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田嶋大樹が復帰のオリックス 山本、榊原ら若手による投手王国の確立へ

2019 6/12 11:00浜田哲男
オリックス・バファローズの田嶋大樹ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

1年ぶりの復帰登板で白星

オリックスに頼もしい男が帰ってきた。昨季、ルーキーながら6勝(3敗)を挙げた左腕・田嶋大樹だ。約1年ぶりの復帰登板となった6月5日のDeNA戦では、6回途中4安打無失点の好投を見せ、チームを勝利に導いた。

最速146kmの直球を主体に得意のスライダーを織り交ぜ、打たせてとる余裕のピッチングを披露。DeNA打線を手玉に取り、「相手投手を認めざるをえない」とDeNAのラミレス監督をうならせた。

オリックスは、昨季前半戦だけで9勝を挙げた左腕・アルバースが、腰部の検査のためカナダへ一時帰国することを発表。今季は7試合に先発し、1勝2敗、防御率6.11という成績だったが、貴重な先発左腕を欠く状況に田嶋の復帰は朗報。リーグ最下位からの巻き返しを図る上で、これ以上にないピースとなりそうだ。

力みがなくなり、制球が安定

田嶋といえば、体が少々早めに開く変則気味の投球フォームが特長。しなやか且つ振り回すように腕を使い、どちらかといえば、下半身よりも上半身に力の入った投球フォームという印象だった。

今季の投球フォームも昨季とほとんど変わらないように見えるが、左肘を故障する前に比べ、上半身と下半身がスムーズに連動し力みがなくなっているように感じる。そのせいか、6月5日のDeNA戦の登板では制球が安定しており、球は低めに集まっていた。

今季はまだ1試合しか投げていないが、直球の割合は約69%と高く(昨季は約58%)、スライダーが約24%(昨季は約20%)。チェンジアップやカーブも投げるが、直球とスライダーのコンビネーションを主体とした配球は昨季同様。変則気味の投球フォームで球持ちも良いため、打者が差し込まれている場面も目立った。

今後は、コンディションを慎重に見極めていくため、登板間隔を空けながら起用されるようだが、DeNA戦のような投球が維持できれば、計算できる先発投手がまた一人加わることになる。

若手の先発投手が充実

今季のオリックスは若手の先発投手が躍動。今季から先発に再転向した山本由伸は、防御率1.63(リーグ2位)で3勝3敗。榊原翼は、防御率2.37(リーグ5位)で3勝3敗。山岡泰輔は、防御率3.46(リーグ7位)でチームトップの5勝(2敗)を挙げている。また、規定投球回には達していないが、K-鈴木は7試合の登板で防御率2.97と、安定した成績を残している。

山本と榊原が20歳、山岡が23歳、K-鈴木が25歳、そして復帰した田嶋が22歳と年齢も若い。近い将来、投手王国を期待せざるをえない陣容だ。打線がなかなか援護できない試合が多いため、各投手ともに白星は伸び悩んでいるが、投手陣の活躍は及第点と言えるだろう。

過去5年間の交流戦防御率2位

交流戦はここまで、6試合を戦い3勝3敗とまずまずのスタートを切ったオリックス。過去5年間の防御率を見てみると、12球団中2位の3.21と投手陣が安定している。

昨季の交流戦は11勝6敗1分で2位となったが、アルバースら先発投手陣と、山本や増井浩俊をはじめとした強固なリリーフ陣が躍進の原動力となっていたことは間違いない。

過去5年間のチーム防御率TOP5(交流戦)ⒸSPAIA

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現在は22勝33敗4分とリーグ最下位に低迷しているが、投手陣が踏ん張っているだけに、打線が奮起できれば波に乗れる可能性は十分に秘めている。特に夏場は投手陣に疲労が色濃く出始める時期でもあり、勝利を重ねていくためには打線の爆発が不可欠だ。

交流戦で昨季同様、またはそれ以上の成績を残し、リーグ戦にも良い流れを持ち込むことができるのか。オリックスの巻き返しに期待したい。

※数字は2019年6月11日終了時点