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来季B1残留を置き土産に現役引退を発表した富山・宮永【B1・B2入れ替え戦レポ】

B.LEAGUE,B1・B2入れ替え戦,Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

【B1・B2入れ替え戦振り返り】富山が熊本を下し、B1残留を決める

5月27日、横浜アリーナでBリーグ「B.LEAGUE B1・B2入れ替え戦」が行われ、富山(B1)が熊本(B2)を88-85で下し、1部残留を決めた。

一時は、熊本に7点リードを許した1Qだったが、#13チャップマンのバスケットカウントなどにより3点差で終了。
2Q中盤では#24大塚の3pシュートで富山が勝ち越すものの、終盤には1点差まで詰めた熊本。しかし、#11宇都とチャップマンの2pシュートにより富山が4点リードする。

3Q後半、熊本#1中西にマッチアップしていた富山#15青木と#81小原がファウルを重ね、ファイブファウルで退場となってしまう。これによって苦しくなる富山はさらに、熊本の中西にファウルで獲得したフリースローを決められる。
だが宇都が果敢に挑んだ結果、僅差のまま試合終盤へ。熊本を2点差まで追い込み3Qを終了。

4Q前半にチャップマンと#45ピットマンの得点で勝ち越す富山は、僅差ながらもリードする形で試合終盤へ。何度も熊本に1点差まで詰められるが、残り0:05で宇都のフリースローで逃げ切り、富山が来季の1部残留を決めた。

ベテランとしてチームを落ち着かせる役割を果たした 富山・宮永

司令塔宇都を中心に試合を作る富山。40分フル出場というわけにいかないことは当然なのだが、宇都のかわりができる選手は限られている。

今試合、前半終了の段階で既に3つのファウルを数えていた宇都と交代でコートに入ったのは、ベテランの宮永だった。2004年東芝に入社してからトップリーグの選手としての生活がスタート。その後栃木、千葉、富山と渡り歩き、北海道にレンタル移籍する時期もあった。

初めて彼を見たのは、千葉がbjリーグからNBLに移籍した最初のシーズンでもある2013-14。開幕4連勝を果たしたものの、20連敗を喫しチーム状況が苦しかった当時、宮永はスタート5の選手として54試合すべてに出場し、司令塔としてチームを牽引していた。

プレースタイルは派手ではなく職人気質。西村文男が加入した2014-15シーズンでは、2番手のポイントガードとして西村のバックアップをし、インタビューにも、いつも落ち着いた口調で答えてくれた。
また、富山へ移籍後も経験を生かしながら宇都を中心としたチームを落ち着かせ、ベテランらしい役割を果たしていた。

そんな宮永も1部残留を決めた入れ替え戦後のインタビューでは、いつもより少し高いトーンで「タフなシーズンでしたが、自分たちのトランディションバスケット、ハードなディフェンスから速い展開に持っていく。宇都を中心にというのを最後まで貫き通して勝つことができた。今シーズンの仲間、一緒にプレー出来て嬉しいですし、ここまで本当に一番長いシーズン、ブースターさんはあきらめないでどんな時も一緒に戦ってくれたので、本当にその気持ちが勝たせてくれたと思う」と語り、嬉しさをかみしめた。

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グラウジーズとして乗り越えないといけない壁

6月2日に今季限りの現役引退を発表した宮永。
入れ替え戦の段階ではわからなかったが、「バスケット人生の中で、こういった経験は選手・スタッフ・チーム、みんなの力になると思うので、結果的に最低限の目標であるB1残留をタフな状況で乗り越えることができた。選手のこれからの人生においてとても大きなステップだと捉えます」と語り、やり切ったという満足感が伺えるコメントを残している。

失礼を承知で次のステージについて問いかけると、少し噴出したような笑いをしながら富山が目指すところについて「最初はチャンピオンシップを目標にずっとやってきた。そこはグラウジーズとして乗り越えないといけない壁だと思うので、そこを目指してやるべきだと思う」と発言し、今後の自分についてのコメントは無かった。

14年間にも及んだ現役生活については「無我夢中で駆け抜けました。多くの素晴らしい指導者と出会い、大切な『仲間』と出会えたことは、私にとってかけがえのない財産です。この14年間の選手生活を思い返すと、厳しさ、優しさ、謙虚さ、素直さ、傲慢さ、勤勉さなど多くのことを学びました。そして、バスケットボール選手として、大きな怪我もなくここまで夢中になれたことは、家族、そして、応援してくださる皆様のお陰だと改めて感じます」とチーム公式サイトを通じ、コメントを発表した。

今後の活動については未発表だが、彼のチャレンジとセカンドキャリアを応援したい。