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【Bリーグ第11節】栃木・渡邉裕規「3点ビハインドでよく我慢できた」

SP_1811_G048,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【DAY1前半】1Qで大きくリードした栃木が前半を優位に進める

Bリーグ第11節。東地区首位の栃木ブレックス(以下・栃木)は、とどろきアリーナに乗り込み、川崎ブレイブサンダース(以下・川崎)と対戦した。このカードはBリーグ初年度のファイナルと同じカードで昨季も3勝3敗。今月は共に6勝1敗と好調の両チーム。東地区で首位をひた走る栃木を、ホームの川崎が迎え撃つ形となった。

試合の立ち上がりは互角な戦いを見せるが、栃木は#13渡邉裕規の3pを皮切りに、古巣との対戦となった#24栗原貴宏の3pでリードを広げる。さらに#18鵤誠司がスティールを成功させ、チャンスをつかむと、#22ライアン・ロシター、鵤が得点し、8点リードとした。

川崎はここで3人を一気に交代させるが、栃木は#10竹内公輔のレイアップ、ロシターのリバウンドからの速攻で12点リード。流れを変えたい川崎がタイムアウトを請求するも、栃木の勢いは止まらず。#30山崎稜の3pでチーム25点目を叩き出し、13点リードで1Qを終了する。

栃木ブレックス,Ⓒマンティー・チダ

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2Qに入って、栃木は立ち上がりからゾーンディフェンスを敷く。川崎#3林翔太郎に得点を許すが、栗原のスティールから渡邉がファストブレイクを成功させると、山崎も続いてチーム30点目に乗せる。

川崎#21バーノン・マクリンがディフェンスリバウンドから自ら持ち込みダンクを決めると、栃木はタイムアウトを請求。その後両チームとも得点を重ね、中盤から林を下げて、#22ニック・ファジーカスをコートに戻すと、マクリン、#31シェーン・エドワーズとビックラインナップを形成。ここから川崎が反撃に転ずる。

ファジーカスが3pも含む連続得点でリードを詰めると、エドワーズもレイアップを含め4得点で一気に5点差まで詰めていく。しかし栃木は、#4ジェフ・ギブスが連続得点し、川崎にタイムアウトを要求させると今度はロシターがフェイダウェイ。鵤も3pを沈め再びリードを10点とした。

川崎#33長谷川技にバスケットカウントを決められ、辻にも得点を許したが、栃木11点リードで前半が終了する。

【DAY1後半】川崎のゾーンディフェンスに耐えながら、終盤勝ち越してDAY1勝利

後半に入り、点差の詰まらない展開が続く中、動いたのは川崎。残り5分42秒のタイムアウト明けから、ゾーンディフェンスを敷く。

これが功を奏し、栃木に5回連続攻撃機会で得点をさせず、ファジーカスのポストプレー、エドワーズのダンクなどで6点差まで詰めよったところで、たまらず栃木がタイムアウトを請求。川崎は終盤に#14辻直人の連続得点などで点差を維持し、5点差で3Qが終了する。

栃木ブレックス,Ⓒマンティー・チダ

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4Qに入っても川崎の勢いは続いた。エドワーズがレイアップを決めると、長谷川が連続で3pを沈め逆転に成功する。ここでタイムアウトを請求した栃木は、ロシターの3p、#9遠藤祐亮の得点で逆転、再びリードを奪う。

川崎・ファジーカスのアンスポーツマンライクファウルで栃木はフリースローと攻撃権を獲得するが、遠藤のシュートは決まらない。ここを踏ん張った川崎は、#7篠山竜青がジャンプシュートを入れて1点差に詰めて、オフィシャルタイムアウトを迎える。

タイムアウト後、再びビックラインナップに戻した川崎に対し、栃木は渡邉がスティールからファストブレイクを決める。川崎のタイムアウト請求後も、渡邉が今度は3pを決めリードを広げる。再びタイムアウトを請求されるも、渡邉がとどめの3pを入れてリードを9点差に広げた。

その後、渡邉はファイブファウルで退場したが、栃木が逃げ切って86-79で川崎に勝利した。

「3点ビハインドでよく我慢できた」栃木・渡邉裕規

渡邉は勝因として「スタートから激しくディフェンスができた」と開口一番にコメント。

出だしから川崎の思うような攻撃をさせない激しい守備を随所に見せるだけでなく、渡邉の3pからリードを広げると、鵤のスティールで攻撃権を獲得して、ロシター、鵤の連続得点で流れをぐっと引き寄せ、1Qだけで13点をリードした。

ファジーカスが本来の調子を取り戻し、チームも上昇ムードだった川崎も、このまま引き下がるわけにはいかなかった。

3Q残り5分42秒で14点ビハインドとなった川崎は、北HCがタイムアウトを挟んで「流れを変えるためにもやってみようか」という理由でゾーンディフェンスを敷き、ここから栃木の得点は止まる。

ただ栃木の3p成功率が高いことを踏まえ「3pが入りだしたらすぐにやめようと思っていた。効いていたのでそのまま続行した。色気づいて余計なことまでやり過ぎて、3pを決められたというシーンはあったが、同点までよく追いついてくれた」と評価。そして一時は長谷川の連続3pで逆転に成功する。

栃木ブレックス,Ⓒマンティー・チダ

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一方、渡邉はゾーンディフェンスで得点が止まり、川崎に逆転を許した場面について「よく3点ビハインドで我慢できた」と話す。

「得点が止まるというのは、やっている本人たちが一番きつい。ここをディフェンスで粘れたのはこの日の試合では大きかった。一瞬でも隙を見せると、こういった強いチームには一瞬で持っていかれるので、そこは3点とかで止められたのはよかった」と続けた。

渡邊自身、これまで前身の東芝時代を含め川崎とは何度も試合を重ねている。その中で川崎の強さを肌で感じているからこその発言だろう。

安齋竜三HCも、川崎に逆転を許した後のタイムアウトで「早くローテーションして相手に3pを打たせないこと、オフェンスは状況判断して、うちが持っているものからいろいろなものを選ぶこと」を指示したという。

その後川崎に3pを打たせる機会をわずか1回に抑え、3pを決めさせていない。キャプテン#0田臥勇太が腰痛のため欠場を続けているが、HCの的確な指示が選手たちを安心させ、たとえ3点ビハインドになっても「誰一人気持ちを切らせる選手はいなかった」と渡邊は明かした。DAY2も栃木が川崎に逆転勝利し、このカード連勝で終えた。

栃木は諦めない姿勢をコート上で実現し、どんなことでも対応できるチームになってきた。シーズンも残り3分の2、栃木はどこまで走り続けるか。今後の成長に期待したい。