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上本復帰で競争激化の阪神内野陣 “主砲候補”大山は突き抜けられるか

2019 2/5 07:00青木スラッガー
大山悠輔,ⒸSPAIA
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大山は三塁手レギュラー“当確”か?

今季、大ブレイクが期待されている打者といえば、阪神の大山悠輔がその筆頭だろう。

新人年に75試合の出場で7本塁打とまずまずの結果を残した2016年のドラ1は、2年目の昨季、117試合・378 打席で打率.274・11本塁打と順調に成長。序盤は不振で二軍落ちも経験したが、終盤は9月に9本塁打を放つなど絶好調で、4番打者も任されるようになり、次代の主砲候補として大きな期待を寄せられている。

また、9月16日のDeNA戦では「6打数6安打3本塁打」をやってのけ、完全に長距離砲として覚醒した感もあった。矢野燿大監督の新体制となり、これまでと選手起用がガラリと変わるかもしれないが、昨季終盤の打撃を振り返ると大山の三塁手レギュラーに関しては“当確”でいいのでは?と思えてくる。だが、冷静に今季の阪神のメンバーを見渡してみると、実はそうとも限らないのかもしれない。

上本の復帰により激しさ増す内野ポジション争い

内野手のポジション争いが激しくなりそうな今季の阪神。昨季の二塁、三塁、遊撃の各ポジションにおけるスタメン最多出場は、それぞれ104試合の糸原健斗(二塁)、80試合の大山(三塁)、55試合の植田海(遊撃)となっている。

遊撃手は北條も50試合にスタメン出場。今季は植田に加え、遊撃手再挑戦の鳥谷敬、ルーキーの木浪聖也ら候補がひしめき、熾烈なレギュラー争いが予想される。二塁手は糸原がレギュラーに定着したが、今季は、怪我で昨季のほとんどを棒に振った上本博紀が帰ってくる。レギュラークラス同士での一騎打ちは、オープン戦の見どころとなるだろう。

では、大山が守る三塁はどうか。鳥谷が遊撃手のレギュラー奪りに集中することになったため、大山にライバルがいなくなる、と思われがちだが、二塁手争いの結果が大山にも関わってくる可能性がある。

糸原は本職が三塁手だ。打撃が売りの上本が糸原から二塁のレギュラーを奪い返し、その時点で大山が打撃で結果を残せていなければ、糸原を三塁で使う選択肢も出てくる。上本の復帰によって間接的ではあるが、大山も競争にさらされることになるのだ。

大山の一発のような怖さはないが、糸原も打撃が魅力の選手だ。昨季は打率.286にもかかわらず、チーム内では糸井嘉男に次ぐ出塁率.390を記録。足も速く、1・2番の打順に置きたい能力を持っている。まだまだ、大山も安心はできない状況である。

若いホームランバッターの台頭は急務

だが、チームにとって大山は近いうちにレギュラーを獲り、4番に定着してもらわなければ困る選手でもある。

ここで、阪神野手陣の年齢別成績に目を向けてみる。以下の図は、昨季のチーム打撃成績を「23歳以下」「24歳~28歳」「29歳~33歳」「34歳以上」と4つの年齢層に区分し、グラフ化したものだ。

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昨季の阪神は、本塁打85本、長打率.361がリーグワーストとなり、長打力不足に悩まされた。年齢別成績を見ると、その課題の長打力もベテランにかなりの部分を頼っていたことがわかる。「34歳以上」が本塁打、打点、四球で30%以上の割合を占めた。そのほとんどが糸井嘉男、福留孝介の両ベテランが記録したものだ。

今季は新外国人のマルテも獲得したが、昨季のロサリオをはじめ、最近はなかなか外国人大砲も活躍できていないという現状がある。そして、糸井、福留両選手もあと何年長打力を発揮してくれるかわからない。やはり、若いホームランバッターの台頭は急務である。

そして、その最有力候補が大山であることは、間違いない。今季、激しいポジション争いを制し、主砲への階段を昇っていくことができるだろうか。