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川崎ブレイブサンダース 悲願のリーグ優勝に向けて! ブレイク期待の3選手

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Ⓒマンティー・チダ

今季リーグ優勝を目指す上で「若手の底上げ」は必要不可欠

川崎ブレイブサンダースは昨季、クォーターファイナルで千葉ジェッツに敗れてシーズンが終了した。リーグ初年度、ファイナルに進出し、国立代々木競技場第一体育館にて栃木ブレックスに敗れてから、是が非でも取りたかったリーグ優勝のタイトルを獲得することはできなかった。

チームとしても大きな転換期を迎えた。運営会社が、東芝グループからDeNA傘下に変わった。川崎としても、DeNA傘下初年度で優勝を狙いたいし、十分狙えるだけの戦力は確保できている。

ではなぜ昨季リーグで優勝することができなかったのか?それは最終戦となったクォーターファイナルの千葉戦にあると推測する。

昨季、最優秀シックスマン賞を受賞した藤井が大きくブレイクし、主力として計算できたことは良かった。しかし、この試合では篠山がケガ明けで万全な状態では無く、辻もDAY2の2試合を通じて、得意の3pシュートが1本も入らなかったのだ。その為、藤井に大きく負担がかかり、壮絶な戦いとなったGAME3では最後足が止まってしまった。今季、篠山も代表活動等でチームを離れることも予想されるため、チームとしても主力のポイントガードがもう一人欲しいところなのだ。

そして、昨季まで在籍していた栗原貴宏が栃木に移籍した。栗原と同じく3番(スモールフォワード)でプレーできる野本建吾も 秋田ノーザンハピネッツに移籍した。その為、このポジションが手薄になった。

さらに、今季は外国籍選手の出場ルールも変わった。昨季までは、各Qで申請数は2名以内、1試合合計6名までのため、ほとんどのチームが1Qから順に1-2-1-2(川崎はファジーカスが帰化選手になるまでは2-1-1-2)で起用し、オンザコート2であっても帰化選手を起用した場合、外国籍選手は1名までしか起用できなかった。しかし、今季は外国籍選手数の登録は3名までとし、試合にエントリーできる選手は2名まで。帰化選手は試合を通じて外国籍選手2名と同時起用ができるようになった。川崎で考えた場合、ファジーカスは帰化選手のため、他の外国籍選手2名と同時に試合に出場できることが可能になった。

ここまで考えると、主力以外の選手がどこまで活躍できるかがカギになる。北卓也HCも「若い選手がどこまで試合に絡んでくるのかは楽しみ。いろんな失敗をしつつ反省しながら、一歩ずつ階段を上ってくれたら」と期待を込めた。以前にも「若手を育成していきたい」という意向をコメントしていたので、自然と発言に至ったのだろう。

それでは、リーグ優勝を果たすためにブレイクを期待したい3選手を紹介しよう。

「昨季ケガで出場できなかった悔しさを今年全て晴らす」ジュフ・バンバ

「ジュフ チェイカ アハマドゥ バンバ」と聞くと、あっと思われる方も多いかもしれない。2017-18シーズンから、外国籍選手としてプレーするジュフ・バンバだ。セネガル・ダカール出身で、延岡学園高校在籍時は、ベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)らとプレーし、ウインターカップでは2年連続準優勝に輝いた。拓殖大学に進学後は、センターポジションとして4年間チームの主力として活躍する。

彼の持ち味は、身体を生かした得点能力だ。拓殖大学時代、ケガのため欠場が続いた4年次の関東大学リーグ戦、インカレ以外は得点王、リバウンド王、3ポイント王を総なめにするなど、コート上では圧倒的な存在感を魅せた。1対1にも強く、アウトサイドからのシュート力も抜群だ。

拓殖大学卒業後は川崎に入団し、2017-18シーズンは開幕から24試合に出場したが、シーズン序盤はプレイングタイムも獲得できなかった。12月末になりジョシュ・デービスが欠場しプレイングタイムを確保した矢先に、右大腿内転筋肉離れのケガでインジュアリーリストに公示され、そのままシーズン中の再登録を見送られていた。

今季から外国籍選手のルールが変わり、主力のファジーカスも帰化選手となったので、バンバには外国籍選手として出場機会が増えるし、外国籍選手としての存在感を発揮してもらわないと困るというのが本音だろう。

「自分の出場機会が増えるということは、チームにとってプラスに働くと思う」と話すバンバ。何より、昨季は半分以上ケガで出場は出来なかった。「今年は優勝したい。チーム全員で頑張りたい。ケガで出場できなかったから悔しかった。その分全部今年に出したい。大学の頃以上のパフォーマンスを見せたい」と力強く語った。果たして今季こそBリーグで本来の姿を取り戻すことはできるか。川崎浮上のキーマンとなるだろう。

ジュフ・バンバ

Ⓒマンティー・チダ

「自分なりにチームへ貢献できる方法を」青木保憲

昨季途中から特別指定選手として川崎と契約した#4青木保憲は、2018年2月3日に公式戦初出場を果たす。レギュラーシーズン終盤になると、篠山がケガで欠場したこともあり、少しずつプレイングタイムは増えていった。チャンピオンシップを迎えて篠山が復帰したが、篠山が万全な状態でなく、藤井に頼る場面が目立ち、最後は総合力の差で千葉に敗れた。

クォーターファイナルGAME3ではGAME2からの勢いを買って、篠山ではなく藤井をスタート5に起用した北HC。「GAME2から藤井は調子が良かったので、それを変える決断はできなかった」と当時記者会見でコメントしている。もし、GAME2で藤井を休ませながら千葉に勝利していれば、GAME3は勢いで川崎が勝利する可能性もあった。

藤井は今季もポイントガード・シューティングガードの併用が予想される。となるとポイントガードがもう1枚必要になる。そこで青木の登場だ。北HCも「篠山が代表活動などで不在になることも予想されるので、青木の出番は増えるだろう」と期待を寄せた。

青木は、筑波大学在籍時、馬場雄大(アルバルク東京)、杉浦佑成(サンロッカーズ渋谷)と同学年だった。筑波大学が三冠(関東大学トーナメント、関東大学リーグ戦、インカレ)達成時のキャプテンでチームの司令塔を担っていた。「キャプテンシーがあるが、ボールキープが課題」と北HCは話す。

青木は今季から正式に川崎とプロ契約を交わした。専修大学との練習試合中に、北HCから指示を受けており、「インサイドのフロアバランス、不用意なカッティングでスペースをつぶしていたこと、タイムマネージメント。ポイントガードとしてのアドバイスを受けた」と指示の内容を教えてくれた。

「(篠山)竜青さん、(藤井)祐眞さんと同じようにやってもかなわないし意味がない。自分なりにチームへ貢献できる方法を見つけることができれば、ベンチからコートに入っても流れを変えられると思う。アレンジや試行錯誤しながら見つけていきたい」とプロとして目指す姿を明かした。

青木がプロのコートで自分なりのあり方を見つけることができれば、篠山、藤井の負担軽減に繋がり、より一層チームとして戦いやすくなることは言うまでもない。

青木保憲

Ⓒマンティー・チダ

「体作りをしっかりして、長谷川選手を休ませる時間を作る」林翔太郎

ここまでバンバ、青木と優勝へのキーマンをあげたが、練習試合を見ているうちに、彼の姿が気になった。#3林翔太郎だ。青木同様に昨季途中から特別指定選手として入団した彼もキーマンにあげたい。

昨季まで8季にわたり、川崎を支えてきた栗原貴弘が栃木に移籍した。そのため、3番ポジションを担えるのは、#33長谷川技のみだ。現時点(8月10日現在)で日本人選手をこれ以上増やさないと考えた場合、3番ポジションを担える林はサブとして欠かせない存在になってもらわないと困る。

林は昨季、登録枠の関係もありベンチ登録が7試合にとどまった。7試合しかベンチ登録されなかった原因も含め、このオフはフィジカル強化を中心に取り組んでいたようだ。

「ウェイトトレーニングが苦手で、やらないといけないのはわかっていた。入団した頃は、体つきが細いということもあり、コンタクトプレーなどで当たり負けしていた。ディフェンスも話にならないくらいひどかったので、体作りからしっかりしないといけなかった」と話す。

7月から今季の練習が始まり、午前中はウェイト、午後はバスケットボールのドリル練習など取り組んできた。「ストレングスコーチ指導の下、体重が増えてきて、他の選手と同じようにメニューをこなせるようになった」と成果を強調した。

専修大学との練習試合では、主に3番ポジションを担当。「攻撃面は良かったと思うが、決めないといけない3pシュートが2本ぐらいあった。守備面では、体が疲れていないときはハードに守備ができたが、体が疲れてきたときに相手にドライブを許したことが多かった」と試合を振り返る。

「今季は長谷川選手を休ませる時間帯を作れるようにしたい。チームディフェンスを理解して当たり前にできるようにし、持ち味のシュート力をしっかり生かしたい」と意気込みを語る。

林翔太郎

Ⓒマンティー・チダ


主力となる選手のプレイングタイムを減らし、若い選手のプレイングタイムが増えることで、チームの総合力は向上する。向上すれば、チャンピオンシップから始まる厳しい戦いでも、様々な戦術で試合をコントロールできるので、階段を一段ずつしっかり登り、リーグ優勝に貢献してほしい。