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広島はフランスアが衝撃的な活躍 セ・6球団の「8回の男」

2019 2/6 07:00青木スラッガー
2018年,広島ホールド数トップ3,巨人ホールド数トップ3,ⒸSPAIA
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広島・ヤクルトの上位チームは8回が安定

チームに何人かいるセットアッパーの中でも、最も信頼されている投手は8回を任されるケースが多い。セットアッパー1番手の「8回の男」。最終的にリードを保って逃げ切ればいいクローザーとは違い、ゼロに抑えることが絶対である過酷な役割だ。今季のセ・リーグ6球団は誰が8回を任されることになりそうか、昨季の成績から予想していきたい。

広島表,ⒸSPAIA

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広島は連覇の3年間、リリーフの柱として貢献してきたジャクソンが退団している。昨季のジャクソンは中盤戦で今村猛とともに調子を崩し、一時は逃げ切りパターンが狂いかけた。そこで救世主となったのが5月に育成契約から昇格した左腕のフランスアだ。160キロ近い球威を武器に防御率1.66、奪三振率11.22と圧倒的な成績を残し、球界随一のリリーフエースに定着している。

今季も8回・フランスア、9回・中﨑翔太のリレーは既定路線だろう。彗星のごとく現れた1年目を経て、研究される2年目にどれだけの成績を残せるか注目される。

ヤクルト表,ⒸSPAIA

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ヤクルトは17年目のベテラン・近藤一樹がシーズンを通してセットアッパー1番手を務めた。防御率は3点台半ばだったが、74試合・76.2投球回を投げ抜いた貢献度は、クローザーの石山泰稚と並んでチーム投手MVPもの。ただ、年齢を考えるとその疲労は心配だ。昨季は回跨ぎの登板も多かった。今季は「近藤-石山」までの継投を充実させ、近藤が投げる場面を固定させたいところである。

昨季の7回は大卒2年目の中尾輝、高卒2年目の梅野雄吾といった若手が入った。今季は新外国人のマクガフのほか、寺原隼人、10年ぶりのヤクルト復帰となる五十嵐亮太も候補に加わる。

リリーフの「柱」が不在だった巨人

巨人表,ⒸSPAIA

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巨人はクローザーのカミネロが防御率5.79・11セーブと不振で、リリーフエースのマシソンも7月に離脱。40登板以上は防御率4点台半ばの澤村拓一のみとなり、逃げ切りパターンの「柱」となる投手を確立できないままシーズンを終えた。

今季は新加入のクックがクローザーに入ると仮定すると、マシソンが復活して8回に収まってくれることが理想だ。それが叶わなかった場合、実績のある澤村や上原浩治、150キロ超の球威がある鍬原拓也、畠世周、吉川光夫らが候補になる。注目したいのは先発からリリーフ転向が決まっている吉川光。これまでリリーフメインで過ごしたシーズンはなく、新たな持ち場で何かを掴んでくれることに期待したい。

DeNA表,ⒸSPAIA

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DeNAは来日2年目のパットンがクローザーの山﨑康晃につなぐリリーフエース。今オフの去就が注目されていたが、ファンにとっては嬉しいことに、新たに2年契約での残留が決まった。

昨季のパットンは前年より防御率(2.57)をやや良化させ、奪三振率(10.77)は山﨑とともに10.00以上をマーク。両投手とも三振が奪えることに加えて制球もまとまっており、この2年の8回・9回は安定している。特に不安材料は見当たらないだろう。7回までを投げる投手も砂田毅樹、エスコバー、三上朋也、昨季覚醒した三嶋一輝と豊富だ。

中日の「8回の男」は……

中日表,ⒸSPAIA

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中日はセットアッパー、クローザーどちらも確立できず、リリーフ全体が苦しいシーズンとなった。本来のリリーフエースである又吉克樹は防御率6点台の不調。クローザーの田島慎二も防御率7点台で定位置を手放してしまい、勝ちパターンはその時々で調子の良いリリーフが務める形に。「8回の男」と呼べる投手はいなかった。

ただ、中堅投手の不振で若手に緊迫した場面での登板機会が回り、そこでしっかり結果を出した投手がいるのは好材料だ。ドラフト1位ルーキーの鈴木博志は53試合に登板。3年目の佐藤優は42登板で防御率2.08をマークし、勝ちパターンの8回・9回を経験した。また、シーズン途中に緊急補強されたロドリゲスも26登板で防御率2.30と戦力になっている。

現状は彼ら若手・新戦力に加え、昨季善戦した祖父江大輔とでセットアッパーとクローザーを争うことになりそうだが、又吉らの復活にも期待したいところだ。

阪神表,ⒸSPAIA

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最下位に沈んだ阪神だが、リリーフ陣はトップクラスに安定していたといえる。クローザーにドリスを据え、中継ぎは桑原謙太朗、藤川球児、シーズン中にリリーフ転向した能見篤史と他球団でリリーフエースを張れるクラスが複数人いた。その中で、最終的に8回は藤川の起用が中心になり、藤川にとって阪神復帰後で最も充実したシーズンになった。

今季は藤川がドリスからクローザー奪取を目論む。競争の結果次第で8回を投げる投手も変わってくるが、上記の投手なら誰になっても問題はないだろう。昨季はシーズン途中での急な配置転換だったが、オフの間にリリーフとしての調整をじっくり積んできた能見がどんな投球を見せてくれるのか楽しみである。