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【B.LEAGUE試合レポ】第21節 千葉VS.SR渋谷「相手の心を折るディフェンス」

バスケットゴール
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【前半】試合の立ち上がりを決めた千葉が、ファウルトラブルにも負けずペースを握る

立ち上がりから千葉は、持ち味である速い展開で試合を支配する。#34小野が3pシュートを決めて波に乗る。直後の守備では#11西村がブロックショットでボールを奪うことに成功すると、再び速い展開からこの日もスタート5に名を連ねた#10チェンバースがシュートを決める。続けて、小野もこのQ2本目の3pシュートを決めリードを広げた。

1Q終盤に向かって千葉は、チェンバース、#27石井、小野が個人ファウルを2回コールされ、ファウルトラブルに見舞われるが、小野に代わってコートに入った#1阿部が役目を果たし、最後はDAY1から戦列に復帰した#2富樫がブザービーターとなる得点を決め、千葉が10点リードとし1Q終了する。

2Qに入って立ち上がりからオフェンスリバウンドから、阿部が3pシュートを決めチーム30点目にのせる。SR渋谷は#22長谷川や#32山内の3pシュートなどで点差を詰めていく。千葉も阿部がこのQだけで2回個人ファウルを重ねるが、SR渋谷はオフィシャルタイムアウトを迎えるまで、チームファウル5回を重ねてしまう。

オフィシャルタイムアウト明け、千葉はSR渋谷のファウルからフリースローを獲得するが、#21エドワーズがフリースロー得点を稼ぐことができなかったが、#31原のファストブレイクによる得点などでリードを広げる。終盤#8ライオンズがバスケットカウントとなる3点ショットを決めるなど、千葉が13点リードして前半終了する。

【後半】SR渋谷・杉浦が新たなエネルギーを注入も千葉が逃げ切りA東京に勝率で並ぶ

3Q残り4:48、直前のディフェンスでアンスポーツマンライクファウルをコールされた広瀬にかわってコートに入ったSR渋谷#14杉浦がチームに新たなエネルギーを注入する。「前日(DAY1)の終盤で一番ファイトしていたので、今日は大事な場面で起用した」とSR渋谷・勝久HCが起用意図を明かす。そしてコートに入った杉浦は、#55ハレルソンの3pシュートに続き、左サイドコーナーから3pシュートを決める。流れを掴みかけたSR渋谷だったが、直後に山内がこのQチームファウル5個目となるディフェンスファウルをコールされてしまい、相手にフリースローを献上する。千葉はフリースローをしっかり決めきれないシーンが続いたが、小野が3pシュートを決めるなどSR渋谷とのリードはキープしたまま、16点リードで3Qを終了する。

そして4Qに入りSR渋谷は終盤、#6サクレのダンクやハレルソンと長谷川の3pシュートなどで8点差まで追い上げていく。最後ファウルゲームを仕掛けるが、点差を詰めるところまでいかず、結局千葉がSR渋谷に93-85で勝利し、このカード連勝を達成した。

【振り返りその1】「相手の心を折るディフェンスをしよう」千葉・大野HC

この日は1Qでファウルトラブルが重なってしまい、我慢する展開が続いたが「レオ(・ライオンズ)が後半から出られない中、荒尾などベンチメンバーがよくつないでくれた」と開口一番、千葉・大野HCは口を開いた。 DAY1の試合前、大野HCは選手に対し「相手の心を折るディフェンスをしよう」と話をしたそうだ。 「ディフェンスのコミュニケーション能力は上がっている。自分の想いも受け取ってくれているようなので、継続的にできればよい。まだ仮免みたいなものだから(笑)」と話す。

1Qでファウルトラブルとなり、2Qはずっとベンチで戦況を見つめていた小野は「自分が出ていなくても落ち着ける部分はあると思うのでもっと増やしてほしいが、ディフェンスはすごくいい。ハードに当たっているし、リズムが悪いときに自分が出れば良いので、思い切ってプレーしてほしい」と満足そうに答えてくれた。

そして、今節から戦列に復帰した富樫は「コンディションはまだまだ。後半は足が重くてついていけていないという感じだった。コンディションが戻っていない中の試合は、いつも以上に、けがの危険性はあると思うので、けがの対策は一番にやっていきたいと思う」と心境を明かした。

これで千葉はA東京と勝率で並んだ。そして、この日はA東京戦DAY2を欠場した西村も、戦列に復帰し、しっかりと役目を果たした。これからの戦い、どんな相手に対しても「相手の心が折れるぐらいのディフェンス」ができれば盤石だろう。

【振り返りその2】「勝たなければいけないプレッシャーを感じようと思って」SR渋谷・杉浦

一方のSR渋谷は、千葉に対し2日間連続で80点以上失う結果となった。チームの平均失点が71.8点(第21節終了時点)である中、普段から「ディフェンスのチーム」と口にするSR渋谷・勝久HCは、この連戦のチームの姿を「自分たちじゃない」と表現した。原因として「オフェンスを強化したことにより、ディフェンスがおろそかになってしまった」と分析。「出だしのところも含め、オフェンスに意識が行き過ぎているのか、組み合わせの問題なのか考えたい」と今後の課題を示した。

そんな中、明るい兆しもあった。「DAY1で最後にファイトしてくれたので、千葉・小野選手にぶつけた。よく守ってくれた」とルーキー杉浦のプレーぶりを評価する。

2Q残り6:10にこの日初めてコートに入り、前半は目立った活躍が無かったが、後半再び出番がやってきた。3Q残り4:48、直前のディフェンスでアンスポーツマンライクファウルをコールされた広瀬にかわってコートに入ると、すぐに千葉・小野とマッチアップをする。コートに入って最初のオフェンスで、ハレルソンの3pシュートをおぜん立てするアシストを決めると、次のオフェンスの時には、左サイドのコーナーでパスを受けて3pシュートを放つがこれを外してしまう。しかし「シュートを1本外したが、2本目をしっかり打ち切って決めてくれた」と勝久HCが評価する通り、先程外した位置と同じ地点から3pシュートを放って決めた。

試合後に杉浦は「いつ出られるかわからないという状況で、あえて流れが悪い中起用されたのは、今までにない違うエネルギーを求められていたからと思う。DAY1の時は緊張でガチガチだった。今日も緊張もしていたが、会場に対する緊張よりも自分がやらなくてはいけないプレッシャーの方が、自分に対して得るものが多いと感じたので、そのように考えていた」と振り返る。

大学時代も学生日本代表に選出されるなど、国際試合の経験もしているが「ユニバーシアードにも出場したが、主力で出場するか、まったく出場しないかであった。これまで、2Qの途中からコートに入る事はあまりなかったので難しかったですね」と話す。

チャンピオンシップに進む為にも、杉浦のエネルギーは必要だ。「コートに出してもらうためには、ミスをしないようにすることよりもアグレッシブにやれるかどうか」と締めくくってくれた。若い力でチーム再浮上のきっかけをつかんでほしい。