【前半】出だしから千葉が優勢 SR渋谷はリバウンドからリングへアタック
立ち上がりから優位に試合を進める千葉。オフェンスリバウンドから#10アキ・チェンバースと#21ギャビン・エドワーズが得点する。さらにディフェンスリバウンドから#2富樫勇樹が勢いよくフロントコートに向かって走ると、パスを受けた#3マイケル・パーカーはレイアップで沈める。続けて、SR渋谷のターンオーバーから富樫が走り、そこからエドワーズがファストブレイクを決めた。
ここでSR渋谷はタイムアウト。タイムアウト後も富樫に走られて得点を許すが、SR渋谷#34ライアン・ケリーが連続でレイアップを入れて立て直す。そして#7伊藤駿が好リバウンドから、#9ベンドラメ礼生へパスし得点。さらにケリーが3pを決めて1点差まで追い詰める。直後には#6ロバート・サクレが好守備を見せて、千葉のエドワーズにシュートを打たせない状況を作った。
さらにSR渋谷はディフェンスリバウンドを獲得すると、一気に敵陣のリングへ。ケリーからベンドラメに渡り得点。続けてセカンドチャンスとしてサクレ、伊藤がリバウンドから自らゴールに向かって走りこみ17-15として勝ち越しに成功した。
その後、千葉#5田口成浩の4点プレーが成功し逆転されるものの、SR渋谷も離されまいと喰らいつき、22-23と1点のリードでおさえ、1Qが終了した。
Ⓒマンティー・チダ
2Q、サクレのポストプレーでSR渋谷が勝ち越すが、千葉#31原修太のレイアップで再び1点リードされる。一時、拮抗した戦いで32-32の同点となるが、富樫が3pを連続で沈めたことにより千葉に4点のリードを許すこととなる。
終盤は両チームともスコアがほとんど動かず、33-39と、結局千葉がリードしたまま前半が終了した。
【後半】千葉・藤永、パーカーの3pでSR渋谷万事休す
後半に入り、SR渋谷はケリーを中心にスコアメイク。一方千葉は、富樫が後半に入っても前半の勢いが衰えずリードを保っていた。残り3分30秒を切り、富樫の連続3pなどでリードを広げた千葉に対して、SR渋谷は#1清水太志郎の3p、ベンドラメがバスケットカウントで追うも、58-62で千葉にリードされたまま最終Qへ。
4Q、先行する千葉は田口が3p、#1ジョシュ・ダンカンがファストブレイク。続けてパーカーと#15藤永佳昭が3pを沈めて一気に11点リードまで広げた。その後、SR渋谷サクレとケリーを中心に、追い上げ体制を図ったものの、千葉は藤永が体を張ったプレーで止め、パーカーがスティールからファストブレイクを成功する。
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最後、SR渋谷はファウルゲームに持ち込んだが、76-87で敗戦。これで千葉は3月も全勝中である。
「選手は準備してきたことをほぼ遂行してくれた」SR渋谷・伊佐HC
この日、SR渋谷は千葉を追い詰めたといっても過言ではない。試合の出だしこそ、富樫を中心に走らせてしまい、自陣のペイントエリアに侵入を許して得点を与えていた。しかし、SR渋谷は、千葉のお株『ディフェンスリバウンドから、走るバスケ』で得点を稼ぎ、流れを取り戻していた。
千葉が3pを放った本数は36本、うち富樫が7本決めた。これだけでも21得点となるが、SR渋谷・伊藤は「3pをたくさん打たせたのはプラン通り」と想定内だったことを明かす。
伊佐勉HCは「選手は準備してきたことをほぼ遂行してくれた。あきらめずにプランを遂行しようとする姿勢は、選手やベンチにはあったので、残りの試合に生きてくるのかな」と振り返る。
千葉の3p成功率は33.3%。打たせた割には得点を与えていなかった。千葉・大野篤史HCは「守備は全員ハードに戦ってくれた。攻撃においては、選手たちに有効的なプレーを与えるのがすごく遅くて、自分の責任かなと思う。石井も富樫もシュート確率が良いので、いつか入るだろうという安易な考え方をしてしまった」と反省の意も。
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守備においては、両チーム共に手応えがあり、ロースコアで試合は進む。千葉は3月に入ってから全勝しているが、全ての試合において安定した試合運びで、A東京戦以外は圧倒的なスコアで勝利していた。しかし、この日はSR渋谷が追い詰めながらの試合展開となり、一つ間違えれば負けの可能性もあった。
「少し意識を変えればまた変わってくる」SR渋谷・伊藤駿
どこで試合の勝敗が分かれてしまったのか?一つが、ターンオーバー数である。
「トップチーム相手に、オフェンスのターンオーバーから取られた18点は、どんなに準備をしても勝てないかな」と伊佐HCが話す通り、SR渋谷はターンオーバーが17個を数えていた。
「千葉はガンガンに走ってくるので、早く戻るよりはオフェンスの終わり方を徹底し、できるだけタフショットで終わらないように指示した」とプランの一端を明かす伊佐HC。しかし、1Qの出だしで、千葉にリバウンドから富樫を中心に走られてしまい、得点を許していた。
「ボールプッシュに関しては、スピードに乗られたらどうしようもない。富樫にマッチアップする選手以外が、彼に目を配り、アタックラインを無くすことがとても大事になる。ちょっと速すぎますよね」と、富樫のスピードには手を焼いている様子だった。
タイムアウトで軌道修正後、富樫を中心に3pを打たせるプランを遂行していたため、たくさん打たせるところまでは想定内だった。しかし、4Q残り6分辺りで、パーカーと藤永に3pを決められ、千葉にリードを許した場面は誤算であった。
「結果的に負けているので、あれはミス。瞬間的に考えたが、タイムアウトを取れなかったのは、僕のコーチングの現在地かな」と、伊佐HCはオフィシャルタイムアウトまで時間があったが、タイムアウトをコールしなかったことを反省した。
「ゲームプラン通りにやって、結果がこれ。ターンオーバーが17なので、どう考えても無くさないといけない」と司令塔の伊藤は、指揮官と同じ問題点を認識する。「要所でオフェンスリバウンドを取られたのも痛かった」とさらに続けた。
ターンオーバーが多いことについては「前節の京都戦に比べたら、ディフェンスのフィジカルにおいて、そこまで感じることは無かった。しかし、自分たちがターンオーバーをしてしまったということは、急にバシンとくるようなタイミング、バスケをわかっているようなタイミングで来ていた。そこは経験の差かな」と語る。
「ターンオーバーが少なかったら勝っていたと思う。今日は勝たないといけない試合だった。でも次があるので、切り替えていきたい」と伊藤は次戦に意識を向けていた。
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「一人一人の責任。ボールを大事にする、5人全員がボックスアウトをすれば、取られることは間違いなく無い。少し意識を変えればまた変わってくる」それが、ターンオーバーを無くすためのプレーだとのこと。
リーグ全体1位のチームに対して、力を見せることができたSR渋谷。チャンピオンシップ進出に向けて、がけっぷちの戦いはまだまだ続く。