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【Bリーグ第20節】千葉ジェッツ、3Qで逆転に成功 今季2度目の10連勝

千葉ジェッツ,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【前半】A東京カークがペイントエリアを支配 主導権を握る

千葉#21ギャビン・エドワーズが先制の3pを決め、A東京は千葉のターンオーバーに乗じて、#53アレックス・カークが内外に得点を重ねる。一気に7点リードされたところで千葉はタイムアウトを請求し、#34小野龍猛を投入。#27石井講祐が3pを沈めるが、A東京#3安藤誓哉にコーナーから3p、#24田中大貴のバスケットカウントで、A東京にリードを広げられた。

なかなか点差を詰められない千葉だったが、小野の3pを皮切りに、#2富樫勇樹、#1ジョシュ・ダンカンが得点。結局A東京が7点リードで1Qを終了する。

千葉ジェッツ,Ⓒマンティー・チダ

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A東京は出だしでカークのバスケットカウントで幸先よくスタートし、対して千葉がスコアを重ねられない展開が続く。残り7分を切って、千葉はオフェンスリバウンドから#3マイケル・パーカー、#11西村文男の得点で4点差に。ここからしばらく互角の展開が続いたが、終盤A東京は#1小島元基とカークのバスケットカウントなどで、再び点差を広げ、A東京が8点リードで前半を終える。

【後半】千葉・冨樫のファストブレイクから一気に逆転

開始早々、バックコートでパスカットに成功した千葉・富樫が一気にリングまで持ち込み、ファストブレイクに成功。更に、#10アキ・チェンバースがオフェンスリバウンドを獲得し、そのままバックショットを炸裂させると勢いに乗っていく。#3マイケル・パーカーのブロックショットで、A東京にシュートを打たせず、その後、A東京安藤に2本の3pを入れられるが、A東京#6馬場雄大のターンオーバーをきっかけに、石井の3p、パーカーの速攻、富樫も3pを沈めて、最後はパーカーが得点し、残り5分を切る頃に同点まで持ち込んだ。

ここでA東京はタイムアウトを請求するも、試合の流れは千葉のまま進んでいく。

千葉のマッチアップゾーンディフェンスに苦戦するA東京。対して千葉は石井のアシストからパーカーが得点し、続いてダンクを叩きつけるなど、今度は千葉がリードを奪う展開となる。一時はA東京も田中のジャンプショットで巻き返しそうとするも、千葉はパーカーがコーナーから得点を決めるなど、勢いを継続させて、千葉がA東京を6点リードで3Q終了する。

4Qに入っても、千葉はダンカンの3p、西村の速攻で得点を重ね優位に進める。残り4分を切って、またもパーカーが速攻や小野とのピック&ロールを成功させ、この瞬間、千葉の勝利が見えた。

残り2分21秒、14点差を追いかけるA東京はタイムアウトを請求し、追撃態勢を整える。カークの得点、#10ザック・バランスキーのドライブインで4点詰められると、千葉もタイムアウトを請求。バランスキーのカウントワンショットは決まらなかったが、カークのバスケットカウントから、A東京が再び追い上げムードになり、更にカークが2本連続となるダンクを決めて5点差まで追い上げる。その後の守備で、小島が千葉・富樫にプレッシャーをかけアウトオブバウンズとし、A東京ボールとする。

この時点で残り12.7秒。

タイムアウトを請求したA東京は、千葉・パーカーのファウルから獲得したフリースローを、#51ミルコ・ビエリツァが2本揃えて、3点差まで詰めた。

千葉ジェッツ,Ⓒマンティー・チダ

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このタイミングで千葉がタイムアウトを請求し、最後のオフェンスに臨む。しかし、コートサイドからボールを入れようとした千葉・小野が、ボールを入れられず5秒バイオレーションがコールされ、ボールはA東京へ。

馬場がダンクをお見舞いし、1点差に詰めたところで、ファウルゲームに持ち込むA東京。ここで馬場と小島がファウルをし、チームファウルは5つとなり、千葉がフリースローの権利を獲得する。フリースローシューターの冨樫が1本決めて2点リードに。最後、A東京ビエリツァがシュートを狙ったが、無常にも外れて、このタイミングで試合は終了。81-79で千葉がA東京を下した。

今季2度目の10連勝も気を引き締める千葉・大野篤史HC

千葉とA東京の1戦は、非常に出入りの激しいゲームとなった。前半の出だしは、A東京がペイントエリアを制したカークを中心に得点を重ね主導権を握られており、千葉は我慢しながら、喰らいつくことが精一杯だった。ターンオーバーからの失点も多く、後半にどのように立て直すのかが気になるところだった。

しかし、後半になると、A東京のパスミスに素早く反応した冨樫のファストブレイクから、千葉が波に乗った。A東京も安藤の3Pで踏ん張りをみせるが、ここで調子に乗ってきたパーカーの勢いは止められなかったA東京。ただただ同点にされるのを待っていたような展開だった。

この展開をもっとも悔やんでいたのが、A東京ルカ・パヴィチェヴィッチHC。「3Qが全てでした。集中力が欠けて、ふわっと入ってしまった結果だと思う。ターンオーバーから走られるバスケを千葉にやらせてしまった」と反省の弁が続く。ルカHCは、同点に追いつかれたタイミングでタイムアウトを請求していた。そこを確認すると、すこし語気を強め「あの場面は2回タイムアウトを使い切る場面だったかもしれない。流れを止めるためには」とした。

また、「あれはやらせてはいけないシーンだった」と田中が絞り出すような声で発言すれば、「ターンオーバーに関しては迷惑をかけた」と馬場も反省しきりだった。

一方、この場面を明るく振り返ったのは、千葉・冨樫だった。「後半最初のスティールは、相手のパスミスからだったと思う。覚えていないけど」と語る。「8点を追いかける展開から、相手ボールで10点差にさせられるのと、止めて決めるのはかなり違うというのは、全員分かっていたと思う。相手のミスからかもしれないが、3Qの展開は勝利につながった。ゾーンディフェンスで相手を苦しめることはできた」と続けた。

千葉はこれで今季2度目の10連勝。しかし、大野篤史HCはしっかり課題も口にする。「これが過信にならなければ良い。リバウンド1本、ルーズボール1個、最後自分たちの命取りになるよと選手に話をした。長年バスケットに関わっている中で、最後サヨナラ3Pのシチュエーションだったと思う。過信せずに慢心をせずにリセットしないといけない」と最後、A東京に追い上げられた場面を問題視した。

ただ、昨季と違うのは、天皇杯制覇後、栃木、A東京からしっかり勝利をもぎ取ったことだ。「勝ったことは素直に嬉しい。それよりも課題はたくさん見えた。ポゼッション一つずつしっかり選手と共有していきたい」

千葉ジェッツ,Ⓒマンティー・チダ

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ここまで千葉は天皇杯を3連覇しているが、リーグ戦王者のタイトルはまだ掴んでいない。後半戦でどのように課題を克服しながら、チーム力をアップさせるのか。千葉にとってはリーグ戦を制するための「価値ある勝利」だけで終わってはいけないようだ。