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【Bリーグ第28節】千葉がCS出場決定 隙が無い三河戦での舞台裏

バスケットボール,Bリーグ,千葉ジェッツ,ジョシュ・ダンカン,小野龍猛,第28節,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【DAY1前半】前半だけで60点 出だしから3pが止まらない千葉

試合開始最初の攻撃、#27石井講祐の3pで先制した千葉。#3マイケル・パーカーも続きペースを握っていくが、三河は3秒バイオレーション、ショットクロックバイオレーションでシュートを打てない状況に持っていく。しかし千葉は#2富樫勇樹が速攻からレイアップ、コーナーから3pを沈めてチーム10点目に乗せた。

その後も千葉は、富樫、石井が続けて3pを入れるなど、三河に10点差をつける。ここで三河はタイムアウトで流れを変えたいところであったが、千葉は#10アキ・チェンバースがスティールから速攻に持ち込み、さらに#21ギャビン・エドワーズが#3マイケル・パーカーに渡して得点。その後も順調に得点を重ねる千葉に対し、三河は#0ジェームズ・サザランドがスコアするが、千葉との点差は広がっていく。終盤もパーカーが速攻から得点を挙げると、富樫が3pを沈め、パーカーの速いパスから#5田口がブザービーターとなる3pを決めて18点とリードを広げて1Qを終了する。

2Qに入っても集中力を切らさない千葉は、#34小野龍猛のポストプレーからアウトサイドで待っていた#1ジョシュ・ダンカンが3pを決めて幸先よくスタート。小野自身も3pを沈め、さらにスティールからダンカンがダンクを叩きこみ23点リードとする。

残り7分23秒で、三河は早くも前半最後のタイムアウトを請求した。

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その後も千葉は攻撃を緩めることはなく、激しい守備で三河の得点を抑えると、田口のアシストを受けた小野が、この日2本目の3pを決める。さらにエドワーズがアリウープダンクを決め、さらにリードは26点まで広がった。

オフィシャルタイムアウトをまたいでも、千葉の得点ペースは落ちず、#11西村文男のレイアップ、小野が3pを2本沈めるなど、気が付けば千葉は前半だけで60得点。三河を29得点に抑えて、大量リードで前半を折り返した。

【DAY2後半】千葉が100点ゲームで勝利

後半に入っても、千葉は速攻からレイアップを決めるなど連続得点し、チェンバースのドライブなど、出だしからペースを乗せていく。三河に3連続得点を許し、少し差を詰められるものの、富樫の3pから始まり、パーカーが2本、田口、富樫のシュート3本が続き、パーカーもファストブレイクとなるダンクを炸裂させて、34点リードで最終Qへ向かう。

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4Q、依然千葉のペースでリードを広げていく。三河も#11熊谷航が3pを沈めて抵抗するが、差は詰めることができない。ダンカンはその後も、3pを2本続けて決めるなどチームが99得点すると、エドワーズと交代でコートに入った#8大宮宏正が3pを決めてチーム100点越えし、105-74で千葉が三河を圧倒した。

「言うことはやることよりも簡単」ジョシュ・ダンカン

千葉は三河に勝利したことにより、チャンピオンシップ進出一番乗りを決めた。成績としても申し分ないが、この日はより一層隙のない試合運びを見せてくれた。その中でキーポイントに挙げたいのが、2Qと4Qの部分だ。

千葉インサイドの選手と言えば、エドワーズとパーカーの名前があがる。しかしこの試合で、ダンカンが1Qの終盤から2Q途中、3Q途中から4Qにかけて出場していた。シーズン前半は、この時間帯で劣勢になる場面が多くあったが、年明けのリーグ再開後は、この時間帯でもしっかり主導権を握って試合を進めていた。

ダンカンはその象徴と言っていい。三河戦(DAY1)までの4試合連続20得点。特に三河戦のDAY1は4Qだけで13得点。試合展開によっては大変な状況になることも予想される時間帯で安定したプレーぶりを見せていた。

「勝つことが一番。自分もしっかり貢献できて勝てたことが良かった」とダンカンは手応えを感じていた。

「得点できるときは得点し、リバウンドするときはリバウンドする。あとはしっかりとした強いディフェンスをすること。自由があるシステムの中でプレーしているので『自分が自分が』というようなわがままな選手がそんなにいないということがうまくいっていることに繋がっている」とダンカンはチームが好調な理由を明かす。出だしからチームは攻守ともに集中しており、自身も2Qでは、小野からのアシストを受けて3pを沈めることが出来ていた。そしてこの日は4Qだけで13得点。試合展開としては、大きくリードをしている中で、試合を進めていた。しかし、少しでも気を許してしまえば、点差が詰まることも予想されていた展開だった。

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「もちろん4Qというのはクランチタイムで一番大事な場面。どのチームもその時間帯でしっかり勝とうとする。この日の場合は、いつも通りにそのままやってということだったので、特には気にならなかった」と振り返る。

「東地区1位が目標なので、そこに向かって頑張る。言うことはやることよりも簡単なので、やれるようにしっかりハードワークしていきたい」

ダンカンは、チームのリーグ戦制覇に向けて、献身的に役割を果たしていくことを誓った。

「やることは変わらない。自分らしさを失わず戦いたい」小野龍猛

そして、忘れてはいけない選手がいる。主将の小野龍猛だ。今季は右手舟状骨骨折で戦線離脱し、昨年末からコートには復帰していたが、怪我をする前の状態からは程遠い内容が続いていた。しかし、今節の三河戦はDAY1で16得点、その中で、放った4本の3p全てを決めている。2Qでのものだった。そしてDAY2も10得点をあげ、今季初の2試合連続2桁得点という結果を残した。

「自分はあまり深く物事を考えるタイプではない」と小野は開口一番発せられた。2Q最初の攻撃では、得意のポストプレーでペイントエリアに切り込み、アウトサイドでフリーだったダンカンにパスを供給。ダンカンは見事に3pを沈めた。

「タッチとしては良いけれど硬さが違う。(けがをする)前の手首とは違うので」と怪我に伴って手首の動きが変わっていることを明かした。

「試合の出だしからアウトサイドからのシュートが決まっていたので、あえて中から攻めて空いたところにパスを出すということは出場した時点で考えていた」と出だしのポストプレーについての意図を話す。パスが通ったことで「自分らしさ」を掴んだ小野は、このQで4本の3pを沈めることに成功した。

小野は、怪我をする前まではスタート5の一員だった。しかし、怪我をしたことにより、そのポジションを明け渡すことになってしまった。そして現在は、2Q・4Q が主戦場である。「途中から出ることの難しさはある。怪我明けから自分なりに悩むというか、(途中出場はあまり)経験したことがなく、その中で自分らしさがあまり出ていなかった。今では良い意味で何も考えずにやっている」と初めての経験で苦しんでいた胸の内を明かす。

「アキ(・チェンバース)も原(修太)も成長しているので、それに負けないようにやっている」とプレータイムがアキ・チェンバースと20分ずつになったことについて、このように捉えていた。「怪我明けが難しい。どのようにチームの中に入って、活躍するのかを考えさせられた」と怪我をしたことにより、若手の成長も感じながら、自分の中で考えを整理する。

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「2Q、4Qを任されるようにならないといけない」と自分の役割を理解していた小野は、最後に「出場する時間帯は変わるが、コート内でやらないといけないこと、キャプテンとしての役割は変わらない。自分らしさは失わずに戦いたい」と話した。

「もう怪我のせいにしてはいけない」とも語る小野は、任された場所で自分らしさを失わずにこれからも勝負する。終盤戦からチャンピオンシップに向けて、頼もしい男が帰ってきた。