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DeNA・中井は戦力外からの逆襲なるか セ・6球団の「遅咲き」候補

2019 2/26 07:00青木スラッガー
中井大介,ⒸSPAIA
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セ・リーグ6球団の「遅咲き」候補

開幕が近づくにつれ、各球団でルーキーや若手有望株の動向に注目が集まっているが、今季のブレイク候補として、プロ年数が長い選手に目を向けてみる。

成功を収めるまでに時間がかかった人物を「遅咲き」という。プロ野球の世界でも、下積み生活が長く、20代後半以降に活躍し始める選手をそのように呼ぶ。例えば近年のセ・リーグではDeNA・宮﨑敏郎、阪神・能見篤史、桑原謙太朗、ヤクルト・雄平といった選手が30歳あたりでブレイクし、現在主力を張っている。

今季、彼らに続くような遅咲きを期待できる選手はいるのか、セ・リーグ各球団のまだブレイクに至っていない中堅選手を探ってみたい。

広島の大砲候補、戦力外からヤクルトに拾われた外野手

広島 下水流昂

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圧倒的な戦力で3連覇を達成した広島は、控えクラスの選手層も厚い。丸佳浩が退団し、空いた外野の一枠やレギュラー不在の三塁手をめぐって、多くの選手がしのぎを削っている。その中で、まだブレイクしておらず、そろそろベテランの年齢に差しかかろうとしているのが下水流昂だ。

今季で7年目、4月に31歳を迎える右の大砲候補。昨季はサヨナラ逆転本塁打を放つ一幕もあり、勝負強さを見せつけ、9試合の出場にとどまった前年からも持ち直した。しかし、丸が抜けてもなお長野久義がライバルに立ちはだかる。これまでHonda野球部の先輩として目標にしていたであろう、高い壁を超えられるのか。

ヤクルト 田代将太郎

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昨季のヤクルトでは、加入2年目の田代将太郎が遅咲きの気配をみせた。今季で8年目、30歳を迎える守備と走塁が売りの外野手だ。前所属の西武では、プロ入りから6年間で通算71試合7安打と結果を残せず戦力外に。しかし、移籍後の昨季は73試合に出場し、飛躍の1年となった。

他球団を戦力外になった後、ヤクルトに拾われて開花した遅咲きプレーヤーといえば、森岡良介現二軍コーチがいる。ヤクルトでは8シーズンで518試合に出場し、一時期は一軍のメイン遊撃手として活躍した。

現在、田代の役割は代走・守備固め中心のサブだが、昨季は打率.323・出塁率.400をマーク。打撃面でもしっかり結果を残しており、森岡コーチのように主力の座も狙っていきたい。

ダイナマイト・シンゴは8年目、新天地で猛アピール続ける巨人戦力外

巨人 石川慎吾

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大補強を敢行した巨人は、昨季終了から中井大介など中堅世代を多く戦力外にしており、今季の30歳以上は実績のある選手ばかりだ。そこで、もう少し下の世代に目を向けてみると、控えクラスの中ではプロ8年目と長く、今季26歳を迎える石川慎吾がいる。

石川は2012年に日本ハム入団。2年目に二軍で打率.299、イースタン2位の14本塁打をマークする有望株だったが、一軍では目立った実績は残せず5年目終了で巨人へトレードとなった。

移籍1年目の2017年は自身最高の5本塁打を放ち存在感をみせたものの、昨季は17試合の出場でノーアーチ。ただ、二軍では打率.336・12本塁打・OPS.910と圧倒的な成績を残しており、スラッガーとして抜群のポテンシャルを持っていることは間違いない。

DeNA 中井大介

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DeNAでは、やはり前述の中井に注目したい。巨人ではパンチ力のある打撃を売りに何度か二塁手のレギュラーを掴みかけたが、若手内野手の台頭に押しやられる形で戦力外に。層の薄い二塁手をこなせる内野のユーティリティマン、右の代打という役割がちょうど不足していたDeNAに獲得された。

一度は競争に敗れて戦力外となった身。入団決定からラミレス監督の発言を追う限り、期待されているのは巨人時代と同様「便利屋」の役割ということになりそうだ。しかし、30歳とプロ12年目を迎えるシーズンを前に、猛アピールを続けている中井。練習試合のデビュー戦第1打席で本塁打を放ち、その後も好調。レギュラー候補としての期待も高まってきている。

入団10年を過ぎた地元校のスター、30歳を迎えるドラ1外野手

中日 堂上直倫

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中日 伊藤準規

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中日は投打で2人を取り上げたい。今季13年目を迎える堂上直倫と、11年目の伊藤準規。地元校出身のドラフト上位入団選手として、大成をファンに待望され続けている選手だ。

堂上は2016年に遊撃手レギュラーを掴んだが、翌年はルーキー京田陽太とのポジション争いに敗れ、長年かけて掴んだ定位置を手放した。ただ、「神主打法」の新打撃フォームで臨もうとしている今年は実戦スタートから打撃好調。いよいよ打撃開眼となるか楽しみな状況だ。

伊藤準は2017年にリリーフ転向で開花したかに見えたが、昨季は11登板にとどまった。その影響もあり、中日のリリーフ陣は勝ちパターンを確立できない苦しい状況に。今季は入団時から「エース候補」と呼ばれてきたポテンシャルを発揮し、ブルペンの救世主となることができるか。

阪神 伊藤隼太

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阪神は8年目、30歳のシーズンを迎える伊藤隼太に期待したい。ここまでプロ通算10本塁打と、入団時の「主砲候補」という将来像には届いていない。だが、昨季は自身最多の172打席と一歩前進。8月は月間打率.333、9月は.313と、終盤に調子を上げてシーズンを終えた。

阪神は外野両翼が糸井嘉男、福留孝介で固まっているものの、大ベテランの2人は休ませながらの起用が予想される。そこで今季は、俊足が売りのドラフト1位・近本光司がチャンスをものにできるのか、中堅手レギュラーの有力候補として大注目されている。守備に課題を抱える伊藤隼としては、打撃では負けないところを見せたい。