西武は森が正捕手最有力、ソフトBは「甲斐キャノン」も規定に届かず
2018年パ・リーグ覇者の西武はストーブリーグで苦しんだ。エースの菊池雄星がポスティング制度を用いてMLBシアトル・マリナーズへ移籍。野手陣ではFAで主軸の浅村栄斗が楽天へ、炭谷銀仁朗は巨人へと所属を変えた。炭谷が抜けた捕手事情を見渡してみる。
昨シーズンの西武は森友哉(81試合)、岡田雅利(49試合)、炭谷(47試合)の3人で捕手のポジションを回してきた。炭谷がいなくなっても、捕手の補強は行っていない。今シーズンは打撃に優れている森を中心に、岡田との併用体制が続きそうだ。
森の打撃力はパ・リーグ捕手の中では圧倒的。森がスタメンマスクをかぶるだけで、他球団にとっては脅威となる。森の負担を軽減しつつも、いかに捕手としての出場数を増やしていけるか、西武の捕手運用には注目だ。
日本一連覇を達成したソフトバンクは、甲斐拓也が大躍進。特に、日本シリーズで広島の足を完全に封じ込めた「甲斐キャノン」は記憶に新しく、お茶の間を賑わせた。しかし、意外にも甲斐は規定打席に到達していない。なぜなら、高谷裕亮、市川友也、栗原陵矢と併用されてきたからである。
143試合中133試合に出場した甲斐だが、打率.213(314打数67安打)と打撃面で奮わなかった。その他の3名の成績を見ても、高谷が打率.173(52打数9安打)、市川が打率.167(42打数7安打)、栗原が打率.111(9打数1安打)。
結局、捕手の中では甲斐がもっとも結果を残しているのだが、2割を少し超えるくらいでは寂しい。確固たる存在となるためには、最低でも2割5分は残したい。打撃面を向上し、不動の正捕手となれるか。
日本ハムは清水が開幕絶望、オリは若月が正捕手へ
一軍で6人の捕手を起用した日本ハム。そのなかで中心となったのは、鶴岡慎也(101試合)と清水優心(86試合)、そして石川亮(32試合)の3人である。
今シーズン、正捕手候補筆頭は他の捕手に比べるとパンチ力のある清水だったのだが、このオフに腰の手術を受けており、開幕戦の出場は絶望的となってしまった。復帰するまでは鶴岡と石川の併用となりそうだ。
戦力的に、清水の離脱が大きな痛手となることは間違いない。しかし、石川にとっては経験値アップとなるチャンスだ。チームのピンチを自身のチャンスに変えることで、一軍定着、レギュラー奪取となることに期待したい。
西村徳文監督が就任したオリックスは、選手会長になった若月健矢が正捕手候補筆頭だ。それまでのライバルであった伊藤光は、昨シーズンの途中でDeNAへ移籍。ドラフト2位の頓宮裕真(亜細亜大)は大学時代に捕手としての実績を残しているが、プロ入りと同時に三塁へとコンバートされている。
昨年のドラフトや伊藤のトレードからも、若月を正捕手として育てる方針がよく理解できる。ベテランの山崎勝己が健在なうちに、若月を独り立ちさせたいところだ。
ロッテは田村が全試合出場、楽天は「ポスト嶋」争いに注目
ロッテは田村龍弘が全143試合に出場。その他の捕手に目を向けると、江村直也(34試合)が二番手として起用されており、かつて田村と競っていた吉田裕太がマスクをかぶったのはわずか8試合。今シーズンも田村を中心とすることは間違いないが、吉田の奮起で2番手争いを活性化させたい。
楽天は長らく、嶋基宏を中心に捕手争いが行なわれてきた。その嶋も35歳のシーズンを迎え、フル出場を求めるには少し酷と言える。それをわかってか、球団も昨シーズンに山下斐紹をトレードで補強し、ドラフト2位で太田光(大商大)を指名獲得した。また、キャンプで離脱となってしまったものの岡島豪郎も捕手に復帰している。
「ポスト嶋」を争い勝ち抜いた選手が、正捕手候補として育成されそうだ。