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松山・角中・吉見ら FA権取得も「残留」を選んだ今季のキーマンたち

2019 2/4 11:00青木スラッガー
松山竜平,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

FA権を取得して「残留」を選んだ選手たち

今季のプロ野球を占う上で鍵となりそうなのが、オフに移籍したFA戦士の活躍だ。広島の丸佳浩と西武の炭谷銀仁朗が巨人、西武の浅村栄斗が楽天、オリックスの西勇輝が阪神へ。優勝チームが中心メンバーを失い、低迷したチームが球界トップクラスの選手を迎え入れた。彼らの働きで、両リーグの情勢がどれだけ変化するのか気になるところだ。

2018年シーズンに国内FA権を新規取得した選手は17人。例年に比べて大物の名前が多く、かねてからオフのFA市場が注目されていたシーズンだった。実際に移籍した上記4人以外で動向が注目されていた選手といえば、広島の松山竜平が挙がる。

昨季の松山は打率.302・12本塁打・74打点の好成績をマーク。得点圏打率.323と勝負強さを発揮し、丸や鈴木誠也に続くポイントゲッターとして重要な役割を担った。

そんな松山だが、意外にも規定打席到達は11年目の昨季が初めて。連覇がはじまった2016年から2桁本塁打を継続しているものの、選手層の厚い広島で松山が守る一塁手・左翼手にはライバルが多く、なかなか不動のレギュラーの立場を確立できなかった。それだけに、より安定した出場機会を求めチームを去ってもおかしくはなかったのだが、FA宣言せずに残留を選んだ。

今季からは不動の3番打者が抜け、これまで以上に松山の重要性が増す。鈴木誠也を3番に移し、繰り上げで松山が4番に座ることも考えられ、新広島打線のキーマンとなるだろう。丸が抜けた穴をカバーできるかどうかは、松山にかかっていると言っても過言ではない。

残ったチームで「キーマン」に

ロッテの角中勝也も以前からFAの動向は注目されていた。首位打者2回の実績と、7年続けて100安打以上を放っている安定感は、打力に課題を抱える球団にとって魅力的だ。

だが、ロッテこそ、その課題を抱えた球団でもある。昨季は、シーズン中に2011年ドラフト1位の藤岡貴裕を放出して、日本ハムから岡大海をトレード獲得するほど外野手が不足していた。今季、上位進出を狙うロッテにとって、絶対に欠かせない男がチームに残ったと言える。

野手のレギュラークラスでは、阪神の上本博紀もFA権を行使せず、残留を選んでいる。昨季は5月初旬の試合の際にベースランニングで左膝を痛め、そこからシーズン中の復帰は叶わなかった。しかし、2017年は不動の2番・二塁手として活躍。いずれも自身最高の打率.284・9本塁打・38打点を残している。ポジションを考慮すると、市場価値は松山、角中と同格といえるだろう。

得点力不足を抱え、特に右打者が不足している阪神にとって、昨季の離脱まで打率.422をマークしていた上本は貴重な存在。今季は、昨季二塁手に定着した糸原健斗との競争になるが、上本が完全復活すれば内野全ポジションを守れる糸原のコンバートも考えられ、より攻撃的な布陣も可能になる。

投手では、中日の吉見一起が残留を選んだ。2013年にトミー・ジョン手術を受けてからは2桁勝利から遠ざかり、2017年も14登板・75.2投球回・防御率5.23という成績だったが、昨季は20登板・125.2投球回・防御率3.87と復活。中日の先発陣は、昨季13勝したガルシアが阪神へ流出したため、吉見が1番手となる。久々にエースとして輝くことができるのか、大きな期待を背負うことになる。

巨人の澤村拓一、吉川光夫の残留もチームにとって大きい。両投手は今季リリーフを務める見込みだが、昨季の巨人はシーズンを通してリリーフに課題を抱えた。2人のFA宣言次第で、今季はさらに厳し い投手事情も予想されるところだった。

こうして見ると、2018年シーズンの新規FA権取者で残留を選んだ主力クラスは、今季の戦いにおいてキーマンとなる選手ばかりだ。各選手とも、残留を決めたチームで活躍し、頂点へ導くことができるのだろうか。