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廣岡大志らが西浦直亨に挑むヤクルトの遊撃手争い

2019 2/20 15:00勝田聡
廣岡大志,西浦直亨,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

昨季は西浦直亨がレギュラー奪取

2月も終盤に入り、キャンプでも練習試合等の実戦が増えてきた。昨シーズン、セ・リーグ2位となったヤクルトでも2月11日を皮切りに既に4試合を行っている。

山田哲人やバレンティンといった主力組が早くも活躍を見せている一方で、若手をはじめとしたレギュラーやローテーションの当落線上となっている選手たちにとっては、ここでのアピールが非常に大事になってくる。キャンプでは、ベンチ入りより一軍メンバーを多く設定し、徐々に足切りを行っていくのが一般的。一軍登録枠である29人の争いに敗れれば、二軍へ行かねばならないという厳しい世界だ。

中でも、激しいポジション争いが繰り広げられているのが遊撃だ。昨シーズンは西浦直亨が序盤にポジションを奪い、年間を通じスタメンを死守。138試合に出場し、打率.242(550打数116安打)、10本塁打、55打点と、初の規定打席に到達。キャリアハイの成績を残した。

この春季キャンプ限定ではあるが主将に任命され、紅白戦でも2試合連続でマルチ安打を放つ等、意地もみせている。とはいえ、「西浦は安泰」という状況ではなく、若手選手たちが常にポジションを狙ってキャンプでもアピールを続けている。

廣岡大志、太田賢吾ら、ライバルは多い

現在、西浦以外で遊撃のレギュラー争いをしているのは、大砲候補の廣岡大志、トレードで日本ハムからやってきた太田賢吾、2年目の宮本丈、新人の吉田大成の4人。その他に、外野にも挑戦している奥村展征、二軍にはベテランの大引啓次も控えている。

昨シーズンの開幕は廣岡がスタメン起用されていた。しかし序盤で結果を残すことが出来ず、西浦にレギュラー奪われてしまった。そのため、今シーズンへ賭ける思いは強いはず。紅白戦では遊撃でなく一塁でスタメン起用されており、その他のポジションでも出場する機会を模索している。ただし一塁には3割打者の坂口智隆がおり、こちらもレギュラー獲得へのハードルは高い。

序盤に行なわれた紅白戦で西浦とともに、2試合連続で遊撃のスタメン起用されたのは太田だった。メインポジションは昨年31試合を守った二塁だが、遊撃(12試合)、三塁(9試合)とマルチに出場しており、大きな不安はない。2017年の一軍デビューから打率1割台と低迷が続いている打撃を改善できれば、チャンスはある。

堅実な守備が売りの宮本は、ルーキーイヤーの昨シーズンから一軍で経験を積んだ。大学時代には遊撃ポジションで活躍もしていたが、一軍では三塁をメインに起用されており遊撃手としての出場はない。ただ、二軍では20試合に出場しており、今後の起用法に関して明らかになっていないものの、チャンスをうかがっている状況だ。

そして、社会人出身でルーキーの吉田。紅白戦では西浦と太田が遊撃を守っているため、二塁起用されているが、その中で2試合連続安打と気を吐いている。ドラフト8位とアマチュア時代の評価が高かったとは言えないが、一軍キャンプメンバーに抜擢されてからは、結果を残し続けている。今年で24歳ということもあり、あと数年で結果を出さなければいけない。まずはプロの先輩たちからポジションを奪いたいところだ。

このように西浦からポジションを奪うべく、多くの選手が汗を流している。スタメンに起用される選手は1名しかいない。しかし、その他の選手が力をつけ、競争になればなるほどチーム力の底上げにつながってくる。現役時代、名遊撃手だった宮本慎也ヘッドコーチの下、確固たるレギュラー遊撃手が出現することに期待したい。

※数字は2018年シーズン終了時点