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【Bリーグセミファイナル】千葉2季連続ファイナル進出 栃木との死闘を制する

タイムアウト中の千葉ジェッツの選手らⒸマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ


【GAME2 前半】富樫が要所で得点に絡む

GAME1は、千葉が栃木を75-67で下しており、千葉がGAME2を制すれば、ファイナル進出となる。

開始早々、栃木#4ジェフ・ギブスが連続得点で先制すると、千葉は#2富樫勇樹が得点を重ねる。さらに#21ギャビン・エドワーズがリバウンドから速攻を決めると、栃木も#18鵤誠司がショットクロックぎりぎりで3pをコーナーから沈め、#9遠藤祐亮も続いて互角の戦いを見せる。

前半でリードを広げるきっかけを先に掴んだのは千葉だった。#10アキ・チェンバースがスティールでボールを奪うと、たまらず栃木#13渡邉裕規がディフェンスファウルし、さらに千葉のチェンバースが3pを決める。

そして、栃木#0田臥勇太がスリーポイントエリア外でファウルをしたことによりフリースローの権利を獲得した千葉#5田口成浩は、3本しっかり決めてリードを広げた。栃木はこの段階でチームファウルを4つ重ねていた。

追いかける栃木。#6比江島慎がファストブレイクを成功させるなど2点差まで詰めるが、最後は富樫がスティールでファストブレイクを決めた。結局千葉が5点リードで1Qを終了する。

2Qに入り千葉は、#3マイケル・パーカーがオフェンスリバウンドに飛び込みタップシュートを入れると、今度は#11西村文男からパスを受けて、カットインを成功させる。しかし、栃木のギブスにスティールからファストブレイク、#10竹内公輔にオフェンスリバウンドから得点され、5点差となる。

攻め込む千葉ジェッツ・富樫勇樹のマークに付く栃木ブレックスの鵤誠司(手前)Ⓒマンティー・チダ

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オフィシャルタイムアウト後も、両チームともに互角な試合展開を見せる。

栃木は比江島が3pを沈めるなど5得点を挙げれば、千葉は富樫が3p、エドワーズもレイアップを決めて、栃木に点差を詰めさせない。結局千葉が7点リードで前半を終える。

【GAME2 後半】栃木の猛攻をかわし千葉が逃げ切り勝ち

後半開始後、しばらくスコアが動かない状況が続いた。しかし、千葉が富樫の浮かしたパスからパーカーが反応してシュートを決めたことで試合が動きだす。さらにチェンバースもパスカットして一気にゴールに向かい、一気に走ってファストブレイクを成功。10点リードとした。

たまらず栃木がタイムアウトを請求すると、その後千葉にファウルが重なり、流れは栃木へ。渡邉がフリースローを3本沈めると、遠藤も続けて得点したことにより、追撃態勢に入る。さらに鵤がスティールからファストブレイクを決めて5点差に詰めると、今度は千葉がタイムアウトを請求した。

このタイムアウトで、今度は千葉が勢いを取り戻す。

パーカーの得点から始まり、#1ジョシュ・ダンカンがバスケットカウントを成功。富樫も3pを含めて3連続得点で引き離すと、ダンカンのポストプレー、セカンドチャンスからエドワーズも入れて、一気に13点リードした。ここで3Qが終了する。

4Q、序盤からスコアが動かなかったが、栃木・比江島のファストブレイクが決まったところで、千葉・エドワーズがアンスポーツマンライクファウルを宣告される。栃木はここでフリースローと攻撃権を獲得し、比江島がフリースローを決めたが、それに続いて得点することができなかった。ここを1点で凌いだ千葉は、エドワーズのダンク、チェンバースの3pで再びリードを広げて、ペースを取り戻してオフィシャルタイムアウトを迎える。

オフィシャルタイムアウト後、千葉は富樫のノールックビハインドバスから、西村がコーナーから3pを沈めて16点リードとする。残り3分50秒、栃木が最後のタイムアウトを請求する。

このまま終われない栃木はここから怒涛の追い上げを見せる。

シュートする千葉ジェッツのギャビン・エドワーズⒸマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


ギブスがスティールからレイアップを入れると、直後の千葉攻撃時にエドワーズがダブルドリブルで、栃木ボールになる。渡邉がジャンパーを決めると、遠藤が3pを沈めて10点差まで追い上げる。千葉は、状況を打開するためタイムアウトを請求するが、栃木の流れは続いた。

その後も遠藤が3pを含めて5得点、比江島も決めて、遠藤が相手ファウルから獲得したフリースローを3本入れて7点差。続いて渡邊が3pを沈め4点差まで接近したものの、最後は千葉・富樫がフリースロー1本を入れて粘る栃木を振り切った。

千葉が88-83で栃木に勝利。GAME1に続いての勝利となり、2シーズン連続でファイナル進出を決めた。

「2連勝できたのはリバウンドで栃木を上回ったから」富樫勇樹

死力を尽くした2試合だった。特にGAME2は終始千葉が先行する試合展開だったが、少しでも気を抜くと流れが変わってもおかしくない展開だった。

そして、この試合において色んな選手の活躍を挙げたいところだが、富樫の存在が特に大きかった。

立ち上がりからエナジー全開の栃木。ギブスの連続得点で滑り出しを決められても、富樫はしっかり得点に絡んでいた。1Q終盤には好機を見逃さずスティールを決め、ファストブレイクに成功して引き離す。また、3Qでは5点差まで詰められていた場面から、7得点を挙げていた。ここぞというときに、富樫は得点を重ねているのだ。そうして富樫が攻撃で良い形を作ることで、周りも良いリズムになっていく。

「2連勝できたことは嬉しいが、これを作ってきたのはレギュラーシーズン60試合があったから。長いシーズンで集中力を切らさずに戦い続けたことが結果に繋がっている」とあくまでもレギュラージーズンにおいて、リーグ最高勝率で地区優勝を達成したことがベースにあると強調した。

そして「栃木ブレックスに2連勝できたことは、チームにとって大きな自信になる」と付け加えた。栃木は千葉に次いで、リーグ勝率2位のチーム。だからこそ連勝が自信につながるのだ。

2連勝できた要因として、富樫は「リバウンド」をあげた。2戦連続して千葉が栃木より10本以上多かった。

栃木はオフェンスリバウンドB1全体でトップの数字(平均13本)を誇っており、今季ここまでリバウンド数はほぼ互角。GAME2だけで言えば、オフェンスリバウンドでも栃木の15本に対して、千葉は18本だった。

インサイドのエドワーズやパーカーが多いのはうなずけるが、ガード陣もオフェンスリバウンドをカウントしている。全員がオフェンスリバウンドに意識が向いていた何よりの証拠だ。

「リバウンドで10本以上相手を上回るのは想像できなかった」と富樫が話す通り、40分間徹底してやるべきことに集中していたことがうかがえる。

試合後インタビューに答える千葉ジェッツ・富樫勇樹Ⓒマンティー・チダ

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富樫は「いまだに昨年のファイナルで負けたことが忘れられない」とセミファイナル終了後のコート上インタビューで話していた。チャンピオンシップに入る前から、コメントを求められるたびにそう答えている。

ファイナルの相手はA東京。千葉が昨年の雪辱を晴らすには、レギュラーシーズン通りの力を示し、自分たちのバスケを40分間やり切れるかにかかっている。