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ロッテを上位に導く“救世主”マーティン 来日早々、走攻守で存在感

2019 8/13 06:00浜田哲男
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加入したばかりで連日活躍

今季途中、ロッテに加入した新外国人マーティン。7月26日の楽天戦からチームに合流すると、早速6番右翼でスタメンに。以降はここ一番での決勝本塁打、華麗なフィールディング、レーザービームのような本塁への送球、加速力の凄まじい盗塁など、走攻守で躍動し、チームの勝利に貢献している。

マーティン加入後のチーム成績は8勝4敗1分け。首位のソフトバンクまで5.5ゲーム差に詰め寄っており、2番にマーティンが入ることで打線も厚みが増した。これまでは右翼で先発することが多かった清田育宏も主に代打にまわり、勝負強い打撃を見せ勝利に貢献するなど、相乗効果を生んでいる。これはまさにマーティン効果と言えるだろう。

毎試合、初見の投手と相対するも相手の得意な球種を完璧にとらえたり、際どい球をカットしたり、四球を選んだりなど、非常に内容のある打席が多い。余裕をもって際どい球を見逃すケースも見られ、選球眼も良さそうだ。韋駄天・荻野貴司が出塁した際には荻野の二盗をサポートしたり、グリーンライトで荻野が走ったタイミングで一塁線を破る二塁打を放ってチャンスを拡大したりと、打線の中で早速機能している。

マーティンが2番に座ることで、打撃好調の鈴木大地を3番に置くことができる。ここまで13試合に出場し、5本塁打。その全てが本拠地・ZOZOマリンで放ったものだ。打球も鋭く、8月8日のソフトバンク戦では一塁手の内川聖一のグラブをはじく強襲ヒットを披露。多くのファンがマーティンの走攻守に魅了されていることだろう。まだチームに加入したばかりでのここまでの活躍は、ファンも想定外だったのではないだろうか。

加入したばかりで連日活躍

長所は様々あるが、走攻守全てのプレーに華がある。左中間に飛んだ打球やテキサスヒットになりそうな打球も、華麗なスライディングでいとも簡単にキャッチ。初出場となった7月26日の楽天戦では、1死一、三塁のピンチで打席には銀次。マーティンの前にライナー性の当たりが飛んできたが、これをキャッチすると本塁へレーザービームのような送球を見せ、タッチアップで本塁へ向かった山崎剛を見事に刺した。

また、レンジャーズ時代の2013年、2014年には2年連続30盗塁をマークし、メジャー通算126盗塁を決めている脚力も健在。既に2盗塁を決めている。一発があるだけでなく、守備も巧みで足も速い。打席の中での粘りもある。まさに救世主と言える存在ではないだろうか。

守備の心配がなく足が速いため、終盤の勝負所で交代させる必要もない。マーティンの加入が選手間の競争意識を高め、チームに厚みをもたらしていることは確かだ。

現在、上位打線は1番の荻野から、マーティン、鈴木、レアードという並びになっており、昨季のクリーンナップを打っていた井上晴哉、中村奨吾、角中勝也らは下位打線に入ることが多い。今季の中村や角中は好不調の波が激しく常に期待できる状態ではないが、下位打線に彼らが名を連ねているのは相手にとって脅威だろう。2番にマーティンが入っていい働きをしていることが、打線の厚みにつながっている。

課題は左投手か

ここまで13試合出場で、打率.327、5本塁打、13打点、2盗塁、出塁率.403、OPS(出塁率+長打率)1.094と、十分すぎるほどの結果を残している。

あえて課題を挙げるとすれば、左投手に対する弱さとなるだろうか。今のところ打席数が少ないため鵜呑みにはできないが、現状、対右投手の打率.372(43打数16安打)に対して対左投手の打率は.167(12打数2安打)と低い数字となっている。

それでも、レアードらと日本人投手の攻め方について話し合っている姿もよく見られる。今後様々な投手と対戦し経験を積むことで、どのように日本野球にアジャストしていくのか楽しみだ。

マーティンがCSに進出するためのキーマンになる可能性は十分にある。

※数字は2019年8月8日終了時点

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