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バスケ女子日本代表、チャイニーズ・タイペイに圧勝、代表初出場組がアピールに成功【バスケ女子日本代表親善試合】

アカツキジャパン
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Ⓒマンティー・チダ

【振り返り前半】本橋とオコエが試合の流れを呼ぶ、チャイニーズ・タイペイに前半だけで36点リード

試合開始直後、チャイニーズ・タイペイ#27リン・ユーティンが個人ファウルを連続で受けてしまい、早々にベンチに下がる。日本は主将#8高田真希(デンソーアイリス)のシュートなどで得点を重ねると、自らのスチールからファストブレイクを決めて10点リードしたところで、チャイニーズ・タイペイは残り6:12タイムアウトを請求する。タイムアウト後、チャイニーズ・タイペイは流れを取り戻そうと点差を詰めてきたが長くは続かなかった。残り4:24日本は#99オコエ桃仁花(デンソーアイリス)がコートに入り代表デビューを果たす。終盤はオコエの3pシュートなどでリードは広がり、日本が17点リードで1Qを終了する。

2Q に入ると、1Qの途中より縦の動きからキレのあるレイアップを魅せていた#15本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)が3pシュートを沈めて幸先よくスタートすると、オコエもこの日2本目の3pシュートを入れてチームに流れを呼び込む。チャイニーズ・タイペイもシュートは放つものの、日本の守備によって崩された格好のシュートモーションが続き、入れることができず、残り6:03にフリースローを沈めるまで得点はできなかった。終盤に向けて得点ができないチャイニーズ・タイペイに対し、日本は途中出場の#17三好南穂、#0長岡萌映子(共にトヨタ自動車アンテロ―ブス)の得点などでさらにリードを広げていく。終盤に入っても得点を重ねた日本は、長岡がブザービーターとなる3pシュートを入れて36点リードとし前半が終了した。

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【振り返り後半】動きに精彩を欠くも、前半の貯金を生かしてチャイニーズ・タイペイに勝利

前半同様、守備からペースをつかんだ日本だが、中盤にチャイニーズ・タイペイ、リン・ユーティンにスチールを許すなど、攻撃に前半の勢いが見られなくなった。しばらく膠着状態が続いたが、チャイニーズ・タイペイはリン・ユーティンのファストブレイクなどで巻き返しを図る。しかし、日本は三好の3pシュートが最後に決まり、35点リードで最終Qへ向かう。

4Qは立ち上がりから両チームとも得点を重ねた。チャイニーズ・タイペイのリン・ユーティンにファストブレイクを決められたが、日本は#30馬瓜エブリン(トヨタ自動車アンテロ―ブス)が得点をあげるなど、リードをキープし試合終了を迎えた。日本代表はチャイニーズ・タイペイに96-66で勝利した。

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吉田亜沙美不在の中、熾烈を極めたポイントガードのポジション争い

日本代表トム・ホーバスHCは今大会を「トライアウトの場だ」と発言する。吉田亜沙美(JX-ENEOSサンフラワーズ)、体調不良で今大会欠場した渡嘉敷来夢(JX-ENEOSサンフラワーズ)が不在の中、誰がチームを牽引するのか注目が集まった。

特に今回はコート上の司令塔でもあるポイントガードに着目してみたい。このポジションは、吉田亜沙美が長年レギュラーを張っている。今大会でトム・ホーバスHCは、本橋菜子、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)、三好南穂を起用した。

3人の中で一番アピールに成功したのは、本橋ではないだろうか。トム・ホーバスHCも「判断力とプレッシャーディフェンスが良かった」と評価できる選手の一人として本橋の名前を出した。判断よくトップスピードでゴールに向かい、レイアップを入れてチームに勢いをつける場面もあった。

本橋は早稲田大学を卒業後、東京羽田ヴィッキーズに入団した。チャイニーズ・タイペイ戦は、自身の日本代表デビュー戦でもあった。「緊張もあったけど、ここまできたので楽しみたかった」と明るく話せば、「町田さんのようにパスも出せない、三好のようにシュートもそれほど入らないけど、チームの速いトランディションをガードとして作るようにした」と続けた。アシストも12本記録したが「私のパスというよりは、(馬瓜)エブリンをはじめとしてチームメイトが良く決めてくれたと思う」と仲間のシュートを称えた。

この日先発で起用された町田や得点でアピールした三好、今大会出場機会がなかった藤岡麻奈美(JX-ENEOSサンフラワーズ)も「チャンスは十分にある」とトム・ホーバスHCは語る。同じく今大会欠場した吉田も含めて、継続してアピールすることで「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2018」(9月22日からスペイン)のメンバーに残っていく。
スペインの地で司令塔のポジションに座るのは誰なのか、この後の親善試合も含めて注目をしたい。

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代表デビューを飾ったオコエ桃仁花は「面白い存在」になるのか

本橋と同じく代表デビューを飾った選手の中に、オコエ桃仁花がいた。兄にオコエ瑠偉(東北楽天イーグルス)を持つ。背番号は「99」を背負い、兄の背番号「9」を彷彿させたが「(苦笑いしながら)背番号はたまたまです。99番はなかなか無いですよね」と兄の背番号と無関係を強調するも天真爛漫さが垣間見えた。

プレーに関しては、トム・ホーバスHCも「面白い」と話す。持ち前の体格を生かしながら、アウトサイドから3pシュートも打てる能力も備わっている。

オコエは自分の特徴について「体格を生かしたリバウンドやインサイドのプレー、4番ポジションでも3pシュートが打てる、ドライブやスピードを見てほしい」と強調した。一方、課題として「冷静になって点を確実に取る」ことをあげた。前半3pシュートを2本沈めて守備でも貢献したが、後半になると精彩を欠いた。「若いからこれからだけどね」トム・ホーバスHCも若さを指摘しながらも、今後の成長に期待する。

試合終了後、オコエは所属するデンソーのチームメイト高田にアドバイスを求めていた。「デンソーの時も含め、毎試合アドバイスを求めている。結果を出している選手へ積極的に聞きに行くことも大事だから」と理由を明かした。

アドバイスを求められたときは「自分で思ったことを話す」という高田は「(オコエは)体も強いし外のシュートもあるので、オールラウンドにできる選手だと思う。攻撃に関しては思い切ってやれば良い。守備は連携が備わってくるので、個人ではなくチームとしての連携をうまくしていかないと、競った時に厳しくなる」と期待を寄せる中、課題もあげた。

あどけなさも残る19歳が日本代表の中心選手となって活躍するとき、世代交代も一気に加速することも予想される。現在の女子日本バスケ界にはあまりいない体格の強さを生かしたプレースタイルで世界を驚かす日も相当遠くはないのかもしれない。

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