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簡単なようで難しい。バスケのロッカーモーション解説

2017 7/12 14:39sachi
バスケットボール
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Photo by Evgenii Matrosov/Shutterstock.com

バスケットボールにはロッキングチェアを語源とした「ロッカーモーション」というテクニックがある。相手マーカーが思わず動きを止めてしまうこの技は、ドライブでゴール下へ持ち込むのに有効だ。この記事ではロッカーモーションの動きや難易度、そして代表的なNBA選手を紹介する。

走る、止める、走る!ロッカーモーションの概要について

ドリブルで進んでいると、相手マーカーが横からディフェンスにつく場面がある。その時、普通にドリブルを続けていてはマーカーに手を出されてボールを失ってしまう。しかしマーカーを振り切ることができれば、そのままドライブしてシュートに持ち込める可能性が高まる。
ロッカーモーションはこういった場面で威力を発揮するテクニックだ。ドリブルを急にキャンセルしたように見せかけてマーカーの動きを止め、その瞬間急激にドライブを仕掛けることで振り切る。技術としてはそれほど難しいわけではないが、相手の動きをよく観察できれば大きな効果が得られる。

相手を惑わせるコツはステップと上半身の動き

ロッカーモーションはそれほど難易度が高いテクニックではないため、バスケットボールの上級者でなくてもある程度はマスターできる。しかし、取り組みやすい技だからこそ相手ディフェンスにも読まれやすく、ドリブルを止めてまた動き出すというモーションをただ行っていても相手を振り切ることはできない。
相手に読まれづらいロッカーモーションのコツは、ステップの変化と上半身の動きにある。前進しながらのドリブルでマーカーが横についた時、ドリブルをキャンセルしたと思わせるように小さいバックステップを取り入れると、相手の動きをより止めやすくなる。
また、その時に上半身を起こすことで相手はプルアップを警戒して重心を高くすることがある。その瞬間を見逃さず、再度前傾しながら一気にドライブで抜き去る。

一瞬のスピードとステップワークがテクニックに磨きをかける

ロッカーモーションを効果的に繰り出すコツを紹介したが、バックステップや鋭いドライブはこのテクニックに重要な要素だ。相手を惑わすロッカーモーションを身につけるには、ドリブルしながら多彩なステップを繰り出せるように練習する必要がある。前後だけでなく左右にもステップを利かせられれば、それだけ相手は的を絞れなくなる。
また、相手の動きを止めてもドライブへの移行が遅ければ再び寄せられてしまう。モーションに緩急をつける上でも、一歩目からの加速力を意識してトレーニングしよう。これらの能力を鍛えることで、相手との駆け引きをものにした時に大きなチャンスを得ることができる。

80年代最高のポイントガード、アイザイア・トーマス選手

1980年代に「NBA最高のポイントガード」と呼ばれたアイザイア・トーマス選手。デトロイト・ピストンズ一筋のプロ生活を送りNBA連覇、オールスターゲームには12度出場し、ゼッケン11はピストンズの永久欠番となっている。
アイザイア・トーマス選手の代名詞ともいえるのが、その卓越したドリブルテクニックだ。得点が最重要視されるポジションではないにもかかわらず、その優れたボールハンドリングと緩急自在な動きから繰り出すロッカーモーションは冴え渡り、全盛期はコンスタントに20得点・10アシスト以上を稼ぎ出した。185cmの身長でもゴール下までドライブしていける能力の持ち主だ。

踊るようなドリブルで観衆を魅了するクリス・ポール選手

ロサンゼルス・クリッパーズで絶大なリーダーシップを発揮しているクリス・ポール選手は、現在のNBAで屈指のポイントガードだ。183cmという身長は、2mを超えるプレーヤーが揃うNBAにおいてミスマッチの標的にされがちだが、それを補って余りある運動量と機敏さ、司令塔としての能力を持ち合わせている。
そして、クリス・ポール選手自らも「踊るような感覚」と評するドリブルテクニックは他の追随を許さない。スピードと強靭な肉体、華麗なボールさばきで相手マーカーを翻弄するロッカーモーションは一見の価値あり。ここ一番の勝負強さや、決して手を抜かないプロ意識の高さなど、見習う点の多いスタープレーヤーだ。

まとめ

ロッカーモーションはスピードあるドリブルから急停止、再度の動き出しと下半身の軸も重要なテクニックだ。難易度としてはそれほど高くはないものの、相手マーカーやドライブ時のコース取りを含めた状況把握力、そして確かなボールハンドリング能力が求められる。