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王→中田→近藤で「左右左」に 日本ハム新戦力 王柏融にかかる期待

2019 2/25 07:00勝田聡
王柏融,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

若くして日本へ渡ってきた王

新戦力が挨拶代わりの一発を見せた。日本ハムに加入した台湾のスター王柏融だ。

2月1日から始まった春季キャンプも終盤戦に入り、いよいよオープン戦も始まった。この時期の実戦ではレギュラークラスであっても、ベテランが出場する機会は少ない。そのかわりに若手や新たにチームへと加わった選手たちが起用されるのである。

各チームに話題の新戦力が存在するが、国外からも大きな注目を集めているのが、日本ハムに加わった王柏融だ。台湾で打率4割を記録し、三冠王も達成。「大王」のニックネームで親しまれている台湾のレジェンドでありながら、今年26歳とまだまだ伸び盛りの選手だ。

契約締結時に吉村浩GMが「イチロー選手のメジャー移籍に匹敵する国際的なチャレンジです」と語っていた。そのイチロー(マリナース)がオリックスで伝説的な記録を残し、海を渡ったのが28歳のシーズンである。

もちろん、「日本からアメリカ」と「台湾から日本」では意味合いは変わってくる。しかしながら、大きなチャレンジということには変わりない。その第一歩を踏み出すのが「2年早い」というのは、大きなアドバンテージになるだろう。

長打力と広角に打ち分ける技術を兼備

王は大きな期待を背負ってアリゾナでのキャンプに参加した。フリー打撃では左右に打ち分ける技術を見せつつ、右翼方向には柵越えも放っていた。その後の紅白戦では初打席初安打を放ち、存在感をアピール。

NC(韓国)との練習試合では滞空時間の長いフェンス直撃の二塁打を放った。プレッシャーに負けることなく良い状態でアリゾナを後にし、二次キャンプ地である沖縄入り。2月16日の紅白戦では、西村天裕からバックスクリーン左へ飛び込む一発を放った。この打球も滞空時間が長く、まさにアーチストといった一撃。パワーに加え広角に打ち分ける技術もある。

思えば、2017年2月の代表戦で則本昂大(楽天)から東京ドームで放った本塁打も同じような当たりだった。滞空時間は若干短かったかもしれないが、バックスクリーンへ飛び込んだ打球には衝撃を受けた。

中田翔や近藤健介とは違うタイプか

春季キャンプ途中で、まだ全ての実力を見せているわけではないが、チームメートの中田翔や近藤健介とは違ったタイプのように見える。チームを預かる栗山英樹監督は、現時点でオーダーはもちろんレギュラーも明言していない。それでも西川遥輝や大田泰示といった上位打線が出塁し、王、中田、近藤といった主軸が返す、そんなワクワクするような打線が想像できる。

仮に王、中田、近藤の並びとなれば、「左右左」とクリーンナップはジグザグとなる。もっと言えば西川、大田から「左右左右左」である。そして打者のタイプも違う。相手投手、チームは頭を悩ませるだろう。

希望は膨らむばかりだが、不安なニュースもある。中田が肉離れで離脱し、全治3週間。近藤も左膝の痛みがあり紅白戦を欠場している。現時点で本人は「大したことない」と語っているが詳細は報じられていない。軽症を願うばかりだ。

昨シーズンは大谷翔平(現・エンゼルス)、増井浩俊(現・オリックス)、大野奨太(現・中日)と主力3人が退団した。それでいて、大きな戦力補強はなかった。そのような苦しい戦力ながらも前年の5位から優勝争いをした上での3位と躍進している。

今年は王以外にも金子弌大(前・オリックス)らが加入、大きな上積みがあった。新戦力とともに2016年以来3年ぶりとなる日本一を目指す。