【DAY1前半】ニック・ファジーカスが内外に得点でチームに貢献
試合開始から、川崎は秋田#40ジャスティン・キーナンに連続で3pを許す。しかしその後#22ニック・ファジーカスのカットインで得点すると、#0藤井祐眞、ファジーカスも3pを沈める。更に#7篠山竜青のオフェンスリバウンドから#21バーノン・マクリンが得点。その直後の守備で篠山がスティールでボールを奪取し、#33長谷川技がシュートモーションのディフェンスファウルから獲得したフリースローを2本揃え、9点のリードとする。
川崎は残り1分30秒を切って、ファジーカスが3pを2本決めて一気に11点リードする。直後の守備でファジーカスはブロックショットを決めて川崎ボールにするが、篠山のパスからシュートを決められず、結局川崎11点リードで1Qを終了する。
2Q開始早々、1Q途中からコートに入っていた#4青木保憲が果敢にリングへアタックするがシュートを打てず、昨季まで川崎に所属していた秋田#7野本建吾に得点を許す。川崎は直後の攻撃で、ボールがラインを割ってアウトオブバウンズとし、ベンチはタイムアウトをコールした。ここで持ち直した川崎は、#31シェーン・エドワーズのスティールからマクリンが得点する。
Ⓒマンティー・チダ
中盤に入って川崎は、藤井のスティールから、エドワーズがファストブレイクを炸裂させるなど、オフィシャルタイムアウトの時点で秋田に10点差をつけた。終盤、川崎はファジーカス、篠山が得点を重ね、秋田に12点リードして前半終了。
【DAY1後半】3Q・4Q出だしからファウルを重ねるものの川崎が勝利
後半、川崎は2-3ゾーンディフェンスで秋田の攻撃に備える。#43カディーム・コールビーに得点を許し、ファウルも早々にチームで4回コールされるが、得点はこの1本に抑える。一方の攻撃は、ファジーカス、マクリンの得点のみでリードを広げることはできなかったが、秋田にもチームファウルが重なり、川崎はここを凌いでいく。
しばらく膠着状態の中、川崎は残り4分を切って、篠山の得点で再びペースを掴んでいく。秋田のタイムアウトを挟んで、川崎は藤井を下げて#18鎌田裕也をコートに投入。ファジーカス、エドワーズとビックラインアップを形成し、鎌田は好守備でチームに貢献。その後、長谷川がファウルをコールされ、秋田・キーナンにフリースローを1本許すものの、その後の攻撃で、ファジーカスのアシストからエドワーズが得点。篠山も3pを入れてリードを広げる。最後はファジーカスがバスケットカウントを成功させて、更に3点追加し、川崎が19点リードで3Qを終了。
Ⓒマンティー・チダ
4Qに入ると、川崎は藤井のレイアップで幸先よくスタートするが、直後の守備でファウルを重ねる。#3林翔太郎から始まり、秋田のオフェンスリバウンド後、#15谷口光貴、マクリン、青木とファウルが重なり、4Q開始から1分33秒で早くもチームファウルは4つとした。しかし、マクリンのブロックショットから、直後の攻撃で藤井が3pを沈めてチーム70点台に乗せる。秋田はカディーム・コールビーのダンクなどで追いかけるが、オフィシャルタイムアウトの時点で川崎が20点リードとする。終盤もリードをキープした川崎は、そのまま逃げ切り勝ちを収め、84-62で秋田を下した。
「この調子で天皇杯に入りたい」ニック・ファジーカス
開幕直後こそ、ケガで出遅れたファジーカスが徐々に調子を上げてきた。この日も1Qだけで16得点。アウトサイドからの3pも3/3と会心の出来。内外問わず得点を重ねていった。
ファジーカスは「1Qでチームとして28得点取れて、流れを掴むことができた」と試合全体を振り返る。秋田の守備はまるで粘土のように、ボールマンにへばりつくスタイルだ。スタート5こそ外国籍選手が二人出場するが、途中から一人になり、その分全員でボールに集中する。しかし、ファジーカスはそれをものともせず、カットインでこの試合自身最初の得点とすると、アウトサイドからは柔らかいシュートタッチで3pを沈めていく。
「秋田に限らず、他のチームもああいうプレッシャーディフェンスをしてくるので、特に何とも思わない」ともう慣れているようなコメントをするファジーカス。そして自身の調子については「最近どんどん調子が良くなっている。ここ2試合は特に」とした。
今節の秋田戦を終えると、Bリーグは一時中断し天皇杯が控える。ファジーカスは「シュートの調子が良かった」と振り返った後「この調子で天皇杯に入りたい」と「天皇杯」について具体的に言及する。ファジーカス自身が天皇杯について自ら切り出す格好となった。
川崎は昨年の大会ではベスト4、一昨年は準優勝だった。そして、10日から始まる今大会では初戦から千葉と対戦する。
川崎は千葉と節目節目で顔を合わせている。川崎にとって、千葉は一昨年の天皇杯決勝で敗れた相手であり、Bリーグでも昨季のチャンピオンシップクォーターファイナルで顔を合わせ、GAME3までもつれた末に敗退。今季のBリーグ先出し開幕戦でも対戦し、ファジーカス不在の中、アウェイの船橋アリーナで2連勝を飾っている。
開幕戦の川崎戦で連敗スタートとなった千葉だったが、その後は故障者も出しながら連勝を続け、現在東地区の首位に立っている。「開幕戦で連勝したが、その後は勝ち続けている。とてもタフなチームで、天皇杯も昨年まで2連覇している。良いチャレンジになると思うが、楽しみにしている」と千葉を最大限警戒しながらも、対戦を心待ちにしていた。
ファジーカスが調子を上げて迎える天皇杯。この時とよく似たシチュエーションがあった。2018年5月2日、ファジーカスが日本国籍を取得し、晴れて帰化選手として迎えた千葉戦である。千葉戦の前節で、川崎は東芝グループとして最後のホームゲームとなった京都戦を連勝で終えて、4月を6勝2敗で乗り切った直後だった。
4月まで外国籍選手として出場するファジーカスは、外国籍選手のオンザコートルールによりコートに入るタイミングが限られていた。当時の川崎はオンザコート2からスタートし、2Qでオンザコート1としていたが、ここで外国籍選手を一人しか起用できないという厳しい状況だった。しかし、帰化選手として外国籍選手の枠関係なく出場できるようになった。つまり、オンザコート1でも外国籍選手と同時出場が可能となったのだ。これで弱点が解消され、リバウンドで優位に立った川崎が千葉を下し、ファジーカスも28得点を稼ぎ、チームの勝利に貢献していた。
Ⓒマンティー・チダ
「あの時と似ていると思う。開幕で連勝したので、千葉に対してみんな自信を持っていると思う」とファジーカスも認めたが、このように続けた。
「もうずっと前の話。あれからうちも変わっているし、千葉も調子を上げている。千葉もしばらく川崎と対戦していないので。川崎にとってはアドバンテージかな」と前向きに捉えていた。
東地区首位に立って良い形で天皇杯3連覇に挑む千葉に対し、川崎も3連勝で天皇杯に入っていく。天皇杯は1発勝負。出だしから、ファジーカスが気持ちよくプレーできる状況になれば、川崎の勝機は大きくなっていく。第89回大会以来5年ぶりの制覇に向けて、ファジーカスの活躍は必須事項になりそうだ。