「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【Bリーグ第29節】B1残留争いの横浜 プロセスが出来ていても得点に繋がらず

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ
このエントリーをはてなブックマークに追加

Ⓒマンティー・チダ

【DAY1前半】横浜・コストナーとスティーブンソン中心の攻撃でも得点にならず

横浜#33アーサー・スティーブンソンが先制点をあげるが、栃木#9遠藤祐亮に3p、#22ライアン・ロシターに速攻から得点され逆転を許す。

しかし、横浜は#34ブランドン・コストナーがスティールからファストブレイクで振りだしに。さらにスティーブンソンがユーロステップでペイントエリアにアタックするなど、今度は横浜が10-8とリードする。

ここで栃木がタイムアウトを挟んで選手を入れ替えるものの、横浜はコストナーがバスケットカウントを成功。川村もバックショットを決めて主導権を握り続ける。栃木も離されまいと#6比江島慎の3p、#13渡邉裕規もシュートなどを決めて、19-19の同点とし1Qを終えた。

2Qでは、残り8分を切ったところで、横浜#5湊谷安玲久司朱のミドルが決まりスコアが動き始める。さらにコストナーがリングにアタックし、フリースローを獲得。確実に2本を決めてリードを広げていこうとするが、栃木のロシターにダンクを入れられるなどで逆転を許してしまう。

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


オフィシャルタイムアウトが明けて、横浜は外に出ていたモリスを戻し、スティーブンソン、コストナーと3人が同時出場するビッグラインナップを敷く。得点には繋がらず、栃木のディフェンスに翻弄される場面もありながらも、なんとかリードを2点でとどまらせる。横浜はオフェンスリバウンドからコストナーが得点するものの逆転には至らず、栃木が2点リードで前半を折り返した。

【DAY1後半】敗れた横浜 スタートから栃木にペースを奪われる

後半開始早々から栃木はディフェンスの強度を上げ、横浜は得点ができない状況に陥る。その間、栃木は渡邉の3p、ロシターの速攻からレイアップ、さらにフローターを決めるなど、残り6分48秒に横浜がタイムアウトを請求するまで14得点し、11点にリードを広げた。

なんとか状況を打開したい横浜だったが、#32エドワード・モリスが栃木のダブルチームに苦しみ、トラベリングをコールされる。栃木のペースで進んでいき、速攻から#18鵤誠司のレイアップなどで得点差を広げられ、栃木に13点のリード許し最終Qに向かう。

最終Qに入ると、横浜はホームの大声援を受け、選手たちは果敢にリングへアタックする。その中でスティーブンソンが得点をしたが、アタックした湊谷は続くことができない。

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


守備ではゾーンディフェンスを敷くが、効果なく比江島やロシターに得点されてしまう。点差が詰まらないまま残り5分を迎え、攻撃面でもパスミスで流れを失うなど難しい状況が続いた。結局、最後まで栃木を捕まえ切ることができず、横浜は64-79で敗れた。

「数字が低いということは、栃木の守備が良かった」トーマス・ウィスマンHC

ホームの横浜国際プールには、2日間とも5,000人を超える観衆が駆け付けた。そして、チームにおいても元栃木勢が多く所属し、様々な想いが交錯した試合だった。

横浜トーマス・ウィスマンHCは、過去に栃木ブレックスで2008-09年シーズンから2シーズン、2014-15シーズンから3シーズン、計5シーズン指揮を執っていた。そのうち2シーズン(2009-10、2016-17)でチームを優勝に導いた。

ウィスマンHCは、横浜の指揮官として初めて栃木戦を迎えた。「今日の試合(DAY1)は自分たちのやりたいことが確実にできていたし、勝てるチャンスはしっかり作ったが、自分たちのものにはできなかった」と記者会見の冒頭でコメントを残す。

ボックススコアを確認すると、シュート試打は横浜が上回り、リバウンド本数は同点だった。ただ決定的に違ったのは、シュート決定率。2pシュート決定率が栃木60.8%に対し、横浜は34.5%。3pシュート確率は横浜が良かったが、ペイントエリア内の得点で栃木に水をあけられた格好だった。「数字が低いということは、栃木の守備が良かった」とウィスマンHCは相手の守備の良さを素直に認めた。

試合展開は、後半早々に栃木の攻撃からスタート。最初のシュートは外れたが、直後の守備では前半よりもギアを上げて臨んだ。横浜はその守備に苦しむ一方で、栃木は速攻で得点を重ねるなど点差は広がっていく。

見た目では、このシーンで試合の勝敗を分けているが、伏線は2Qにあった。栃木を15得点に抑えたまでは良かったが、横浜が13得点と伸びなかった。

「自分たちがしっかりと決められるシュートは焦らないで決めていく。シュート確率を上げていかない限り、こういう試合は勝てない」とウィスマンHCが話す通り、実際2Qではゴールに向かってフリーでレイアップを入れに行く場面、ゴール下からリバウンド争いをする場面もあったが、得点に結びつけることはできなかった。

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


「ブレックスに教え込んだものも、ビーコルに教え込んでいる。ブレックスは5年かかったが、私が5年持たないと思う」とチームの育成について触れたウィスマンHC。Bリーグファーストシーズンから残留プレーオフ2回戦に2季連続出場でB2降格を免れている横浜だが、今季は残留プレーオフに行かなくて済むように、そして来季を見据えて攻守共々さらなるレベルアップが求められる。

「日本人選手に点を取らせる時間帯を作れなかったのは自分の責任」田渡凌

もちろん上昇の兆しもある。ウィスマンHCのバスケスタイルでキーマンになる選手が現れてきた。 一人はポイントガードの#21田渡凌。開幕当初はベンチスタートだったが、10月13日の京都戦からスタート5として出場を続けている。特に3月に入ってからは、得点面でも安定した成績を残すようになったが、DAY1ではシュート決定率が悪く、得点が伸びない要因を作ってしまった。

「ウィスマンHCから『ターンオーバーを少なくして、オフェンスリバウンドを多く獲得し、相手よりシュートの回数を多くしよう』と指示があって、この日はその部分ができていたが、シュートが入らなかった。得点が欲しい時に自分が何かできたのではないか」と田渡は2Qの展開について悔やんだ。

「もっとボールを支配しないといけなかった」と反省する田渡は、プロセスとしては「うまくいっていた」と話す。「得点ができていなくても、相手に取らせない展開ができていた。それができた時間はあったけど、もっと伸ばさないといけない」と続ける。そして横浜は、得点の部分で良いイメージが残らないまま後半を迎えていたようだ。

「栃木は自分たちの守備にアジャストしてくるし、自分たちは守備で我慢しきれなかった」と田渡は後半立ち上がりについて振り返った。「前半の得点は外国籍選手がタフショットで決めてくれた部分もあった」と。確かに、コストナーやスティーブンソンが果敢にアタックし、得点に繋げていたシーンが多かった。だからこそ日本人選手でスコアラーが求められる。

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


「日本人選手に点を取らせる時間帯を作れなかったのは自分の責任」と田渡も認識していた。「プロセスも大事だけど、シュート決定率を上げないといけない」

Bリーグの強豪になっていくステップとして、乗り越えないといけない壁ではないだろうか。

「自分たちでできることを徹底すれば勝てるチャンスはある」ブランドン・コストナー

キーマンはもう一人、外国籍選手のコストナー。

「相手がピック&ロールのディフェンスでダブルチームに来るとわかっていたので、自分がボールを持ってアタックしようと考えていた」と話す通り、果敢にリングへアタックを続けていた。

「後半の出だしで相手に流れを持って行かれたのは厳しかった。相手がすごかったのではなく、自分たちが徹底できなかったから。コミュニケーションやディフェンスの強度不足は自分たちの失態」と、後半開始早々の展開と、試合での反省を語っていた。

Bリーグ,横浜ビーコルセアーズ,ビーコル,トーマス・ウィスマン,田渡凌,ブランドン・コストナー,Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ


どんな試合でも追いかける展開というのは、厳しいものがある。栃木とはいえ、痛い1敗である。「自分たちでできることを徹底すれば勝てるチャンスはある」と付け加えた。

今季こそはすんなりとB1残留を決めるためにも、徹底して自分たちのゲームスタイルを築き上げ、表現し続けることが大事である。