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中村恭平に阿部寿樹 遅咲きのブレイク候補たち

2019 7/10 11:00勝田聡
中日ドラゴンズの阿部寿樹ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

1988年生まれ世代の中村恭平が9年目の開花

各チーム80試合前後を消化し、今シーズンのプロ野球ペナントレースも試合数は折り返し地点を過ぎたことになる。

高卒2年目の村上宗隆(ヤクルト)や高卒3年目の山本由伸(オリックス)らが序盤から結果を残し、球界を盛り上げている。彼らのような若きニュースターの躍動は新しい時代の到来を予感させてくれる存在だ。

一方でこれまでに大きな実績がなかったにもかかわらず、年齢的には中堅となってから結果を残す遅咲きの選手もいる。

2010年ドラフト2位で、富士大から広島に入団した中村恭平(広島)もその一人。斎藤佑樹(日本ハム)や大石達也(西武)と同じ1988年世代(1988年4月2日〜1989年4月1日生)でもある。ちなみにこのドラフト、高卒組では山田哲人(ヤクルト)や西川遥輝(日本ハム)といった、今やリーグを代表する選手たちも指名されている。

そんな中、中村が昨シーズンまでの8年間で挙げた白星はわずか2つ。登板試合数も40試合となっており、活躍していたとは言いがたかった。

しかし、今シーズンは中継ぎ左腕としてここまで24試合に登板し、防御率1.63。また、27.2回で36三振とK/9は11.71と優秀な数値を示している。7月3日にコンディション不良で登録を抹消されてしまったが、中継ぎ陣を支えてきたことは間違いない。後半戦で再び戻ってくることに大きな期待がかかっている。

中日の1989年生まれ組 阿部寿樹と井領雅貴

野手陣では阿部寿樹、井領雅貴の中日勢が結果を残している。2015年ドラフト5位の阿部は大卒社会人出身ということもあり、まだ4年目ではあるが今年12月に30歳となる。年齢的にはすでに中堅と言っても差し支えはない。

昨シーズンまでの3年間では1年目の25試合がキャリアハイ。以降は21試合、18試合と徐々に出番は減っており、崖っぷちに立たされていた。しかし、今シーズンはここまで65試合の出場で打率.272(206打数56安打)、2本塁打を記録。二塁のポジションにおいてレギュラークラスの成績を残している。

阿部と同じく1989年生まれの井領。2014年ドラフト6位でJXーENEOSから中日に入団。これまでの実績は皆無であり、昨シーズンは一軍出場すらない状態だった。しかし、今シーズンは44試合に出場し、打率.289(90打数26安打)とまずまずの成績を残している。

1989年生まれ(1989年4月2日〜1990年4月1日生)と言えば、菅野智之、丸佳浩(ともに巨人)や中田翔(日本ハム)、菊池涼介(広島)といった日本を代表する人気選手がずらりと並ぶ世代でもある。そういった選手たちと比べると、阿部や井領の実績は霞んでしまうのは致し方ないのかもしれない。

毎年戦力外が生まれる厳しい世界

プロ野球の世界は、入団から数年間で結果が出なければ、戦力外となってしまう厳しい世界。毎年のように有望な新人がチームに加わり、同程度の人数がチームを去ることになる。実績を残せていない場合、年齢が高くなればなるほど、その可能性は高くなる。

中村や阿部、井領はいずれも30歳前後で、これまでの実績がほぼないと言っていい選手だ。今シーズン結果を残すことができていなければ、戦力外選手になっていたかもしれない。そんな状況の中、彼らが諦めずに食い下がってきたからこそ、今シーズンでの開花につながったのだろう。

※数字は2019年7月8日終了時点