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開幕1軍決定のロッテ・藤原恭大に期待高まるも 過去の高卒ルーキーは軒並苦戦

2019 3/23 11:00浜田哲男
藤原恭大,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

実力で勝ち取った開幕1軍

オープン戦において、走攻守で存在感を発揮していたロッテのドラフト1位ルーキー・藤原恭大。報道によると、3月21日の本拠地ZOZOマリンスタジアムで行われた阪神とのオープン戦後、井口資仁監督が開幕1軍入りを明言したようだ。

同日の試合では1番中堅で先発出場。第1打席で、いきなり右中間を破る鋭い当たりの二塁打を放ち先制点の起爆剤となると、第2打席でもセンター前にクリーンヒット。第3打席で四球を選び出塁すると、快足を飛ばしてすかさず二盗を決めた。

また、3回の守備ではセンターオーバーかという阪神・中谷将大の強いライナー性の大飛球を背走しながら、アクロバティックな体勢でキャッチ。走攻守で確かな存在感を示した。

昨季のドラフト1位ルーキーだった安田尚憲も、オープン戦は4番で先発出場し1軍に帯同していたが、1軍投手の球にアジャストできず結果も出ていなかった。このことから、井口監督に開幕2軍スタートを通達された。

今季の藤原もオープン戦までは1軍に帯同し、開幕は2軍スタートが規定路線かと考えられていたが、走攻守でアピールに成功し開幕1軍の座を自らの力で手繰り寄せた。

打席を重ねるごとにアジャスト

どんな状況でも、常にフルスイングを貫いてきた藤原。練習試合、オープン戦通じて、全くと言っていいほど中途半端なスイングを見せていない。

当初は、プロの投手の球威に押されて空振りしたりファウルが多く、なかなか前に飛ばすことができなかった。そもそも、ほとんどバットに当たらないことが珍しくない高卒ルーキー。だが、打席を重ねるごとに見事アジャストさせた藤原の対応能力は素晴らしく、打撃レベルの高さがうかがえる。

メットライフドームで行われた19日の西武戦では、途中出場ながら満塁の好機で左中間を深々と破る走者一掃の三塁打を放った。しかも、左中間への当たりにもかかわらず、快足で三塁まで到達。ルーキーとは思えない勝負強い打撃はもちろん、この走塁を井口監督は高く評価していた。

横浜スタジアムで行われた17日のDeNA戦では、相手守備の好捕でアウトにはなったものの、あわやスタンドインという左翼への大飛球を放っている。この時、左翼から本塁に向かって強風が吹いており、無風であればスタンドインの可能性も十分あり得た打球だった。

可能性を感じる見逃し方

藤原の打席に期待できる理由として力強いフルスイングはもちろん、ボールの見逃し方の良さが挙げられる。これまでに見たことがないはずのプロの直球や変化球を、体で追いかけることなく目だけで判断できている。つまり、打撃フォームが崩されることもなく、常に自分の間合いでバットを振り抜くことができているのだ。

また、狙い球がくれば初球から思い切りスイングできる。オープン戦当初はミスショットも目立ったが、最近は打席の一振り目で球をとらえる場面が増えてきた。当初より足と守備が1軍レベルであることは一目瞭然だったが、打撃までここまでアジャストしてきていることは、良い意味で首脳陣の予想を裏切っているのではないだろうか。

これからが本当の勝負

開幕1軍入りした過去の高卒ルーキーは、どれほどの成績を残したのだろう。ここ10年を振り返ってみると、西武の炭谷銀仁朗、オリックスの後藤駿太、中日の高橋周平、日本ハムの大谷翔平が開幕1軍入りを果たしている。

開幕1軍入りを果たした高卒ルーキーのオープン戦打撃成績

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多少の差はあるが、炭谷以外の選手のオープン戦成績は似たようなものだ。では、公式戦ではどうだったのだろう。

炭谷は打率.181、後藤は打率.100、高橋は打率.155、大谷は打率.238と苦しんでいることが分かる。どれだけ技術があったとしても、シーズンを戦い抜くスタミナやパワーはこれからつけていかなければならない。開幕1軍入りを果たせても、その先にはさらに厳しい戦いが待ち受けているのだ。

開幕1軍入りを果たした高卒ルーキーの1年目成績

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それでも、ここまでの藤原の優れた対応力を見ていると、「もしかしたら驚くような成績を残してくれるかも」と期待させられる。

中堅のレギュラーと目されていた荻野貴司は打撃が絶不調。オープン戦で一時期は高打率を誇った岡大海も当たりが止まり、現在は打撃好調の加藤翔平も過去のシーズンを振り返ると好不調の波が大きい。実績もあり、オープン戦でも結果を出している角中勝也以外は、外野手のレギュラーが不在の状況だ。

こうしたチーム状況を見ると、藤原には追い風が吹いていると言える。過去に開幕1軍入りを果たした高卒ルーキーたちは軒並苦戦していたが、藤原の場合、例え打撃で苦しんだとしても、スランプのない足と守備で出場機会を多く得られる可能性もある。何より、藤原自身が開幕1軍入りしただけでは満足しないだろう。

今季「1番センター・藤原」の名が幾度となくコールされることを、多くのロッテファンが期待している。