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セで投手王国を期待できるのは中日?ローテ3巡目時点のチーム先発成績

2019 4/21 11:00青木スラッガー
野球ボール,ⒸSPAIA
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中日、DeNAが防御率2点台の強力先発ローテ

開幕から3週間が経過し、徐々に各チームの戦力が明らかになってきた。これからシーズンが進む中で、安定した戦いをしていくために鍵となるのが先発ローテーションだ。ここを早く整備できたチームは、今後の戦いを有利に進めていくことができるだろう。そこで、ローテーションが3巡した時点(4月18日終了時点)での各チームのローテ充実度を振り返りたい。今回はセ・リーグ編。

セ・リーグ,先発投手成績

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セで最も先発ローテが安定しているといえるのは中日だ。先発防御率2.66は12球団トップで、平均投球回5.71も上位の数字。これは、開幕前の下馬評からすると意外な結果だろう。昨季チームで唯一2桁勝利を挙げていたガルシアが退団し、チームトップタイの6勝を挙げた松坂大輔も開幕に間に合わなかった。先発ローテの構築は重要課題のひとつと見られていたが、ふたを開けてみると逆の結果となった。

中日,先発投手成績

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開幕投手・笠原祥太郎の好調に加え、3年目の柳裕也が覚醒の兆し。大野雄大の復活も大きく、新外国人ロメロもガルシアの穴を埋める勢いだ。さらに今季41歳を迎える山井大介がすでに2勝。まだ本調子ではないが、昨季125.2回を投げた吉見一起も含めると試合を作れる先発が6人揃っている。

中日の次に先発防御率(2.91)が良いのはDeNA。昨季のDeNAは先発平均投球回が12球団ワースト(5.28)だった。先発が早い回で降板する展開が目立ち、リリーフ投手へしわ寄せがいってしまったが、今季は平均投球回5.65を記録しており、その点も改善の兆しが見えている。

DeNA,先発投手成績

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昨季は不振にあえいだ今永昇太、濵口遥大の両左腕が復活し、先発再転向の井納翔一も好調だ。この3人は3登板で防御率1点台を記録。ドラ1ルーキーの上茶谷大河はまだ勝ち星がなく、防御率4点台に乗っているものの、2試合でQSを達成して前評判通りの投球を見せている。あとは期待されている3年目の京山将弥、ルーキー大貫晋一の成長次第で投手王国化も期待できるかもしれない。

巨人も先発ローテ充実、低迷の広島は先発に課題が

巨人も先発投手が良い。先発防御率3.55は中日・DeNAにやや見劣りするが、平均投球回(6.02)はセ・リーグ6球団の中で唯一6回を超えた。QS達成率63%もセ球団トップと、先発投手が試合を壊すことが少ない。

巨人,先発投手成績

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3年連続の沢村賞を狙うエース菅野智之は防御率1.57と抜群の滑り出し。昨季9勝の山口俊にメルセデス、ヤングマンの外国人投手を加えた4人まではある程度計算が立ちそうだ。昨季先発登板ゼロながら開幕ローテ入りし、大きな期待を寄せられている畠世周の状態が上がってこないのは心配だが、原辰徳監督が最後までシークレットにしていた「6人目」としてデビューしたドラ1ルーキー髙橋優貴が好投しているのは頼もしい。

なかなかチーム状態が上がらない広島は、先発投手にもその要因が見える。先発防御率4.82はリーグ4位だが、平均投球回(5.27)、QS達成率(35%)がともにリーグワースト。特にQS率はセ4球団が50%に乗っていることを考えると、先発が試合を作れていない課題は無視できない。

広島,先発投手成績

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昨季15勝と躍進した大瀬良大地は今季も安定した投球を続けている。2桁勝利から2年遠ざかる野村祐輔も上々のスタートを切った。光明となっているのが3年目左腕の床田寛樹で、プロ初完投勝利を挙げるなどブレイクの兆しを見せている。先発防御率を下げてしまっているのはジョンソン、九里亜蓮、岡田明丈の不調だ。いずれも先発として十分な実績を持つ投手なだけに、少しでも早い復調に期待となる。

ヤクルトは好調だが先発に不安、阪神は予想外の……

ヤクルトはスタートダッシュに成功しつつあるが、先発の数字はあまり良くない。先発防御率4.91、QS達成率39%はともにリーグ5位。ここまでの好調は打線とリリーフによるところが大きいといえそうだ。

ヤクルト,先発投手成績

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好調なのは2勝を挙げている4年目の原樹理。トレード加入の高梨裕稔は登板した2試合でQS達成と活躍し、開幕に出遅れたブキャナンは復帰後に2試合で好投した。しかし開幕投手の小川泰弘、ベテランの石川雅規と頼りになる2人がまだ本調子ではない。開幕ローテ入りした高橋奎二、寺原隼人は離脱となり、6人目まで揃わない状況だ。

最後に、先発防御率が唯一5点台に乗ってしまったのが順位も下位に沈む阪神。ガルシア、西勇輝と他球団からエース格を獲得し、投手王国化が期待されていただけに、中日とは反対の意味で意外な形となった。

DeNA,先発投手成績

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最大の誤算はガルシアだ。3試合で9回1/3を防御率19.29と打ち込まれ二軍再調整となってしまった。メッセンジャー、西は順当に活躍しているが、もうひとりローテの柱として期待されていた岩貞祐太が不調。ただ、ローテ3巡目に入って6番手で今季初先発した岩田稔が9回を自責点2にまとめ、完投勝利を挙げた。プロ14年目を迎えたベテラン左腕に救世主の期待がかかる。