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巨人・山下航汰はどうなる?意外と伸び悩むイースタン・リーグの首位打者

2019 8/29 06:00勝田聡
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山下航汰がイ・リーグ唯一の打率3割超え

今シーズン、二軍とはいえ首位打者争いで独走している選手がいる。巨人の高卒1年目のルーキー・山下航汰である。8月27日終了時点で打率.349(281打数98安打)とリーグ唯一の3割オーバー。2位の巨人・北村拓己(打率.286)に5分以上の差をつけている。

その山下は2018年のドラフトで育成1位指名を受け、健大高崎高校から巨人へと入団。二軍では4月から主力として多くの試合に出場していたが、当初は高校時代とのレベルの違いに苦しんだのか結果を残すことができなかった。4月終了時点での打率.211(57打数12安打)がそれを物語っている。

だが、5月に入ると月間の打率は.378(82打数31安打)と成績が一変。6月は頭部死球を受けた影響もあり、打率.267(30打数8安打)と落ち込んだが、7月の打率は.365(63打数23安打)と復調。その打撃能力の高さが認められ支配下登録も勝ち取っている。その後も勢いは衰えず8月の打率は27日終了時点でなんと.490(49打数24安打)と手がつけられない状態だ。

8月2日には一軍初昇格するも試合機会には恵まれず、3日後に登録を抹消された。守備面での課題もあるが、大きな期待を寄せたくなる成績を残していることは間違いない。今シーズン、ファームで首位打者を獲得し、来シーズン以降へのはずみをつけたいところだろう。

しかし、過去のタイトルホルダーをみると、イースタン・リーグの首位打者は意外にも活躍が約束されているわけではないようだ。

巨人で規定打席到達は黒江透修のみ

過去、巨人の選手でイースタン・リーグの首位打者を獲得したのは昨年の石川慎吾含め11人いる。

巨人歴代イ・リーグ首位打者

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そのうち、巨人で規定打席に到達したのは黒江透修ただひとり。黒江はタイトルの獲得こそないが、内野の要としてV9を支えた一人として歴史に名を残している。オールドファンなら名前は聞いたことがあるだろう。

その他の選手を見ると阿部成宏、庄司智久は巨人で結果を残すことができなかったものの、それぞれ近鉄とロッテに移籍後、規定打席に到達。他球団への移籍で花が開いたパターンだ。

上記の表を見ても分かる通り黒江は1965年、阿部が1971年、庄司が1977年と40年以上も前のできごと。近年、巨人の選手でイースタン首位打者を獲得し、一軍で活躍する選手は出てきていない。

過去20年では青木宣親や銀次がタイトル獲得

では、イースタン・リーグ全体ではどうだろうか。近年の首位打者を見ていきたい。

1999-2018年のイ・リーグ首位打者

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過去20年(1998年〜2018年)の首位打者を見ると、後に一軍で規定打席へ到達したのは青木宣親(ヤクルト)、根元俊一(ロッテ)、銀次(楽天)、井上晴哉(ロッテ)の4人のみ。イースタン・リーグで首位打者を獲得したとしても、一軍で活躍するのはなかなか難しいようだ。もちろん、近年のタイトル獲得者は現役選手も多く、今後、規定打席へ到達する可能性はあるが、それでも決して多いとは言えないだろう。

山下航汰はイースタン・リーグで首位打者を獲得し、来シーズン以降一軍で活躍できるだろうか。育成契約から半年で支配下登録を勝ち取ったように、一軍でも結果を残すことに期待がかかる。

※数字は2019年8月27日終了時点

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