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栃木がスタートダッシュに成功 昨季ファイナリストが追う展開に【Bリーグ東地区】

2018 12/12 15:00SPAIA編集部
バスケットゴール
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攻守で質の高い栃木、例年以上の攻撃力を見せる

今季のBリーグは1/3が終了し、上位と下位の差がはっきりし始めてきた。そこで地区ごとに18クラブの現状を分析し、好調の要因や改善点を探る。第1弾の今回は東地区。

同地区首位で、全体でも勝率1位の栃木ブレックス。Bリーグ初代王者が今季はその実力を示している。ただ内状としては、昨季と顔ぶれが大きく変わらない上に、シーズン前に#31喜多川修平が膝のケガで今季絶望、シーズンに入っても#0田臥勇太が腰痛で欠場する試合が続いている。

そんな状況下でも首位を維持しているのは、ディフェンスの安定に他ならない。田臥が注入したハードワークの大切さと各選手の遂行力、そして組織力で相手の攻撃を封殺する。ここ数年に比べてアップテンポな攻撃をしている分、シュート試投数が増えているため失点も多くなっているが、それでも1試合平均失点72.4(リーグ5位)は優秀な数字だ。

リバウンドも#4ジェフ・ギブス、#10竹内公輔、#22ライアン・ロシターが奮闘し、39.5本でリーグ1位。特に数字には表れていないが、竹内の体を張ったディフェンスが光る。

そして今季はオフェンスの精度も高い。昨季は得点面でロシターに続く選手がおらず、アキレス腱を断裂していたギブスが中盤に復帰こそしたが、苦しい攻撃になる試合が多かった。

それが今季はギブスの状態が良いことに加え、軒並み日本人選手の得点がアップしている。移籍してきた#24栗原貴宏も含め、日本人選手の大半が平均得点を2点近く向上させ、#9遠藤祐亮、#18鵤誠司の成長が著しい。基本的にノーマークでシュートを放てているシーンが多く、それは組織力が向上している証。田臥が復帰してくれば、成績はさらに向上していくだろう。

開幕節除き確実に勝利する千葉、A東京は攻撃が停滞する試合も

一方で昨季のファイナリスト、千葉ジェッツとアルバルク東京はそれぞれ同地区2位と3位になっている。

開幕節で川崎ブレイブサンダースに連敗した千葉は、#34小野龍猛をケガで欠いているものの、昨季不調だった#27石井講祐が好調。3Pシュート成功率は一昨季の水準(41.8%→38.4%→42.6%)まで改善しており、ディフェンスでも活躍している。

また#2富樫勇樹、#11西村文男の2ガードが機能し、西村の平均アシスト数がキャリアハイ(3.8本)を記録。富樫の負担軽減にもなっている。

外国籍選手も#21ギャビン・エドワーズの状態が上がってきていないが、それを補うように#1ジョシュ・ダンカン、#3マイケル・パーカーが絶好調。特にパーカーは37歳とは思えないパフォーマンスを見せている。

気になるのは昨季王者のA東京。メンバーをほぼ変えないままスタートしたが、#24田中大貴のケガなどもあり、オフェンスに波がある状況だ。ターンオーバーの少なさは今季もリーグトップクラスだが、平均得点が6点もダウン(79.2→73.3)するなど、シュート試投数の少なさが気掛かり。#6馬場雄大が順調に成長しているだけに、田中の状態が上がってくることがチームの勝利に直結してくるだろう。

終盤に強い秋田、ここからの巻き返しなるか

下位のサンロッカーズ渋谷、秋田ノーザンハピネッツ、レバンガ北海道のうち、SR渋谷と北海道はシーズン途中でヘッドコーチを交代させた。SR渋谷は伊佐勉ヘッドコーチが就任すると5連勝を記録するなど、最悪の状態からは脱した。

このチームには#6ロバート・サクレ、#34ライアン・ケリーの元レイカーズコンビがおり、彼らがインサイドを掌握。伊佐ヘッドコーチがこのストロングポイントをさらに強調し始めてから、オフェンスが安定するように。ここからの巻き返しを図る。

北海道はディフェンスのシステム構築がうまくいかず、新たに内海知秀氏がヘッドコーチに就任。まずは課題克服に着手したいところだ。

そして現在5位の秋田はシーホース三河に連勝するなど、8勝のうち5勝を11月に挙げた。チームスタッツは、リバウンドとブロックの数を除けば多くの部門でリーグ中盤以下。それでもダークホースとして秋田を挙げたいのは終盤の強さがあるからだ。

全クォーターの平均得失点を見ると、1〜3Qは失点が多い中、得点が20.1と失点は19.0で4Qのみ得点の方が多い。依然として課題は山積みだが、#17中山拓哉や#40ジャスティン・キーナンなどが強心臓ぶりを発揮。ジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチが掲げるタイムシェアにより、主力選手の体力が温存できていることも終盤の強さの要因だろう。

ファイナル経験クラブの栃木、千葉、A東京が強さを誇っている東地区だが、下位の3クラブも巻き返しのチャンスは十分ある。レベルの高い地区で揉まれることで、チームの状態が上向くことを期待したい。