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多和田、上沢、山岡が初の大役か 開幕投手を巡る争い〜パ・リーグ編〜

2019 2/7 11:00勝田聡
多和田真三郎,ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

多和田が大本命ながら内海の可能性も?

3月29日のプロ野球開幕まで2ヶ月を切った。各球団の首脳陣はキャンプ、オープン戦で戦力の見極めを行い、開幕一軍メンバーを定めていく。そのなかでも重要なのが開幕投手の決定だろう。1年の始まりである開幕戦は、ほとんどの球団がエースやローテーションの柱に託す。今年はどのような候補がいるのだろうか。パ・リーグ6球団の開幕投手争いを見ていきたい。

昨年リーグ制覇を果たした西武は、エースの菊池雄星がポスティング制度でマリナーズへと移籍した。菊池の後を受け継ぐ開幕投手の大本命は多和田真三郎だ。昨年は初めて規定投球回に到達し16勝(5敗)をマーク。最多勝のタイトルを獲得した。

その他には昨シーズン11勝をマークした榎田大樹、巨人から人的補償で移籍した内海哲也の両左腕が候補に挙がる。辻発彦監督はトークイベントで「(内海の)開幕投手の可能性もゼロじゃない」とコメントし煙に巻いた。もちろんキャンプ、オープン戦での内容次第ではあるが、多和田が一歩リードしているとみてよさそうだ。

リーグ2位ながら日本一を勝ち取ったソフトバンクの開幕投手争いは激戦となる。昨年は規定投球回に到達した投手はなんと「0」だったが、2桁勝利をマークしたのは千賀滉大(13勝)、石川柊太(13勝)、リック・バンデンハーク(10勝)と3人いる。その他には東浜巨や武田翔太といった2桁勝利経験者も虎視眈々と狙っている。

石川は自主トレ中に離脱したが、その他の選手はキャンプでも一軍に相当するA組に入っている。13勝をマークした千賀が一歩リードしている感はあるが、工藤公康監督の決断やいかに。

オリックス山岡は初の大役となるか

日本ハムはエースとなった上沢直之が大本命。実績のある金子弌大や2年目のニック・マルティネスもいるが本命は揺るぎない。しかし、栗山英樹監督はMLBで話題となった「オープナー」についても言及するなど、「なんでもありだ」とも語っており、ドラフト1位の吉田輝星についても否定しなかった。大谷翔平(現・エンゼルス)の「二刀流」や「1番・投手」といった球界の常識を打ち破ることをやってのけた監督だけに、気になるところだ。

オリックスは、西勇輝(阪神)、金子弌大(日本ハム)と2人の主力投手が抜けた。開幕投手は3年目の山岡泰輔、来日2年目のアンドリュー・アルバースの2人が有力となりそうだ。とくに初の大役を目指す山岡は「狙っていきたい」と気合十分。西村徳文新監督の船出を任されることになるだろうか。

昨年5位となったロッテは涌井秀章、石川歩、マイク・ボルシンガーの3本柱で争うことになりそうだ。本来であれば、背番号が「18」に変更となり4年連続開幕投手を任されている涌井が大本命。しかし、昨年は7勝9敗、防御率3.70と結果を残せていない。

その他の候補である石川は9勝8敗、防御率3.92、ボルシンガーは13勝2敗、防御率3.06の成績を残している。昨年の成績だけで見るとボルシンガーが一歩リードと言っていい。今までの実績やチーム内での立ち位置等をふまえ、井口資仁監督が決断することになる。

最下位に沈んだ楽天は球界屈指の右腕2人が火花を散らす。5年連続最多奪三振のタイトルを獲得した則本昂大と、最優秀防御率の岸孝之だ。ともに信頼できるエース格の投手だけに平石洋介監督も悩ましいところだろう。キャンプ、オープン戦の結果で判断することになりそうだ。

各球団とも開幕投手候補は複数いるが、すんなり決まる気配はない。キャンプ、オープン戦で首脳陣にアピールする必要がある。エース級の投手たちが繰り広げる開幕投手争いに注目だ。