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【関東大学男子バスケ】東海大学 ディフェンスに拘り新人戦制覇

東海大学バスケ部の集合写真Ⓒマンティー・チダ
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Ⓒマンティー・チダ

東海大学が2年ぶり6回目の新人戦制覇

第59回関東大学バスケットボール新人戦が行われ、東海大学が2年ぶり6回目の優勝を果たし幕を閉じた。

新人戦は2年生、1年生が主体となって挑む大会。東海大学は、昨年の大会で連覇を狙っていたが、準決勝で拓殖大学に6点差で敗れた。#11大倉颯太、#86八村阿蓮といった2年生は、昨年の悔しさを胸に今大会に挑んでいた。

迎えた決勝は専修大学戦で、3回戦から準決勝までのチーム総得点1位、2位の対戦である。より多くの得点を獲得できるのかはもちろん、ここまでリバウンドで1位の東海大学に、専修大学がどこまで対抗できるのかがカギとなっていた。

個人表彰を受ける選手Ⓒマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ

 

試合は、東海大学 八村らの得点で1Q を24-19とリードして終えるが、2Qに入ると少しずつ点差を詰められて、専修大学に逆転を許す。その後は、点の取り合いになり、東海大学は5点ビハインドで前半を終える。

しかし後半に入ると、東海大学が守備からきっかけを掴み、#23佐土原遼の連続得点で一気に逆転し、5点リードする。終盤は守備で相手の得点を抑えながら、さらにリードを9点に広げて最終Qへ。

4Qの立ち上がり、3Qに続いて守備で相手を圧倒した東海大学。しかし、専修大学#23キング開の3pから詰められて6点差に。

残り4分51秒。東海大学はタイムアウトを請求し、立て直しを図る。タイムアウト後、大倉が3pを含め9得点を決めて勝負あり。97-82で2年ぶり6回目の優勝を達成した。

「我々のアイデンティティーは『ディフェンス』」陸川章監督

「今年の2年生は、昨年の準決勝で拓殖大学に6点差で敗れた悔しさがあったので、ぜひ勝たせてやりたかった」

今や学生バスケットボール界を代表する名門で、多くのBリーガーやヘッドコーチを輩出している東海大学。その大学バスケ部を牽引している陸川監督は、優勝チームインタビューで、開口一番そう語った。新人戦は今回で6回目の優勝。だが、2年生はその優勝を経験していないため、優勝の喜びを彼らとも分かち合いたかったのだ。

「前半は点の取り合いになったと思うが、我々のアイデンティティーである『ディフェンス』から、簡単にエントリーさせない、得点をさせない。我々の持ち味を出してから、結果を求めようと。『ディフェンス』から入ろうと指示をした」

2Qで専修大学に逆転を許し、ハーフタイムに突入したところで出した指示。後半、その“ディフェンス”が決まると、佐土原の得点ショーが始まり12得点獲得した。

「シュートを打てば入る自信があった。ゾーンに入っていた感じ」と話す佐土原。自分たちのスタイルで出だしを決めれば、こうして得点できる選手が現れるのもバスケットボールの醍醐味だ。

しかし4Qに入り、専修大学もキング、#1山本翔太の3pなどで反撃に出る。一時は13点差まで離したが、6点差まで追い詰められた。

ここで陸川監督は、タイムアウトを請求し、改めて“ディフェンス”の指示を出した。

「専修大学さんのシュートが当たり始めて、3pは駄目だよと。あとは、リバウンドをしっかり押さえる事。やっぱりディフェンスですね」

3pシュートは、通常の2pシュートよりも1.5倍の価値がある分、一度決められると流れが変わりやすく、アリーナの雰囲気も変わる。流れを変えられやすい3pでの得点を許さず、ディフェンスリバウンドをしっかりものにするように伝えた。

そうして、東海大学のアイデンティティーである“ディフェンス”を軸に、昨年の雪辱を見事に果たすことができた。

東海大学バスケ部全員で円陣になって校歌を歌うⒸマンティー・チダ

Ⓒマンティー・チダ

 

試合後、新人戦を制することの重要性を語った。

「1・2年生の選手たちが、二十歳を超えて大人になる大会だと思っている。2年生ですけど、上級生になってチームリーダーになれる。この経験は4年間の中で大事だと考えている。みんなが成長できた」

陸川監督は、これまで何度も新人戦をはじめ、多くの大会を指揮する名将である故に、選手たちが成長した姿を素直に喜んだ。昨年、悔しい敗戦があったからこそ、学生と向き合ってここまでやってこれたのである。

「他のメンバーがすごく頑張ってくれた」大倉颯太

昨年の新人戦で悔しさを経験している大倉。以降、上級生が混じった大会でも、スタート5に名を連ねて、リーグ戦やインカレでは主力の一人として、優勝に大きく貢献していた。そして、2年生になり、新人戦でこのように優勝することができて、昨年の悔しさを晴らしすことができた。

「苦しいゲームでしたけど、勝ち切ることができて良かった」

試合ではの大倉は、決勝の終盤こそ、得点に絡む活躍を見せたが、前半は流れに乗り切れていなかった。

「前半流れが悪い時は、専修大学のペースだったが、自分たちのペースになれば勝てると思っていた。ハーフタイムに陸川監督から喝を入れてもらい、後半の入りから自分たちのバスケができた」

さらに「他のメンバーがすごく頑張ってくれた」とチームメートに感謝していた。

思うようなプレーが出来なくても、仲間が頑張ってくれる。バスケットボールはチームスポーツでもあるため、個人の頑張りだけで勝利を手繰り寄せることは難しい。

春のトーナメントや秋のリーグ戦と違い、下級生だけで戦う新人戦。「二十歳を超えて大人になる大会」という陸川監督。大人になる過程で、様々な事が経験できる新人戦は、人間としての成長を促す大きな意味も持っているようだ。