試合でスティールを挙げるなど、相手の反撃の芽を摘む活躍を見せた。何よりも琉球の得点を57、62、60とロースコアに抑え込んだチームディフェンスが、大きな勝因となった。

果敢なペイントアタックが得点と琉球のファウルを生む

A東京は田中がケガ明け、勝負強いシュートを沈めていた#31ジャワッド・ウィリアムズがアキレス腱断裂で今季絶望と終盤は手負いの中で戦っていた。それでも得点とアシストを増やした安藤や、スタメン起用が増えて、多くの部門で成績をアップさせた馬場の成長でカバーした。ワイルドカードでチャンピオンシップに出場した。

今季のA東京は琉球に対して1勝3敗と負け越していた。敗れた3試合はいずれも70得点以下。シーズン平均78.2を大きく下回る数字で、琉球の強力なディフェンスに手を焼いていた。

その原因はペイントアタックの少なさにあり、ペイント内の得点は毎試合30点前後、多いときは総得点の半分以上を占めているものの、琉球との4試合では16得点、30得点、22得点、20得点で平均22得点。こちらも平均以下の数字で、フリースローの獲得本数も少なく、得点が伸びていなかったのだ。

そこでこのシリーズでは全選手が積極的にリングにアタック。強引に攻め込む部分もあったが、攻めの姿勢が琉球のファウルトラブルを生んだ側面もあった。実際、琉球のシーズン平均ファウルが17.5本に対して23、16、19と増加していた。

ペイント内の得点に関しても、初戦から22得点、30得点、28得点と波は少なかった。特に第3戦は3Pシュート8本を高確率で沈めながらの28得点で、好調な外角シュートにこだわることなく着々とシュートを沈めていたことが分かる。

最後までリングへの積極性を失わなかったことが、激戦を制した要因となったのだ。

3人の司令塔が不振、攻撃の停滞感を拭えなかった琉球

一方の琉球はシーズンを通してケガ人に苦しんだ。相次ぐ外国籍選手のケガに、日本人選手も立て続けに戦線を離脱した。それでも#1橋本竜馬、#3並里成、#14岸本隆一の3人の司令塔を軸に安定したバスケットを展開。終盤は得点力不足を露呈したものの、チャンピオンシップでは日替わりのヒーローの登場で勝利をつかんでいった。

しかし、A東京との3連戦ではチームの売りであった3人の司令塔が不振。橋本はディフェンスで存在感を発揮したものの、ゲームメイクはさえず、岸本は5得点、0得点、4得点と持ち味の得点力を発揮できなかった。

最も苦しんだのが並里で、A東京の厳しいディフェンスに本来の姿を見せられなかった。シーズンでは8.9得点、6.4アシストという成績だったが3試合平均は6得点、3アシストと一気にトーンダウン。ターンオーバーも平均4本と精細を欠き、全試合で20分以下の出場時間に終わった。

守備自慢同士の試合とは言え、チームの総得点も57得点、62得点、60得点とシーズン平均の74.8得点には到底及ばない数字に。シーズン終盤から狂っていた歯車をこのシリーズでも戻せなかった。

こうしてBリーグ3季目のファイナルは、昨年と同カード千葉ジェッツvs. A東京の対戦となった。

千葉の2冠か、A東京の2連覇か、注目の一戦は5月11日に行われる。