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マクガフ、レグナルト、クック、ジョンソン……好投の新外国人はまだ本調子ではない?

2019 4/13 07:00青木スラッガー
ジョンソン,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

好投するセの新外国人リリーフ

今季も新たな外国人選手が何名も日本球界へやってきている。その中で活躍が目立つのはセ・リーグ球団でプレーするリリーフ投手だ。

開幕から4カードを終えた4月11日終了時点では、ヤクルトのマクガフ(7登板)、広島のレグナルト(7登板)、巨人のクック(4登板)、阪神のジョンソン(3登板)がそれぞれ無失点。防御率0.00をキープした。

特に圧巻の投球を見せたのはマクガフだ。奪三振率10.57、WHIP0.78を記録と、平均1イニング1つ以上の三振を奪い、走者もあまり出してない。10日の広島戦で1イニング12得点の猛攻を呼び込む好投で来日初勝利を挙げると、翌11日は来日後最速の154キロをマークした。

「ハンマーカーブ」なる聞きなれない変化球でキャンプから話題を呼んだ左腕のレグナルトは、やや四球が目立ちつつも、決定打は許さず役割を果たす。3連敗を喫したヤクルトとの対戦では2試合で4イニングを投げ、被安打1本に抑えた。不調にある広島投手陣の中で救いの存在だ。

クックは守護神としてセーブ機会をすべて成功させてリーグトップの4セーブ。オープン戦では防御率6.00と仕上がりに不安をのぞかせたが、きっちり開幕に間に合わせてきた。ジョンソンはオープン戦を含めると10試合連続で無失点投球を続けている。

開幕直後の現時点、まだ各チームの継投策は“探り探り”という状況だが、このまま好投を続ければ、彼らは勝ちパターン継投の中心として起用されていくことになりそうだ。

4投手ともまだまだ本調子ではない?

まだ状態を探りながらの段階というのは、投手たちそれぞれにおいても同じかもしれない。ストレートの球速に注目してみる。

マクガフ、レグナルト、クック、ジョンソンのストレートの球速,ⒸSPAIA

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最速はマクガフの154キロ、クックが153キロ、ジョンソンとレグナルトは151キロ。平均球速はマクガフ、クック、ジョンソンが約147キロで、レグナルトは少し落ちて145.5キロとなる。

本来の球速はもう少し出るはずだ。大リーグ時代の球速はMLB公式データ解析システム「スタットキャスト」で見ることができる。そこによると3人はデータがあり、直近のシーズンでマクガフは平均151.4キロ、クックは平均151.8キロ、ジョンソンは平均150.6キロのストレートを投げていた。気温が上がってくれば、さらにストレートが走ってくるかもしれない。

球種の割合を見ると、平均球速では最も遅かったレグナルトが意外にもストレートの割合が高い。

マクガフ、レグナルト、クック、ジョンソンのストレートの投球割合,ⒸSPAIA

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レグナルトは6割以上がストレート。そのほかはスライダー(16.6%)、カーブ(12.2%)、チェンジアップ(9.4%)をまんべんなく投げている。

注目のカーブは17球を投じ、ほとんどを2ストライクのカウントで使用。通常のカーブよりも曲がりが鋭く強い「ハンマーカーブ」。カーブはタイミングを外して見逃しでストライクを稼ぐカウント球に用いる投手が多いが、レグナルトは特殊なカーブを決め球として用いようとしている。

しかし、このカーブによる空振りはゼロで、見逃しのストライクが2球。いまのところ、三振を奪うボールとしては機能しておらず、奪ストライク率は35.3%となっている。また、スライダーの奪ストライク率は26.1%。こちらは追い込む前に投げるカウント球だが、有効には使えていない。

打ち取った結果球は57.1%がストレート、6つの三振の内訳も5つがストレート。データを見る限り、レグナルトは自慢の変化球はまだ思い通りに操れていない印象だ。その分、日本人投手と比べても特別速いわけではないストレートで抑えて結果を出している。ここにハンマーカーブやスライダーも決まりだしてくると、さらに厄介な投手となってくるだろう。

近年の野球は勝ちパターン継投を務めるリリーフ投手の出来が勝敗に直結する。ここまで好投しているセの新外国人リリーフ投手だが、これからさらに状態を上げてくることになるのか注目していきたい。