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17年夏V投手、中日・清水達也が初勝利 夏の甲子園優勝投手たちの今季成績は?

2019 5/16 07:00勝田聡
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清水達也が思い出の地で初勝利

5月12日、中日の2年目右腕・清水達也が阪神戦(甲子園)でプロ入り初先発初勝利をマークした。清水は2017年に全国高校野球選手権(以下、夏の甲子園)において、綱脇慧(現東北福祉大)とともに花咲徳栄のダブルエースとして全国の頂点に導いた「甲子園優勝投手」でもある。その地でプロ入り初勝利を挙げたのは、思い出深いものとなるだろう。

今回の登板は本来の先発予定だった福谷浩司がヘルニアで離脱したことにより、巡ってきた。そのチャンスをしっかりとものにしたのは、本人にとってはもちろんのこと、チームにとっても大きかったはずだ。

現在の先発投手陣を見渡すと、大野雄大と柳裕也こそ好調だが、開幕投手を任された笠原祥太郎、ベテランの吉見一起がローテーションから離脱中。台所事情は苦しいだけに、一筋の光となったことは間違いない。登板翌日に登録を抹消されなかったことから、この先もチャンスはありそうだ。チームが上位争いに踏みとどまるためにも、今後の登板が大事になってくる。

清水がプロとして大きな一歩を踏み出したが、その他の夏の甲子園優勝投手たちはどうだろうか。ここまでの成績を振り返っていく。

松坂大輔、小笠原慎之介、藤浪晋太郎は登板なし

清水と同じく中日には松坂大輔(1998年、横浜)、小笠原慎之介(2015年、東海大相模)とふたりの夏の甲子園優勝投手が在籍している。しかし両投手とも、今シーズンはここまで一軍での登板はない。

松坂は春季キャンプ中にファンとの接触で右肩を痛めリハビリ中。一方の小笠原は昨年9月に受けた左肘遊離軟骨除去手術を受けており、同じくリハビリ中である。ともにファームでの登板もなく、一軍復帰には少し時間がかかりそう。

同じセ・リーグを見渡すと阪神の藤浪晋太郎(2012年、大阪桐蔭)も苦しんでいる。制球面での不安があり二軍でトレーニング中だが、松坂らと同じく登板はない。先日は非公開練習を行い、復帰に向け一歩ずつ進んでいる状況だ。故障ではないために、「きっかけを掴むことさえできれば」と言ったところだろう。

ヤクルトの近藤一樹(2001年、日大三)は17試合に登板しているものの、防御率は4.50といまひとつ。それ以上に気になるのがBB/9(1試合にどれだけの四球を出すかを表した指標)である。

昨シーズンは3.64だったこの数値が、今シーズンは7.31と大きく悪化しているのだ。与四球が多いこともあり、WHIP(1投球回あたり何人の走者を許したかを表す指標)は1.88。1回あたり2人近い走者を許していることになり、僅差の試合終盤で登板するには少し心許ない。与四球を減らすことで安定感を取り戻したいところだ。

プロ入り後は野手としてプレーしている広島の堂林翔太(2009年、中京大中京)もここまで17試合の出場で打率.067(15打数1安打)。結果を残しているとは言い難い。

斎藤佑樹は二軍調整中

パ・リーグでは西武のローテーション投手2人が苦しんでいる。今井達也(2016年、作新学院)、高橋光成(2013年、前橋育英)である。

今井は4勝(3敗)を挙げてはいる。しかし、完封したかと思えば、次回登板で5回7失点と安定感がないのは気になるところ。一方の高橋も3勝(4敗)、防御率5.59とピリッとしない。もちろん、両投手ともまだ若く、成長段階の投手ではある。しかし、ローテーション投手としては寂しい数字であることは否めない。ここまでの苦しい経験をどのように生かしていくのかが、これからの鍵となるだろう。

日本ハムの斎藤佑樹(2006年、早稲田実)は6試合で0勝1敗、防御率5.87とこちらも結果を残すには至っていない。現在は二軍調整中となっており、再び声がかかるのを待つことになる。ちなみに斎藤とチームメートである柿木蓮(2018年、大阪桐蔭)はルーキーということもあり、一軍での登板はない。

ソフトバンクの島袋洋奨(2010年、興南)は育成契約のため、現在のところ3軍のみでの出場となっている。

このようにセ・パともに夏の甲子園優勝投手たちは、ここまで苦しい戦いが続いている。しかし、これからは彼らがかつて輝いた夏がやってくる。当時の記憶を思い出すかのように、鮮やかに活躍することを願っている。

※数字は2019年5月14日終了時点