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日本が強豪イランを下し4連勝 次戦のWINDOW5は国内組新戦力に期待【W杯アジア2次予選】

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©マンティー・チダ

【前半】ヤハチャリのシュートなどでイランにリードを許す

FIBA W杯アジア地区2次予選(Window4)第2戦が大田区総合体育館で行われ、日本はイランを70-56で下し、1次予選オーストラリア戦から4連勝とした。これで日本は4勝4敗でグループF4位につけた。

前半、ジャンプボールを獲得し、#23八村塁のジャンプシュートで先制した日本。対するイランも#8ベヘナム・ヤハチャリの3pシュートに続き、#4メイサム・ミルゾイのスティールから#5サジョド・マショエヒの得点でリードを広げる。その後、#12渡邊雄太のフリースローで点差を詰めるが、イランは#13モハメド・ジャムシディ、ヤハチャリの3pシュートで再び引き離される。

さらに、イランはヤハチャリの3pシュートが2本決まるなど、アウトサイドからの攻撃が成功し、続けて#12ルースベ・アルガボンがゴール下からジャンプシュートを入れて6点リード。日本は残り1:27としたところでタイムアウトを請求する。

その後も、2-2-1のゾーンディフェンスをフロントコートから敷き、日本に得点を許さないイラン。結果、日本は6点ビハインドで1Qを終了。

2Q立ち上がりからイラン・アルガボンに連続得点を許した日本だったが、1Q途中からコートに入っていた#35アイラ・ブラウンの3pシュートで相手に傾いていた流れを止めると、#15竹内譲次もリバウンド争いの末、得点に成功する。更に渡邊がスティールからファストブレイクを炸裂させて同点に持ち込んだ、残り5:27、イランはタイムアウトを請求する。

タイムアウト後は、両チーム共に手堅い試合運びだったが、イラン・ヤハチャリのジャンプシュートなどで追加点を決め、日本を35-31とリードして前半が終了する。

バスケットボール・日本代表,八村塁・渡邊雄太

©マンティー・チダ

【後半】立ち上がりのリバウンド・守備で流れを掴み勝利

後半開始の日本は出だしの攻撃で八村が得点する。直後の守備ではゴール下で粘りつつ拾ったボールで攻撃に転じる。ここを凌いだ日本は、渡邊のカットインをきっかけに、逆に日本が4点リードとなった。

残り8:00でイランはタイムアウトを請求するが、日本も竹内、八村の好守備でイランと互角の戦いを演じ、攻撃でも比江島、八村、#2富樫勇樹らの得点で少しずつリードを広げていく。残り3:00を切って、日本は守備で粘りを見せると、八村の得点につなげた。その後ブラウンにブロックショットが飛び出すと、ここでコートに戻った竹内がルーズボールに飛び込み、オフェンスリバウンドを獲得する。

さらに、竹内と競っていたイラン・アルガボンにアンスポーツマンライクファウルが宣告され、フリースローと攻撃権を得ると、#24田中大貴がシュートを決め57点に。日本はイランに14点リードし3Qを終了する。

4Qに入りしばらく膠着状態が続いたが、残り6:36で日本はタイムアウトを請求後、渡邊がリングに向かってアタックし、イランのディフェンスファウルを誘った。ここで獲得したフリースローを渡邊が2本揃えると、直後の守備ではイランにシュートを打たせず、24秒バイオレーションとし、優位に試合を進めた。

イランも#10ヴァヒド・ダーリルザボンの3pシュートで流れを掴みかけるが、日本も篠山がスティールを決め、守備で踏ん張りを見せる。イランはタイムアウトを請求するなど、流れを変えようとするが、点差を詰めることはできず、日本は八村のダンクで70点に乗せて試合終了。日本がイランを下した。

バスケットボール・日本代表,竹内譲次

©マンティー・チダ

後半最初の2、3プレーは全員が大事だとわかっていた

キーポイントになったのは、後半(3Q)の立ち上がりを攻守ともに高く意識していた点だった。前・後半共に最初の攻撃で八村がシュートを入れた。

そしてもっと大事なのは、攻撃後の守備だ。前半は八村が入れた後、イラン・ヤハチャリらのアウトサイドシュートに手を焼き、終始追いかける展開となった。一方後半は、直後の守備でゴール下のリバウンド争いに競り勝ち、富樫のドライブから渡邊がカットインで決めた後の守備でも、相手にシュートを打たせない。24秒バイオレーションで凌き、日本が4点リードとしてからも、我慢強く守備をやりきった。

前半にアウトサイドから3pシュートを3本決めたヤハチャリに対し、後半から渡邊がマークしていた。「前半やられていたヤハチェリに、後半マークして止めることができた」と守備でチームに貢献できたことを喜んだ。

追いかける展開から始まった後半について、司令塔の富樫も「4点差だったので冷静に入れた。4点差から6点、8点とリードを広げられることと、同点に追いつくことは全く違うという意識で入った。最初の2、3プレーは全員が大事だとわかった上の後半出だしだったので、それが良い流れをもたらした」と話し、後半立ち上がりに集中していた比江島も「勝てる自信はあった。もう一度流れは来ると思っていた」とコメントしている。

厳しい試合を戦う上で、追いかける展開でも、冷静に自分たちを信じて戦えるかが重要だ。

バスケットボール・日本代表,小野龍猛

©マンティー・チダ

WINDOW5以降は渡邊・八村が不在?国内組に期待

WINDOW4終了時点で、日本はグループFで4勝4敗の4位につけている。4試合残しているが、日本より上位に位置するオーストラリア(同 1位 7勝1敗)、フィリピン(同3位 5勝3敗)とは直接対決が終了している為、本戦出場に向けて残り試合を全勝することが求められる。

WINDOW4で大車輪の活躍を見せた渡邊と八村は、アメリカのシーズンが始まるため、WINDOW5以降の招集が微妙だ。一方、ファジーカス・ニックがWINDOW5から復帰する予定で、インサイド陣はめどが立つが、渡邊と八村の代わりとなれば探すのは難しいだろう。

彼ら2人が日本代表に残した財産は大きい。本場アメリカ仕込みの強い気持ちでチームに活力を与え、4連敗中の頃に比べると見違えるようなチームになった。渡邊は「今の日本ならばもっと強い国でも戦える」と手応えを口にしている。

だからこそWINDOW5に向けて、国内組からの台頭を望みたい。

まずは千葉ジェッツの小野龍猛。3番ポジションながらポストプレーが得意で、戦術にフィットできれば戦力になるだろう。以前Bリーグ開幕戦の記者会見で「日本代表復帰」を目標に掲げていたので期待したい。

もう1人は期待値も込めて、サンロッカーズ渋谷の杉浦佑成。2年目を迎える今季「守備力の向上」を課題に掲げた。得点能力はチーム内でプレイタイムを勝ち取れば発揮できる。プレシーズンマッチやアーリーカップで実証できた。WINDOW5までの2か月間で課題を克服できれば、代表という声がかかってもおかしくない。

WINDOWS5での新戦力への期待とともに、どのようにコートで暴れてくれるか、彼らの戦いぶりが楽しみである。

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©マンティー・チダ