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【Bリーグ第12節】主将篠山竜青の背中を追いかける川崎・青木保憲

2018 12/11 11:00マンティー・チダ
川崎ブレイブサンダース,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【DAY1】川崎・篠山、ファジーカスの得点でリードを広げ大勝

Bリーグは1週挟んで再開し、第12節を迎え、川崎と横浜はとどろきアリーナで「神奈川ダービー」を戦った。

試合の出だしこそ横浜#0細谷将司、#21田渡凌に3pを沈められてリードを奪われるが、オフェンスリバウンドからボールを回して、ノーマークになった#7篠山竜青が3pを入れると、流れは川崎に傾く。

篠山と同じく代表帰りの#22ニック・ファジーカスのシュートを篠山がアシストすれば、#33長谷川技はスティールで得点機を演出、ファジーカスがファーストブレイクとなるダンクを叩き込みリードを奪う。

横浜もタイムアウトを挟むが、川崎の勢いは止まらない。

ファジーカスが3pを含めて7得点、#0藤井祐眞も3pを沈める。その間、横浜に得点を許さず、1Q終盤に横浜新加入#33アーサー・スティーブンソンに得点されるが、川崎が19点リードで1Qを終了する。

2Qは一転して立ち上がりから得点が動かない状況になったが、#31シェーン・エドワーズに代わってコートに戻った長谷川が、横浜の2-3ゾーンディフェンスにも負けずアウトサイドから3pを2本連続で沈め、ファジーカスも得点。オフィシャルタイムアウトの頃にはダブルスコアで川崎がリードする展開になった。

川崎は、オフィシャルタイムアウト以降も横浜の得点を#7橋本尚明のフリースロー1本と#5湊谷安玲久司朱のミドルシュート1本の計3点に抑えて、50-24で前半を終了する。

川崎ブレイブサンダース

Ⓒマンティー・チダ

後半に入っても川崎は、この日絶好調のファジーカスを中心に得点を積み上げていき、点差はみるみる広がっていく。横浜#1川村卓也にこの日初得点を許すが、手を緩めることなく、3Q終了時点で43点リードまで広げていく。

4Qに入ると川崎は、#4青木保憲、#18鎌田裕也、先週の天皇杯2次ラウンドから復帰した#15谷口光貴ら控えメンバー中心の構成に変更。かみ合わない時間帯もあったが、横浜も攻め手を欠いた部分があり、点差はそれほどつまらないままオフィシャルタイムアウトを迎える。

その後、横浜#6中村太地に3pを2本沈められ、エナジーを出される場面もあったが、結局川崎が横浜を94-55で下し、神奈川ダービーを制した。DAY2も川崎が87-75で勝利し、対横浜戦は12連勝となった。

「竜青さん、祐眞さんに噛みついてアピールしないといけない」青木保憲

川崎は立ち上がりから横浜を大きく離して勝利した。そんな中、大量リードと#14辻直人の欠場もあって、青木の出番は1Q残り2分50秒にやってきた。出場時間は18分28秒で今季最多時間となり、無得点ながらもリバウンド2本、スティール3本、アシスト3本という記録を残した。

「正直課題ばかりでしたね。打つべきところで打ってはいたが、決めないといけない。4Qだけ点数で横浜に負けていたので、そこはゲームメイクの部分で至らないところがあった」とまずは自分のプレーについて話をした。

1Qの途中から出場していた青木は、大量リードということもあって、篠山の代わりに司令塔のポジションに入り、交代を繰り返しながら、4Qは最後まで10分間出場を続けた。ボールをキープしすぎてショットクロックバイオレーションになったり、中途半端にパスを出してしまった後にスティールを許してしまったりと、少し迷いがあるようにも見えた。

川崎ブレイブサンダース

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「もう少しシンプルにやれば良かったところを、相手がチェンジングしていたところを、自分の中で色々作ろうとしてしまい、時間も足りなくなってしまった。もっと球離れ良く、1回ダメだったらすぐ離して、次のチャンスに切り替えれば良かった。最悪のオフェンスの終わり方をしてしまった」とボールキープをし過ぎて、ショットクロックバイオレーションをコールされた場面を振り返る。

バスケットボールは、シュートを外したとしても、オフェンスリバウンドで次の攻撃に繋がる可能性がある。もし、シュートを打たずしてショットクロックバイオレーションやアウトオブバウンズ、もっと言えばオフェンスファウルで攻撃が終わってしまえば、自動的に相手に攻撃権を渡すことになり、流れが傾く可能性もある。

最後にどうすればプレータイムを確保できるかを聞いてみた。

「北HCの中では、このタイミングでこの選手を使うという流れがあると思う。このタイミングで青木を出せば、こういう流れに持っていってくれるだろうという中で、チームとしての役割を確立しないといけない。その為には日頃の練習から、(篠山)竜青さん、(藤井)祐眞さんにしっかり噛みついてアピールしないといけないし、試合でも少ないチャンスで結果を残さないといけない。チームに与えられる何かをもっと作らないといけない」と話す。

筑波大学時代に3冠達成へ共に歩んだ同級生の馬場雄大(A東京)、杉浦佑成(SR渋谷)はチームの主力として活躍している。青木もぜひ彼らに続いてほしい。そのための挑戦はまだまだ続く。

「青木は苦しんでいたかなと思う」篠山竜青

「(試合を通じて)青木は苦しんでいたかなと思う」篠山は青木をコート内外から見ていて、このように答えた。

「非常に真面目でコツコツやっていくタイプ。どちらかというと器用ではない。そういう部分で考え方は祐眞よりは、僕の方に似ていると思う。僕も若い時は色々苦労した。川崎のバスケットに慣れるまで、様々な壁があり、悩み抜いたところがあったので、彼には少しでも近道で登っていけるように、言えるところはどんどん言っていきたい。ただ、プレースタイルは川崎に合っていると思う。ハードにディフェンスをして、堅実なプレーは伸ばしていってくれたらいいし、いいものは持っていると思う」と青木にエールを贈る。

青木も「祐眞さんより竜青さんの方がプレースタイルは近いですね」と自覚していた。

川崎ブレイブサンダース

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篠山と青木は、ともにコート上でプレーする場面もあった。ちょっとした時間で、篠山が青木にアドバイスを送るシーンもあり、若い頃の自分をだぶらせていたのかもしれない。

辻が故障で欠場のため、ガード陣は総力戦で戦わないといけない。「ベンチメンバーが出た時はミスが出てしまう。コントロールの部分でもたくさん改善しない。ベンチのメンバーも自覚を持ってほしいし、自分も声をかけていかないといけない」とベンチから客観的に見ていた。

篠山は、最近までワールドカップアジア2次予選日本代表のメンバーとして戦っていた。代表合宿などでチームを空けることが多く、来年2月に控えるWINDOW6でも、アウェイで海外遠征となるため、これまでよりも長くチームから離れることが予想される。

「チャンピオンになるためには、まだまだ足りない。全員でステップアップしていかないといけない」

ニック・ファジーカスも含め、代表勢がいなくても、チーム全員で自覚を持つ必要がある。

最後に、天皇杯ファイナルラウンド初戦の相手が千葉に決まったことについて聞くと「苦笑と書いておいてください」と笑いながらコメントした。昨季チャンピオンシップクォーターファイナル、今季Bリーグ1部先出し開幕戦に続いて、再び相まみえる川崎と千葉。

「優勝するためには、どこかで必ず倒さないといけない相手」と千葉について語った篠山。今季こそリーグ戦のタイトルを確保するためにも、チーム全員で成長することが優勝への近道のようだ。