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【B.LEAGUE試合レポ】第17節川崎VS.千葉~最後まで自分達のバスケをやり切ることが重要 

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【前半】川崎・藤井のスチールから逆転を許すも千葉2点リードで折り返す

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1Q、5点ビハインドで終わった川崎は、Q開始直後の千葉攻撃時♯1阿部がボールキープしていたところ、♯0藤井がスチールを決めファストブレイクに成功。さらに♯18鎌田の2pシュート、 #17アマンドソンの3pシュートで 勝ち越しに成功すると、残り8分34秒千葉はタイムアウトを請求する。

タイムアウト後は両チームとも互角に戦うが、「彼の持ち味はオフェンスです」と北HCが評価するように、1Qにケガで退場した#14辻に代わってコートに入っていた♯15谷口が2本の3pシュートを決める。川崎が9点リードとした場面で、オフィシャルタイムアウトを迎える。

千葉もこの後から持ち味の速さを生かした攻撃が機能し始める。#3パーカーがバスケットカウントとなる3点ショットを決めると、#34小野のポストプレーからアウトサイドでパスを受けた#21エドワーズが3pシュートを決める。パーカーも続いてスコアを重ね1点差まで詰める。試合終盤、小野とパーカーが得点し2点勝ち越しをしたところで前半は終了。千葉2点リードで後半に向かう。

【後半】3Qで大量リードした千葉、4Q川崎の猛追を受けるが逃げ切り勝利

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#31原と#11西村の3pシュートが決まり主導権を握った千葉は、川崎からタイムアウトを請求されても流れをキープする。川崎・藤井のシュートが外れると、素早くリバウンドを獲得し速い展開で相手陣内に持ち込むと、原が3pシュートを決める。エドワーズもバスケットカウントを決め、残り5分22秒千葉18点リードとなったところで川崎はたまらず後半2回目のタイムアウトを請求。

3Qを27点リードで終えた千葉だったが、川崎も黙っていなかった。北HCは4Qが始まる前に「点数の事は気にするな。川崎のバスケをしよう」と声をかけコートに送り出す。そして、口火を切ったのは#22ファジーカスだった。3pシュートとバスケットカウントとなる3点ショットを決め一気に6点を稼ぐ。#7篠山のファストブレイクなどで残り4分40秒オフィシャルタイムアウトを迎える頃には14点まで差を詰めていた。

しかし、川崎の勢いは止まらない。ファジーカスのバスケットカウントから再び追い上げムードを作ると、#00デービスの得点などで差は縮まり、残り1分23秒千葉がタイムアウトを請求した時には、千葉のリードは6点となっていた。

タイムアウト後、川崎はスチールを決めてデービスが4点差となる得点を決める。千葉は、エドワーズがオフェンスファウルをし、個人ファウル5回目となり退場。直後の川崎のオフェンスでファジーカスが得点し2点差。しかし、千葉の攻撃に変わった時、千葉の選手はペースを落としてゆっくりパスを回し始める。川崎は勢い余ってデービスがディフェンスファウルをし、千葉がフリースローを獲得。#8ライオンズが冷静に1本決めて3点リード。直後の川崎のオフェンスではファジーカスにボールを集めたが、ラインクロスでチャンスを逸し、最後も2本3pシュートを狙ったが決められず試合は終了。千葉が88-85で勝利を飾った。

【振り返り1】川崎・篠山「4Qの追い上げはファンのおかげ」

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ゲームを振り返ると、川崎は途中から辻をケガで欠いたなか、2Qで控えのメンバー中心にゲームを作り、5点ビハインドながら踏ん張った。北HCも「控えのメンバーが頑張ってくれてゲームを作ることができた」と評価する。

しかし、後半に入ると千葉も持ち味のディフェンスからの速い攻撃が機能し始め、一時は31点までリードを広げた。川崎の篠山も試合後に「後半から辻がいない中、どうしましょうということになってしまい戸惑ってしまった。でも良い経験にもなった」と振り返るように、課題の多い時間帯となったが、最終Qに怒涛の追い上げを見せた。「これはもうファンの皆様のおかげです」と篠山が語るように、追い上げていけばいくほど、ホームの川崎ブースターの声援が大きくなっていき、脅威にもなっていった。ただ、3Qのビハインドが大きく響く結果となった。

辻がケガで退き、交代で出場した谷口やポストプレーで外国人と互角に戦った鎌田など若手がチームをけん引した。「まだ経験がないですからね」と北HCが話す通り、経験を積んでくるとチームの底上げも期待できる。開幕前に「若手を育成するのは自分のスタイル」と北HCが話をしてくれた。上位で戦いながらも、試合を通じて若手が経験を重ねてくるようだと、終盤には厄介なチームになってくるだろうと期待できる。

【振り返り2】千葉・西村「2試合80分自分達のバスケットをやり切れるかが大事」

一方の千葉は、持ち味が生きている時間帯はしっかりリードを奪えるが、少しペースを乱してしまうと隙を突かれ追い上げを許した。大野HCも「長い時間ディフェンスをさぼらずに、持ち味の速い攻撃を出せるかが大事。少しでもできなくなると川崎さん相手では追い上げを許すことになる」と追い上げられた場面を振り返った。

この日チームをけん引した西村も「いかに2試合80分間、自分たちのバスケットをやり切れるかですね。経験と個人のメンタルさえ整えばできると思います。4Qに関しては相手が最高のディフェンスをしてきて対応しきれませんでしたね」と話す。

天皇杯を制して以降、千葉は自分たちのバスケットをやりきる事で勝機を見出してきた。この日の川崎戦では3Qで大量リードを奪い勝負あったという油断が、4Qで川崎からの猛烈な追い上げを受ける形となってしまった。この日のゲームを見ている限り、強さの中に少しだけ脆さが残ってしまっているようだ。脆くなりかけるところで、自分たちのバスケをやりきれることができればリーグ制覇に大きく近づくだろう。

いずれにしても、東地区の上位で激しく戦う2チームに今後も注目したい。

(執筆・写真:マンティー・チダ)