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【Bリーグ第25節】B1リーグ再開、役者がそろった川崎が連勝発進

川崎ブレイブサンダース,北卓也,シェーン・エドワーズ,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【DAY1前半】リバウンドで主導権を握られるものの3点ビハインドで折り返す

SR渋谷#32山内盛久に先制の3pを許した川崎だったが、この日怪我から復帰した#31シェーン・エドワーズがコーナーから3pを沈めて振り出しに戻す。さらに#14辻直人もシュートモーションからのファウルで獲得したフリースローを3本決め、#21バーノン・マクリンもレイアップで続く。ここから川崎は波に乗っていくかと思われたが、SR渋谷にオフェンスリバウンドを奪われる時間帯が続き、#34ライアン・ケリーにダンクを決められるなど、川崎7点リードながら、少しずつSR渋谷に主導権が渡っていく。

SR渋谷のタイムアウト明け、川崎は#7篠山竜青の好守備で流れを取り戻すかと思われたが、SR渋谷#1清水太志郎に3pを入れられると、#6ロバート・サクレのポストプレーなどで一気に逆転される。最後はケリーがレイアップを入れてSR渋谷3点リードで1Qが終了した。

2Q、川崎#22ニック・ファジーカスが得点するものの、その後は両チームともスコアメイクに苦しむ。しかし川崎はファジーカスと#33長谷川技が守備でチームに貢献したことで、3点ビハインドで中盤に入っていった。

川崎ブレイブサンダース,北卓也,シェーン・エドワーズ,Ⓒマンティー・チダ

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リードしていた川崎は2-3ゾーンディフェンスを敷くが、SR渋谷・サクレに間を抜かれて得点を許すなど、8点ビハインドとされる。しかし、この日好調なエドワーズの速攻、篠山からコーナーでパスを受けた辻が3pを沈めて、3点ビハインドまで戻したところで前半を折り返した。

【DAY1後半・OT】川崎・辻の3pで延長戦を制す

後半に入って、川崎は篠山が3pを含め5得点をあげて同点に追いつく。SR渋谷も#9ベンドラメ礼生の3pなどで再び引き離しにかかるが、エドワーズが3pをはじめ連続得点で同点とすると、長谷川も続いて逆転に成功。その後エドワーズがダンクを叩き込み引き離すが、SR渋谷・サクレにダンクで返された。

残り5分を切って、川崎は長谷川のスティールから速攻に持ち込む。マクリンがリングにアタックするが、SR渋谷・山内がたまらず止めに行って、アンスポーツマンライクファウルを宣告される。マクリンのフリースローは1本しか決まらなかったが、その後SR渋谷・サクレのファウルで獲得したフリースローを、ファジーカスがきっちり2本入れて引き離しにかかった。

しかし、SR渋谷もここで引き下がるわけにはいかない。#24広瀬健太が2本の3pを含む8得点をあげて同点にすると、その後は拮抗した展開になり、最後はファジーカスがシュートを決めて2点リードとして、3Qを終える。

4Qは川崎・篠山のフローターが決まりスコアが動くと、エドワーズも果敢にゴールへアタックしフリースローを2本決める。ファジーカスも続いて川崎は8点までリードを広げた。

SR渋谷はタイムアウトを請求すると、川崎の2-3ゾーンディフェンスにもめげず、#14杉浦佑成が3pを決める。さらにサクレもフリースローから2点獲得して追い上げムードになりそうであったが、川崎・エドワーズがダンクを叩き込み追撃を許さない。ここから川崎は篠山の得点などで再び引き離しにかかるが、SR渋谷・サクレのスティールから杉浦がファストブレイクを決めて、さらにサクレ、ケリーが得点に絡み3点差に接近。川崎・辻にフリースローを献上し2本を決められるが、#22長谷川智也が3pを沈めて再逆転に成功。そしてケリーが得点を重ねて、SR渋谷が2点リードをした。ここで川崎はタイムアウトを請求する。

SR渋谷・ベンドラメに決定的なフリースローを献上したが2本とも外れる。川崎は#0藤井祐眞がファウルで獲得したフリースローをきっちり2本入れて同点とし、40分では決着がつかずオーバータイムに突入した。

川崎ブレイブサンダース,北卓也,シェーン・エドワーズ,Ⓒマンティー・チダ

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オーバータイムに入ると、出だしから川崎は篠山のアシストに反応したマクリンが得点すると、篠山、藤井らも続いて、一気にリードが広がる。SR渋谷もタイムアウトを請求しながら流れを変えようとしたが、川崎・辻の3pでとどめを刺され、結局89-80で川崎が勝利を飾った。

川崎から送り出した3選手の活躍に北卓也HC「いやぁすげえな」

Bリーグは1部が再開。W杯2019出場決定後初の試合となり、全国各地の会場では満員御礼が続出した。 川崎からは、篠山、辻、ファジーカスがW杯アジア2次予選WINDOW6に選出されて、出場権獲得に大きく貢献した。篠山と辻は前身の東芝時代から川崎一筋の選手。ファジーカスも2012年に来日以降はずっと川崎に所属している。開口一番「いやぁすげえな」、と、入団当時からコーチとして指導する北卓也HCは少し笑顔を見せた。

「ニック(・ファジーカス)は代表の大黒柱。イラン戦はニックを守ってくるのではないかなと思っていたが、比江島が出だしからいいシュートを決めてくれたのでヘルプに行かざるを得なく、そこでニックが決めてくれた。カタール戦も含めて心配ない活躍を見せてくれて嬉しい」と川崎の大黒柱でもあるファジーカスの話から始めた。

「篠山は、ボールマンプレッシャーなどディフェンスの所でいい流れをもたしていたので心配なく見ていた。ただあの変なシュートは誤算だね(苦笑)。でもあの場面で決めるのは、何か持ってくるのではと感じた」と川崎でも主将を担う篠山に対しては心配していなかったようだ。

川崎ブレイブサンダース,北卓也,シェーン・エドワーズ,Ⓒマンティー・チダ

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「一番心配だったのは辻。怪我明けだったので、最後の12名に選ばれるのかどうか心配していた。入って嬉しかったのと、辻の持ち味であるシュートが、イラン戦の短い時間で決められたというのは大きな成果。アジアの中で辻の3pの脅威は見せられた」と辻のシュート力を評価した。

「川崎のヘッドコーチとして嬉しい気持ちでいっぱい」と北HCは最後に締めた。言葉以上に指導者冥利に尽きる瞬間だっただろう。

主役を担ったのは怪我明けのシェーン・エドワーズ

3選手に期待が集まる中、2日間主役を担ったのは、この日から戦列復帰を果たしたシェーン・エドワーズ。

「とても素晴らしいプレーをしていた。彼らのことを誇りに思っているし、3人の活躍を見て嬉しい」とエドワーズも3選手から刺激を受けていたようだ。エドワーズは第25節、DAY1は24得点14リバウンド、DAY2は16得点7リバウンドと活躍をみせた。DAY1はオーバータイムまで縺れ込む大接戦。前半出だしから3pを沈めるなど、エドワーズはチームをけん引した。「全員が貢献して素晴らしい勝利だった」と復帰戦を勝利で飾ったことで喜びを表現した。

1月の練習中に負傷し、B1リーグ再開に合わせて復帰。「試合の流れや試合勘を掴むために一生懸命頑張った。チームメイトが良いところでボールをくれたので調子が戻ってきた」と話す。バックコートから走ってリングにアタックを続けたことも、この日の勝利に繋がった。

この日は前半からSR渋谷にオフェンスリバウンドを取られ、相手の攻撃回数を増やす苦しい展開になっていた。「だからと言って特別なことをしたわけではない。全員が責任を持って、自分のマークマンをボックスアウトしようという話をした。それで後半から改善はできてきた」とエドワーズは後半に向かうまでに、チーム内で話し合ったことを打ち明けた。

北HCも「1Qのオフェンスリバウンドは、アウトサイドの選手が飛び込んできて取られていた。アウトサイドの選手も見ていないでコンタクトすること。そして、ペイントエリアで得点を許していたので、チームで守るように」とハーフタイムで修正を促す。

「4Q最後のベントラメがフリースロー2本外れたところは、会場の皆さんの後押しのおかげだし、その後に藤井が2本フリースローを決めたのも素晴らしい」と会場を埋めたファンにも感謝していた。

川崎ブレイブサンダース,北卓也,シェーン・エドワーズ,Ⓒマンティー・チダ

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アジアの舞台で戦ってきた選手たちが大きな成果を残して合流し、ケガで戦列復帰をしたエドワーズも戻ってきた。3日の試合では、ファジーカスがBリーグ通算4000得点を達成。リーグ再開を良い形でスタートした川崎は、残り18試合で中地区優勝を逆転で狙いに行く。