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主力4人離脱のヤクルトで代役が躍動!上位争い踏みとどまる

2019 5/14 07:00勝田聡
坂口智隆ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

石山泰稚ら主力4人が離脱中

今シーズンのペナントレース開幕から1カ月以上が経過。現在の順位を見ると、セ・リーグでは巨人とヤクルトが首位を争っている。両チームとも主軸選手を怪我や不振で欠くなか、ここまでの位置にまでつけており、出だしは悪くないといえる。

苦しい状況が続いているヤクルトは、開幕3戦目に坂口智隆が骨折により戦線離脱となり、一塁だけでなく外野も守れるリードオフマンを失ってしまった。その後は大きな故障者を出さずに踏みとどまってきたが、5月2日にウラディミール・バレンティンが上半身のコンディション不良で登録を抹消。

前日の5月1日のDeNA戦では、スタメン出場を果たしたものの2回の守備から退き、当日の試合前にはシートノックにも加わっていなかったことから、既にその時点でなんらかの前触れがあったと思われる。

バレンティンの離脱に伴いスタメン起用されていた上田剛史も死球を受け、登録を抹消されている。さらに5月6日には守護神の石山泰稚も上半身のコンディション不良で離脱となってしまった。

開幕から1カ月あまりで、主力選手4人が不在となってしまったのだ。

補強は行わず、現有戦力で戦う

緊急事態を迎えたヤクルトだが、今シーズンに限ってはあくまでも現有戦力で戦っていくらしく、外国人選手やトレードといった大きな補強を行う動きは感じられない。

それを可能にしているのは控え選手の層が厚くなったからに他ならず、内野では太田賢吾、外野では山崎晃大朗や宮本丈、荒木貴裕に渡辺大樹が途中出場を含め、必死に穴を埋めている。

投手陣では若干20歳の梅野雄吾が石山の代役として守護神に抜擢された。その梅野は石山の離脱後2試合に登板し、いずれも無失点。とくに5月8日の阪神戦では延長戦に入ったことで2イニングを投げたが、阪神打線を寄せ付けず5三振を奪う快投をみせている。

近年の球界を見渡しても代役とはいえ、高卒3年目で守護神となるケースは数少ない。昨シーズン、一時的に任された山本由伸(オリックス)や松井裕樹(楽天)ぐらいだろう。

控え組の彼らはレギュラー陣と比べれば、まだまだミスも多い。まして、シーズンを通して離脱した主力選手と同等の活躍をすることは、相当難しいだろう。だが、控え選手の個性を生かした起用方法なら、短期間に限り穴を埋めることも可能なのだ。

バレンティンは打撃練習開始

主力選手の離脱が多いなかで上位争いを演じているのは、代役選手たちの踏ん張りがあるからこそだが、彼らもリハビリ中の主力選手たちが戻ってきたからといって無条件でポジションを渡すつもりはないだろう。

坂口は既に指名打者ながら二軍で試合に出場しており、バレンティンも室内での打撃練習を行っている。石山こそ続報がなく状態はわからないが、少なくとも野手の2人は一軍復帰へカウントダウンに入ったと思われる。

もうしばらくすれば、一軍で競争が始まることになるだろう。こういった競争を生むことが、チームの底上げに繋がる。パ・リーグ首位のソフトバンクを見ても分かる通り、主力メンバーが多く離脱しても、残りの選手がチャンスを掴み、結果を残せば首位をキープできるのだ。

2015年以来4年ぶりのリーグ制覇を目指すヤクルトは、離脱者が多くてもスローガン通り、「さらなる高みを目指し続ける」。

※数字は2019年5月9日終了時点