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巨人・菅野智之に期待?「平成2人目」の可能性が残されている偉業とは

2019 3/15 07:00青木スラッガー
菅野智之,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

平成の30年間で達成1度の偉業

プロ野球の開幕まであと2週間に迫ってきているが、世間的にはその直後、4月1日の新元号発表に関心が集まっている。平成の世も残りあとわずか。ここでは、改めて平成のプロ野球を振り返るにあたり、30年間で一度しか達成されなかった偉業に注目してみたい。

調べてみると、よく知られている記録では以下のものが当てはまった。

野手では、打率・本塁打・打点の「三冠王」(松中信彦/ダイエー/2004年)、「日本人選手50本塁打」(松井秀喜/巨人/2002年)。昨季は西武・山川穂高が惜しいところまでいったが、50本塁打まではあと3本届かなかった。

投手では、勝利数・防御率・奪三振・勝率・完封数の「投手五冠」(斉藤和巳/ソフトバンク/2006年)、1人の走者も出さず1試合を投げ切る「完全試合」(槙原寛己/巨人/1994年)、「規定投球回以上で勝率10割」(田中将大/楽天/2013年)。田中の24勝0敗という空前の成績はまだ記憶に新しい。

昨年、平成最後のシーズンを終えたことにより、上記の選手たちは「平成唯一の」という称号を得たことになる。だが厳密にいえば、まだひとつだけ「平成2人目」の達成者が生まれる可能性がある。今年は3月29日に開幕を迎え、改元までは約1か月間の猶予があるため、試合ごとの記録である「完全試合」においては、まだ可能性が残されているのだ。

「平成2人目」のチャンスが残されている完全試合投手

巨人の槙原寛己が1994年5月18日の広島戦(福岡ドーム)で記録したのが、プロ野球最後の完全試合。1960年代までに10名、1970年代には4名が達成していることから、昭和のプロ野球では今ほど珍しい記録ではなかったのだろう。歴代の達成者は15名と、ほかの「平成唯一」と比べると人数は多いが、最後の達成からは最も遠ざかっている。

ちなみに、大リーグでは平成元年にあたる1989年以降、10人もの完全試合投手が誕生している。2012年に至っては、フェリックス・フェルナンデス(マリナーズ)ら3人が達成しており、日本球界とは違い、それなりの頻度で完全試合が達成されているのだ。

槙原以降では西武の西口文也が9回をパーフェクトに抑えながら、味方の援護がないまま延長戦に突入し、10回にヒットを打たれた2005年の楽天戦が最も惜しい展開だった。巨人の杉内俊哉は2012年の楽天戦で9回2死まで1人の走者も許さなかったが、そこで四球を出しノーヒットノーラン止まり。

2007年の日本シリーズ(中日対日本ハム)第5戦では、中日の山井大介が8回まで完全投球だったが、指のマメがつぶれて9回から岩瀬仁紀にスイッチ。史上初の「完全試合継投」という形になり、ここでも平成2人目の完全試合とはならなかった。

球界のエース・菅野は偉業を成し遂げられるか

完全試合があまりにも遠いのは打者全体のレベルが上がった証であり、プロ野球が着実に進化してきたことを示す喜ばしい事実なのだろう。ただ、圧倒的な先発完投型投手が確実に減ってきていることは、寂しくもある。

今の球界で最も優れた先発完投型投手というと、巨人のエース・菅野智之になるだろう。

昨季の菅野は開幕からの2試合で打ち込まれたため、シーズン序盤に弱いイメージがついてしまったかもしれない。だが、過去3年間の3・4月の成績は15先発で、9勝2敗、防御率1.61とむしろ出色の投球内容だ。通算16度の完封勝利のうち、5度はこの期間であげたもの。昨季も4月最後の登板では9回2安打無四球の完封勝利を収め、ここから3試合連続完封を記録。春先に抜群の投球を見せる傾向にある。

昨季の最終登板となった10月のCSファイナルステージ・ヤクルト戦では、ポストシーズン史上初のノーヒットノーランを達成。許した走者は四球の1人のみという「準完全試合」だった。

シーズンは変わってしまうが、その勢いのままに、「平成最後」の偉業達成に期待したいところだ。