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【Bリーグ第35節】新潟が中地区優勝 コートに復帰した今村佳太も貢献

Bリーグ,新潟アルビレックスBB,今村佳太,池田雄一,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【DAY1前半】新潟vs川崎 お互い譲らず同点で折り返す

新潟は出だしから#34ラモント・ハミルトンの3pや#54ダバンテ・ガードナーの得点などで好スタートを切る。しかし川崎も#22ニック・ファジーカスが3p2本を含む8得点などで追いかけ、10-10と振り出しに戻す。

中盤からは川崎の#7篠山竜青らが得点をすれば、新潟もハミルトン、ガードナーを中心にゴール下を制して、19-19で1Qを終了する。

2Qに入り、新潟のハミルトンのフリースロー2本が決まった後、しばらくはスコアが動かない展開となった。残り8分35秒、#22上江田勇樹に代わり、#30今村佳太がコートに入った。今村は、昨夏8月に開催された「第18回アジア競技大会」に男子日本代表チームとして参加し、不適切な行動により処分を受けていたが、復権(処分解除)となっていた。

その後、川崎#21バーノン・マクリンのスティールから#31シェーン・エドワーズがファストブレイクとなるダンクで同点にされる。さらに#0藤井祐眞のスティールから、セカンドチャンスを経てマクリンに得点をされ勝ち越しを許し、新潟はタイムアウトを請求することとなる。

Bリーグ,新潟アルビレックスBB,今村佳太,池田雄一,Ⓒマンティー・チダ

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タイムアウト後、点の取り合いとなり、新潟・今村もフローターを決めて復帰初得点でチームに貢献。譲らない展開は終盤に向かっても続いていく。新潟は#7五十嵐圭のファストブレイクからリードする展開としたが、川崎#14辻直人に4点シュートを決められ逆転を許すが、最後はハミルトンのダンクで同点として前半を折り返す。

【DAY1後半】新潟が地区優勝 最後はハミルトンが決める

後半開始から川崎にペースを握られる。ファジーカス、辻に3pを決められてリードが広がるものの、新潟はガードナーがポストプレーでペイントエリアに侵入し、フリースローを含めて5得点。川崎に喰らいついていく。

しかし、川崎マクリンに速攻からダンクを決められ、2-3ゾーンディフェンスに苦しむ。オフェンスリバウンドで粘る場面があるものの、得点にはつながらず、逆にここをしのいだ川崎が、速攻から再びマクリンが得点したことにより7点ビハインドとなったところで、新潟はタイムアウトを請求する。

タイムアウトをあけても、川崎にゾーンディフェンスを敷かれる。しかし、新潟は再びコートに入った今村がコーナーから3pを決めて3点差に詰めると、ハミルトンの得点などで再び1点差に。終盤、ファジーカスにバスケットカウントを献上するが、新潟は森井が川崎のゾーンディフェンスに対してもしっかり対応し得点。結局、川崎1点リードで最終Qへ向かう。

4Qに入ると、川崎がゾーンディフェンスからペースを握る。辻のアシストに反応したファジーカスが得点すると、辻は新潟のファウルで獲得したフリースローを3本成功させた。しかしその後、辻が自らのターンオーバーからディフェンスファウルをしたところで、試合の流れが変わっていく。

新潟は、途中からコートに入っていた#32池田雄一がこの日初めて3pを決めて同点にする。川崎藤井に3pに決められるが、その後リバウンドで粘った後、池田が再び3pを沈めて喰らいつく。藤井のレイアップや篠山の3pでリードを許すが、新潟はパスを回して、上江田勇樹が3p、池田がこのQだけで3本目の3pを入れて、再び1点差に詰めた。

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それでもホームの大声援を受ける川崎が、ファジーカスのダンクで3点リードとし、新潟は残り1分52秒でタイムアウトを請求。新潟は、ガードナーのバスケットカウントなどで78-78の同点に持ち込むと、川崎もたまらずタイムアウトを請求。

しかし、新潟の勢いは止まらなかった。ゴール下の競り合いになり、最後はハミルトンが得点し、80-78で新潟が川崎を下した。この瞬間新潟が中地区優勝を成し遂げた。

「ダバンテたちは黙っていてもやってくれるから」池田雄一

本当に我慢比べの試合だった。「川崎のペースで試合は進んでいたと思う」と川崎・北卓也HCもそう語るほど、川崎が先行して新潟が追いかける展開で、終盤を迎えていた。

新潟は、ガードナー、ハミルトンといったインサイドの選手が得点源で、川崎はこの二人を最も警戒していた。だから4Qはファジーカス、マクリン、エドワーズを同時起用し、さらにゾーンディフェンスを敷いた。

最初は、ガードナーもハミルトンもこじ開けるように得点をするが、川崎の守備に阻まれるシーンが続いた。ここでシューター陣が躍動した。その筆頭が池田だった。

もちろんペイントエリアで得点を狙うより、アウトサイドからのシュートは距離がある分、確率も落ちるが、池田は大事な局面で3pを3本決めている。

「コートに立っている以上は、集中してプレーしているので、相手の歓声がどうであれ、自分の仕事ができて良かった」と語る。「優勝は嬉しいが、喜ぶのは今日まで」と続けると、すでに次に視線を向けていた。

「シーズンが始まる前は、新潟の評価はそこまで高くなかったけど、シーズンが進むにつれて、チームがまとまってプレーができてきた。一人ひとりがそれぞれの役割をしっかり果たせるようになったのは大きい。新潟はダバンテ(・ガードナー)らインサイドが中心になるが、ハミルトンも含め二人にマークが濃くなる分、アウトサイドにチャンスが生まれるので、アウトサイド陣が今日は決めることができたことが、良いバランスにつながった。ダバンテたちは黙っていてもやってくれるから(笑)。チームの助けになって良かった」とチームのバランスが良かったことも、地区優勝につながった。

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チャンピオンシップ・クォーターファイナルを迎えるのは、ホームアリーナのシティホールプラザアオーレ長岡。開幕前はノーマークだったが、中地区優勝チームとして戦う。強力なインサイドに対して、アウトサイドがさらに精度を上げてくれば、その先も見えてくる。

「バスケットボールができることに感謝しながら」今村佳太

「第18回アジア競技大会」で男子日本代表の一員として参加し、不祥事により処分を受けていた今村。同じく処分を受けていた永吉裕也(京都)、橋本拓哉 (大阪)、佐藤卓磨 (滋賀)と共に、コートに戻ってきた。

「デリケートな話なので、昨晩まで迷いましたが、起用することを決めた」と新潟・庄司和広HCは、今村の起用について悩んでいたという。今村には「思い切ってやってこい」と伝えていた。そして今村はそれに応えるように、プレータイム17分43秒、7得点3アシスト。積極的に3pを狙い、リングに向かってアタックするなど、要所でチームに貢献していた。

「中地区優勝したのはチームとして良かったけど、自分は迷惑ばかりをかけてしまった。本当にいろんな方々から助けてくれたおかげで復帰できた。感謝しかないです」今村は、神妙にそしてやや小さな声でコメントした。

「心と体の準備はしていた。試合当日のベンチに入るまで出場できるかどうかはわからなかった。コート上よりも、コート以外でどれだけできるかなと思っていた。見えない所で貢献できればと。試合に出場できる実感は無かった」とあくまでも裏方に徹する姿勢で、試合前のベンチに入っていた。

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「コートでは自分のすべてを出し切るつもりで、どれだけチームに貢献できるか探しながらやっていた。練習には参加していたので、試合に向けて、体の心配はしていなかった」と語る。

「バスケットボールができることに感謝しながら」今村は残りのシーズン、チームのために、感謝の気持ちを忘れずプレーをしてほしい。

クォーターファイナルは4/25(木)~29(月)。新潟が、今村が、どのような戦いを見せてくれるのか期待したい。