頓宮裕真が一軍昇格即1発!
2月20日、オリックスの紅白戦でドラフト2位の頓宮裕真(亜細亜大)が、本塁打を放った。二軍スタートとなっていたが、19日に一軍へ昇格。初めての実戦、それも初打席で最高の結果を出してみせた。
その頓宮だが、アマチュア時代は主に捕手としてプレーしており「打てる捕手」候補でもあった。しかし、オリックスはドラフト会議で「内野手」として指名したため、プロでは捕手としてではなく三塁手としてプレーすることに。このキャンプでも三塁手としてノックを受け、必死に汗を流している。
現時点のオリックスで、確固たる三塁レギュラーは不在。昨シーズンは大城滉二がもっとも出場したが、それでも64試合と143試合の半分にも届いていない。その大城に続くのは西野真弘(45試合)と小谷野栄一(44試合)だった。FAや外国人選手でも三塁の補強は行っておらず、頓宮にも十分にチャンスはありそうだ。
頓宮のように捕手から打撃を買われてコンバートされた選手は多くいる。
初打席初本塁打の衝撃・村上宗隆
19歳ながら侍ジャパンに選出された村上宗隆(ヤクルト)も、そのひとり。高校時代は主に捕手を務めていたが、プロ入りと同時に三塁へコンバートされている。高卒1年目となった昨シーズンは開幕からファームで経験を積み、9月に入ってから初めて一軍昇格を果たした。
記念すべき初出場の試合では、1回表の守備機会でいきなり失策。そこから4点を失ってしまう苦しい展開だった。しかし、迎えた第1打席で打った瞬間にスタンドの観客も立ち上がるような本塁打を放ち、バットで取り返してみせた。「なんとしてもミスを取り返す」という思いがこもった一撃に、ダイヤモンドを回るときにガッツポーズも飛び出たほど。
オフシーズンにはフェニックスリーグ、アジアウインターリーグで本塁打を量産し、今シーズンのレギュラー争いに名乗りをあげている。村上が狙う三塁は競争が激しい。
まず、2015年の首位打者である川端慎吾やベテランの大引啓次と、実績ある選手がいる。そして、現在は遊撃手争いを繰り広げている宮本丈や廣岡大志、太田賢吾が回ってくる可能性もある。
他ライバルに比べると守備面で大きく劣ってしまう村上だが、それを凌駕するほどの打撃を見せることができれば、スタメンを掴む確率は自ずと上がってくる。清宮幸太郎(日本ハム)と共に、最年少で選ばれた侍ジャパン。先輩選手たちから多くを学び、チームへと戻ってきてほしい。
岩村明憲や江藤智も捕手から三塁へ
捕手から三塁へコンバートされ、結果を残した選手では岩村明憲(BC福島監督)もそうだ。高校時代は捕手を中心にプレーしていたが、プロでは三塁へ転向している。その後はミスタースワローズの背番号「1」を背負い、メジャーリーグへ移籍。帰国後はヤクルトと楽天で晩年を過ごし、現在はBCリーグの福島レッドホープスで監督、そして代表として活躍している。
江藤智(元・巨人他)も捕手から三塁手へと転向し、球界を代表する選手への階段を登っていった。
このように、打撃を買われて捕手から三塁へコンバートされることは、珍しいことではない。頓宮と村上のふたりも、スラッガーとして覚醒することができるだろうか。