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西武・増田達至がクローザー復帰か 先発、中継ぎともに苦しい台所事情

2019 4/12 07:00勝田聡
増田達至,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

開幕3連敗もまずまずの滑り出し

昨シーズンのパ・リーグ覇者である西武が開幕ダッシュに失敗した。開幕戦でソフトバンクにサヨナラ負けを喫すると、その後も連敗し、開幕カードをまさかの3連敗で終えた。昨シーズンの8連勝とは対照的なスタートとなってしまった。

しかし、そのままズルズルといかないのが今の西武である。2カード目となるロッテとの3連戦では、1試合平均8得点の猛打で3連勝を飾り、星を五分に戻す。続く日本ハムとの3連戦では初戦を落としたものの、翌日には19安打16得点の大勝。カード最終戦では9回の逆転劇で勝利をもぎ取った。

オフの間に菊池雄星(現・マリナーズ)、浅村栄斗(現・楽天)、炭谷銀仁朗(現・巨人)と主力の3選手が退団となったものの、出足は決して悪くない。また、その戦い方も昨シーズンと大きく変わらず、強力打線で得点を奪い、失点しても力で押し切る攻撃的な野球を繰り広げている。

だが、裏を返せば、昨シーズンに引き続き投手陣には不安を抱えているということでもある。

3人のローテーション投手が復帰間近

菊池が抜けた先発投手陣は、開幕前から3人のローテーション候補が離脱してしまった。それは、昨シーズン11勝を挙げた榎田大樹、人的補償で巨人から移籍してきた内海哲也、そしてドラフト1位の松本航である。そのなかで5勝6敗、借金1という滑り出しは、まずまずといっていいだろう。

特に今井達也、高橋光成の甲子園優勝投手コンビが2試合目でともに白星を挙げたことは大きい。味方の援護に守られ、打ち込まれた上での棚ぼた的勝利ではなく、今井が7回3失点(自責1)、高橋光が8回2失点と内容も伴っていたことは心強い。

今井が132球、高橋光が130球と少し球数がかさんでいるが、両投手ともにまだ若い。中6日で回るローテーションならそこまで気にする必要もないだろう。

そしてプロ入り5年目の本田圭佑である。3人の離脱を受け、先発6番手として4月4日のロッテ戦に登板。序盤に8点の大量援護をもらい、精神的にも落ち着いたのか6回まで2失点と試合をしっかりと作る。7回のマウンドにも上ったが、ブランドン・レアードに1発を浴びたところで降板となった。

結局、6.0回を4失点でプロ入り初勝利をマーク。チーム事情もあり翌日に登録抹消となったが、この内容なら次回もチャンスをもらえるだろう。

その他にも新外国人のザック・ニール、武隈祥太の2投手は6回を投げきることができなかったものの、粘りの投球で勝利をもぎ取っている。エースの多和田真三郎が勝てていない中、急きょローテーションに組み込まれた投手たちの好投は、チームにとって思わぬ収穫となった。

だが、代役で先発した投手たちはこれまでに実績があるわけではないため、シーズン通した活躍は期待しづらい。チームとしては離脱している榎田ら3投手が復帰するまでの間、うまく乗り切っていく必要がある。ただ報道によると、すでに3人共ブルペン入りを果たしており、復帰まで長くはかからない模様。早期に先発投手を充実させ、混戦から一歩抜け出したいところだ。

ヒース、マーティンの両外国人投手が不調

中継ぎ陣に目を移すと、こちらも決して盤石な状態ではない。昨シーズン途中から加わったデュアンテ・ヒースは開幕戦で敗戦投手となり、再調整のため登録抹消となった。同じく昨シーズン途中に加入したカイル・マーティンは3試合の登板で1セーブ、1ホールド、防御率6.00。失点したのは1試合のみだが、全試合で被安打6、与四球3と苦しい内容が続いている。

そのなかで好調をキープしているのが増田達至だ。2016年、2017年と抑えを任されていたが、昨シーズンは41試合の登板で防御率5.17と結果を残すことができなかった。だが、今シーズンはここまでの4試合で1失点、4月7日の日本ハム戦では今シーズン初セーブをマークした。増田が復調すれば、中継ぎ陣にとって大きな戦力となることは間違いない。これからの起用法に注目が集まっている。

長いシーズンを戦っていく上では、辻発彦監督もセットアッパーとクローザーを早めに固定したいところだろう。これまでの実績からマーティン、増田を起用するのか、それとも平井克典や齊藤大将といった、その他の投手を抜擢するのかは大きなポイントとなりそうだ。

※数字は2019年4月10日終了時点