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丸の移籍でどうなる セ・6球団「センターライン」の充実度は?

2019 2/9 11:00青木スラッガー
丸佳浩,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

センターライン完成が遠いのは……

強いチームをつくりあげるには「まずはセンターラインから」とよく言われる。二塁手・遊撃手・中堅手・捕手からなる守備の要。ちょっとやそっとでは揺るがないレギュラーがいることが理想だ。今季のセ・リーグ6球団のセンターラインはどのような形になりそうか、各球団の状況をみていきたい。

まずは、昨季課題があったチームから。センターラインの顔ぶれが不透明なのは順位もBクラスだった阪神とDeNAだろう。

阪神は遊撃手と中堅手のレギュラーが不在。遊撃手は北條史也、俊足の植田海、新入団の木浪聖也、再コンバートの鳥谷敬と候補がひしめいており、突き抜けられる選手が出てきてほしい。中堅手は中谷将大ら主な候補が不調で、昨季は本職一塁手のナバーロが守ることもあるような状況だった。そこで快足の社会人ナンバーワン外野手の近本光司をドラフト1位指名。「赤星2世」との呼び声高い新戦力に期待が高まっている。

DeNAは二遊間を固定できず。昨季の主な二遊間はFA加入の大和、柴田竜拓、倉本寿彦、石川雄洋、ソトといったところ。大和は守備、ソトは打撃が抜群だが、攻守両方を持ち合わせた選手が不足している。課題を克服し、プレーヤーとしての持ち味を最大限に活かしたい。

ヤクルトと中日は大きく前進

ヤクルトと中日は課題がありつつも、昨季はセンターラインを充実させる1年になった。

ヤクルトは二塁手・山田哲人、捕手・中村悠平が安定していたところ、中堅手に青木宣親が復帰。遊撃手は5年目の西浦直亨がレギュラーを掴んだ。不安があるとすれば、1月に37歳を迎えた青木の年齢だ。走力に衰えが出てきてもおかしくはないころで、左翼手があまり守備に積極的ではないバレンティンであるだけに、守備面での負担は心配かもしれない。

中日はセンターラインだけでなく他のポジションもほぼ固定のメンバーで戦っている。前年は荒木雅博と亀澤恭平の併用だった二塁手には、高橋周平が2桁本塁打を放ってレギュラーに定着。三塁手からのコンバートで、守備に不安はあったがシーズンを通して無難に守ってみせた。

中堅手・大島洋平、遊撃手・京田陽太は不動。唯一固まらなかったのが捕手だ。昨季は谷繁元信以来となる“不動の正捕手”を期待して日本ハムから正捕手の大野奨太をFA補強。しかし右肘手術を受けた影響もあり、攻守に本領を発揮できず。今季は復活に期待したいところだ。

センターライン安定は広島、丸加入の巨人か

センターラインの充実度が高いのは巨人と広島だ。

巨人は昨季の戦いとオフの補強でセンターライン強化を成功させた。近年固定できていなかった中堅手に広島から丸佳浩をFA補強。また中堅手同様、正二塁手の不在は長く課題となっていたが、昨季は2年目の吉川尚輝が台頭。守備力はすでに球界トップクラスのものを持っており、今季はレギュラー定着が期待される。

捕手は小林誠司、FA加入の炭谷銀仁朗と2017年WBCの代表捕手が2人。両選手とも打撃に課題はあるが、守りに関しては盤石だ。そして不動の遊撃手に坂本勇人と、4ポジションの総合力は高い。

一方、丸を失った広島はどうだろうか。昨季までは丸のほか、二塁手・菊池涼介、遊撃手・田中広輔、捕手はメインに打撃の良い會澤翼、サブに経験豊富な石原慶幸と盤石のセンターラインで3連覇を達成した。

丸の退団でその体制が崩れることになってしまうが、次の中堅手候補には野間峻祥がいる。昨季は初めて規定打席に到達し、打率.286と打撃で急成長。ルーキーの頃は守備固めでの出場が多かったように、守備範囲・肩ともに抜群だ。野間が中堅守備をどれだけしっかりこなせるかが今季の広島の課題であり、楽しみでもある。