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新潟の好調の要因はディフェンス!混戦の中地区首位を走る【Bリーグ】

2018 12/4 11:00SPAIA編集部
バスケットボール,ⒸShutterstock.com
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攻撃は抜群も守備に課題があった昨季

一昨年のリーグ最高勝率を誇った川崎ブレイブサンダース、昨年の最高勝率のシーホース三河が集うハイレベル地区ともいえる中地区。だが、ワールドカップアジア地区予選によるブレイク期間を前に首位を走っているのは、この川崎でも三河でもなく、オフェンスに厚みを加えた富山グラウジーズでもない、新潟アルビレックスだ。

プロクラブとしては日本で最初に産声を上げた新潟だが、bjリーグ時代もBリーグが始まってからも優勝争いには縁遠い。リーグ得点王の#54ダバンテ・ガードナーや衰え知らずの38歳#7五十嵐圭を擁していた昨季も、チャンピオンシップ不出場だった。

足かせとなっていたのは失点の多さだ。一昨季は81.1点、昨季は81.4点で、いずれもリーグ17位の数字。得点源のガードナーはディフェンス意識がそこまで高くなく、ヘルプディフェンスの弱さからの失点に加え、強力な日本人ビッグマンも不在。アウトサイドの選手も機動力、高さのどちらかが欠けている選手が多く、ガードナー&五十嵐コンビを中心としたハイスコアゲームで押し切るしか勝機がなかった。

その結果、ガードナーがたとえ毎試合30得点を稼いでも勝ち切れず、2年連続で黒星が先行するシーズンが続いてしまっていたのだ。

“粘り”のあるディフェンスでロースコアゲームも勝ち切れるように

しかし今季の失点は73.1点とリーグで5位。得点も同5位78.3点とオフェンス力を維持しながら、課題を克服しているのだ。ブロックの平均が微増していること以外特に主要の数字に変化はないが、「我慢強く試合ができている」と五十嵐、庄司和広ヘッドコーチが口をそろえるように、劣勢でもディフェンスで粘れるようになった。

その要因はチームのディフェンス向上に他ならないが、今季はディフェンスに定評のある#22上江田勇樹と、アウトサイドプレーヤーながらリバウンドに強い#16渡辺竜之佑が加入。さらには中央大と日立(現サンロッカーズ渋谷)で五十嵐とチームメイトだった#3柏木真介がアジャストし、補強が見事成功した。また、ガードナーのリバウンド数も平均1.5本近く増えた。

バスケットの理想といえる「80得点以上、60失点以下での勝利」も増加し、攻防が安定。オフェンスが停滞してもディフェンスで食らい付き、終盤に逆転できたり、ロースコアゲームも展開できたりと、今季は粘りについても一味違う新潟を見せている。また勝敗に関しても、三河を含めた同地区クラブから確実に勝利を積み重ねている。これはシーズン終盤に順位がもつれた場合、勝敗が並んだ際の大きなアドバンテージだ。

今後、大いに考えられる川崎と三河の逆襲。加えて富山も不気味な存在といえる。しかし、破壊力抜群な攻撃力と安定した守備力を携えた新潟の上位争いも十分に可能だ。強豪との対戦を控える中盤戦を乗り切れば、おのずとBリーグ初のチャンピオンシップ出場も見えてくるだろう。