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【Bリーグ第3節】腕の長さと走力で金丸晃輔を抑えた 川崎・林翔太郎

2018 10/20 11:00マンティー・チダ
林翔太郎,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【前半】三河・金丸の得点を抑えた川崎が主導権を握る

立ち上がりからロースコアの展開が続く中、川崎#21バーノン・マクリン、三河#14金丸晃輔が得点を積み上げていく。川崎は、#31シェーン・エドワーズが3pシュートを含め連続得点でリードを広げると、マクリンもジャンプショットで続き、7点リードとする。終盤、三河#24加藤寿一の3pシュートから追い上げを許すが、川崎が2点リードで1Qを終了する。

2Q出だしで、#22ニック・ファジーカスのフェイクからアシストを受けたマクリンが豪快にダンクを叩きこんで川崎が先制。対する三河は金丸の得点が止まり、スコアメイクに苦しむ。

それを横目に川崎の#0藤井祐眞がバスケットカウントとなる3点ショットを決めると、エドワーズがダンク、#3林翔太郎もファストブレイクを成功させるなど、立て続けの速攻で三河を引き離す。ここから終盤にかけて、24秒バイオレーションを宣告されるなど攻め手を欠く場面もあったが、三河の得点をわずか3に抑え、12点リードとし前半が終了する。

川崎ブレイブサンダース

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【後半】3Qで三河に逆転を許すが、藤井の連続得点で再逆転し勝利を飾る

後半に入り、三河はオフェンスリバウンドから#32桜木ジェイアールがチャンスをものにすると、加藤も3pシュートで続き、金丸、#5アイザック・バッツと得点を重ね、残り5分を迎える頃に、川崎のリードは2点となる。

川崎はタイムアウトで流れを切りたいが、三河#46生原秀将の3pシュートで逆転を許し、結局三河に4点リードとされて3Qが終了する。

両チームとも互角な入りをするが、三河の#4狩俣昌也、生原、桜木が連続で個人ファウルを重ねる。そして、直後に川崎は林が3pシュートを沈めて流れを手繰り寄せると、#14辻直人がスティールからファストブレイクを成功させ1点差まで詰める。

三河にタイムアウトを請求されるが、川崎の勢いは止まらない。マクリンとのコンビプレーなどで、藤井が2連続を含む6得点で逆転し、一気に5点差まで突き放した。

オフィシャルタイムアウトが明けても、川崎はマクリンのレイアップ、篠山のジャンパーで得点を重ねる。終盤も、三河のディフェンスファウルから獲得したフリースローを着実に沈め、少しずつリードを広げた川崎が三河を69-60で下した。

川崎ブレイブサンダース

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「林が金丸に対しうまく守ってくれた」川崎・北卓也ヘッドコーチ

60点台で勝負が決まったこのカード。川崎・北卓也ヘッドコーチは「苦しみながらも勝利出来て良かった」とほっとした表情を浮かべた。

記者会見の冒頭から試合を振り返る中で「得点が止まる時間帯がある」と課題も口にしたが、その後に「金丸に対し林がうまく守って、流れを止めてくれた」と淡々とした口調でコメントした。

この日金丸は21得点を獲得し、三河の中では一番の稼ぎ頭だった。

金丸の得点シーンは1Qと3Qに集中。特に3Qは、追いかける展開からシュートを気持ちよく沈め、周りの選手たちも乗せられる様に躍動し、一時は逆転に成功した。

一方、2Qと4Qにおいて、金丸の得点は止まった。その時間帯にマッチアップしていたのが林だった。「腕が長いので、遅れてシュートチェックに行っても間に合う。みんな嫌がっている」と北ヘッドコーチは林の守備を評価した。

もう一つ評価した点として「何気に走れる」ことをあげた。東海大九州時代に鍛えられた走力が林の持ち味。「いいところで決めてくれた」と2Qで速攻からファストブレイクを決めた場面、4Qで藤井の連続得点につながる3pシュートなど、走力を生かしたオフェンスが、チームの活性化につながった。

「ヘルプサイド(ミドルラインをはさんでボールがない側)のディフェンスも思った以上に良かったので、今後も楽しみ。面白く伸びてきそうなので、のびのびやって欲しい」と笑顔も見せた。

北ヘッドコーチは、育成にも力を入れている。若手がのびのびとプレーできる環境を整えながら、チームの成長を描いていくのだろう。

川崎ブレイブサンダース

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「流れを変えるために自分はコートに立っている」林翔太郎

「流れを変えるために出場している」

林は何度もこの言葉を口にした。そしてその場面はやってきた。

2Qからコートに入った林は、三河のエース金丸とマッチアップする。

「相手に金丸さんというすごい選手がいたので、練習から金丸さんにやらせないように取り組んだ。先輩からアドバイスをもらいながら、チームに助けてもらって、良いディフェンスができた」と振り返る。4Qでも終盤の3pシュート以外は無得点に抑えた。

1Qで三河に許した得点は13点のうち8点が金丸のもの。しかし、2Qで金丸は7本投じてすべて外れていた。3Qになると10点と息を吹き返したが、4Qでは3点。つまり、林がコートに入っていた時間帯で金丸に得点を許したのは、21得点中7点だった(3Q終盤2点シュート2本、4Q終盤3pシュート)。金丸が得点できない時間帯で、川崎は流れを作ったことになる。

林の見せ場は守備だけではなかった。

速攻からファストブレイクや、4Qで川崎逆転のきっかけを作った3pシュートなど、チームの得点に貢献。昨季のデータから、ウイングの選手(2番、3番ポジション)のレイアップに行く回数が少ないことが分かり、プレシーズンの時から「速攻、ドライブからレイアップを狙え」と北ヘッドコーチから指示があったことを試合後に明かした。

リーグ開幕以来着実にプレータイムが伸びていることについては、素直に「嬉しい」と表現したが「欠場中の#15谷口光貴選手が戻ってきても、使ってもらえるようにしていきたい」と気を引き締める。

「流れを変えるために出場しているので、積極的なミスは良いとしても、セットプレーとか消極的なプレーは今後しないようにしたい」

相手のエースを止める役割を果たした林には、今後もエースキラーとして躍動してほしい。

川崎ブレイブサンダース

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